「私、けっこうマッチョなんですよ」NHKテレビ体操の新星・筑波大院生の我喜屋佑衣は英語力も「TOEIC900点超え」
「体操を通して、みなさんの爽やかな毎日の一部となれるよう、私も頑張ります」。毎朝10分間放送されるEテレ「テレビ体操」(午前6時25分)の新メンバー、 我喜屋佑衣(がきやうい) さん(24)は、にこやかな表情でガッツポーズを見せる。放送ではラジオ体操や番組オリジナルの体操を実演し、全国に笑顔と健康を届けている。(文化部 小林直貴)

ガッツポーズする我喜屋さん(12月10日、NHK放送センターで)=安川純撮影
「ヒヒーン、ヒヒーン」。12月半ば、東京・渋谷のNHK放送センター内のスタジオで、元日放送予定の「2026新春テレビ体操」の収録が行われていた。我喜屋さんは椅子に座ったまま、ピアノの演奏に合わせ、馬が走るように軽やかに手や脚を動かしたり、足腰をたたいたりしている。新年の 干支(えと) にちなんだ「ウマ体操」の撮影で、その鳴き声を模したかけ声も響く。新春らしい「七福神体操」などの収録も行われ、フルメンバー12人(指導2人、我喜屋さんら実技7人、ピアノ3人)が勢ぞろいする豪華な撮影に。本番で「OK」が出ると、一斉に拍手が起こった。

新年の干支を模した体操で笑顔を見せる(12月10日、NHK放送センターで)=安川純撮影
研修半年、染み付いた動作を修正
我喜屋さんは2025年春から、歴史ある「テレビ体操」のメンバーに加わり、爽やかな風を吹かせている。“本業”は、筑波大(茨城県つくば市)の大学院生だ。
テレビ体操との縁は24年、秋入学の大学院に進学する前のこと。所属する体操部を通じて新メンバーの募集があり、「『興味があります』と手を挙げた」という。「採用1名」の厳しい選考に合格。半年間の研修を経て、25年4月1日の放送に初登場した。「今まで培ってきた動き方や、体に染み付いている動作には、テレビ番組向けに直さなければならない部分がたくさんあった。自分ではなかなか気づかず、周りの方々に指摘していただいた」と言い、「研修中に教わったことが、今やっと自分のものになってきているなっていう感じですね」と、指導の先生や先輩メンバーに感謝する。月~金曜の各5分間の「みんなの体操」(総合、午前9時55分)と「テレビ体操」(同、午後1時55分)にも出演している。
修士論文テーマは「マルチスポーツ」
沖縄県糸満市出身。「小さい頃から運動が好きで、幼稚園の時に始めた新体操を高校3年まで続けた」と話す。学業にも優れ、「TOEIC900点超え」の英語力などを武器に、難関国立の筑波大に合格。昨年春に「国際総合学類」を卒業後、修士課程に進んだ。講義や論文はすべて英語だといい、「もっと力をつけたい」と向上心は止まらない。

収録の合間に指導の岡本美佳さん(左)と言葉を交わす(12月10日、NHK放送センターで)=安川純撮影
今は、修士論文に注力する日々だ。テーマは「マルチスポーツ」。幼少期に複数の運動経験を積むことによる効用などを研究する。欧米では早くから取り組みが進み、日本でも注目が集まっているそうで、国内の推進体制などを調べている。
ラートでも選手権上位に入賞
体操部での活動については、「『体操競技』ではなく、ラジオ体操を始めとする『一般体操』です。どうしたら心地よく体を動かせるか、自分や仲間の体に向き合い、健康増進の面にも取り組んでいます」と説明する。その一環として大学入学後に始めたのが「ラート」だ。直径2メートルほどの輪の中に入って車輪のように回転したり、輪の上に乗って跳躍したりする、ヨーロッパで人気のあるスポーツ。持ち前の運動神経でめきめきと上達し、全日本競技選手権で上位に食い込む成績を残している。
テレビ体操では「(メンバーに)女性も男性もいて、それぞれ持っているものが違う中で、自分なりの長所を生かしたい」と力を込める。その「強み」を尋ねると、「新体操で養った柔軟性と、大学に入ってラートで鍛えた筋力、両方を持っていることですかね。私、けっこう“マッチョ”なんですよ」と教えてくれた。その言葉通り、番組では、しなやかで美しく、力強い動きを見せる。さらに、運動に合わせて「吸って吐く」呼吸の仕方を視聴者に伝わるように分かりやすく表現し、にこやかな表情も絶やさない。「慣れるまでは無理でしたね。間違えたら初めから撮り直しになっちゃうから、緊張でガチガチでした。今はそれも含めて、自分も気持ちよく動きながら収録できてるなっていう感じはあります」と手応えを語る。
3姉妹の長女で「よく、しっかり者といわれる」と笑う。沖縄の実家では、「いつも録画して楽しみにしてくれています。『今月はいつ出るの?』って連絡が来ます。1日3回の放送のうち、出演回は全部録画してくれているみたいです」と家族に思いをはせた。

収録したばかりの映像を確認する我喜屋さん(中央)ら(12月10日、NHK放送センターで)=安川純撮影
「人それぞれ心地よければいい」
「体操は、人それぞれ心地よければいいと思います。無理のない範囲で継続してほしい。年の初めに体操をして、この1年、健やかに過ごせるように、日々の運動習慣につなげてもらえたら」と、視聴者に優しく語りかけた。
「2026新春テレビ体操」は1月1日午前6時25分からEテレで(再放送は総合で1月3日午前5時50分から)。