経済的な消耗戦:ロシアのエネルギー施設をドローンで地道に攻撃するウクライナ
ウクライナ軍の新たな戦略

ウクライナにおける主戦場はこれまで、同国東部にある前線の塹壕だった。しかし、ウクライナ軍は最近、敵のエネルギー施設に対する大規模なドローン攻撃を繰り返すようになっており、従来の戦略を転換したものと見られている。ロシアの軍事行動は天然資源の輸出による収入によって支えられているため、これを地道に攻撃することで、敵の資金源を絶つというわけだ。
敵の資金源を絶つ作戦

これまでは派手な戦果が大々的に報道されることが多かったが、いま重視されているのは継続的な圧力だ。CNN放送によれば、ウクライナ側はこの方針を「長距離制裁」と名付けており、エネルギー施設に対するドローン攻撃や空爆の繰り返すことで、安定した操業の妨害を狙っているという。
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拡大する標的の範囲

攻撃対象となるのは精油所や輸出用のインフラ、パイプライン、ターミナル、タンカー、さらには洋上プラットフォームといった施設だ。米メディア「The Atlantic」はこれを戦略的な転換だと分析。ロシアの天然資源を戦争の資金源にしている以上、その流れを断つことが勝敗を分けるのだ。
前線となるカスピ海

その象徴とも言えるのがカスピ海での攻撃拡大だ。ウクライナ軍の長距離ドローンによってロシアの洋上石油施設が狙われるという事態は、前線から遠く離れたエネルギー施設であっても安全ではないことを示している。
フィラノフスキー石油プラットフォーム

CNN放送によれば、ウクライナ軍はルクオイルが所有するカスピ海のフィラノフスキー石油プラットフォームを攻撃したと発表。関連施設にも被害が出たとされ、エネルギーをめぐる戦いは生産設備にもおよび始めた。
「戦争に関与するすべての企業」

ウクライナ保安庁の関係者はCNN放送に対し、戦争に関与するすべてのロシア企業が正当な標的になり得ると警告。エネルギー産業そのものをロシア軍の原動力とみなす姿勢を明確にした。
飛躍的に進歩するドローン技術

この戦略を可能たらしめているのはウクライナで飛躍的に進歩するドローン技術だ。ウクライナ軍は長距離ドローンによってロシア国内のエネルギー施設を射程に収め、海上ドローンを用いて敵の物流を妨害しているのだ。
繰り返し同じ施設を攻撃

さらに、ウクライナ軍は同じ施設を何度も攻撃するという戦術をとっている。CNN放送いわく、ロシアのサラトフにある製油所は2025年8月以降、何度も被害に遭っているが、これは完全復旧を妨げ、持続的な操業を諦めさせる狙いがある。
ドルジバ・パイプラインも標的に

パイプラインも例外ではない。欧州向け原油の主要経路であるドルジバ・パイプラインは8月以降、たびたび攻撃されており、親露派のオルバン首相が率いるハンガリーは抗議したほどだ。今や、輸送ルート攻撃もウクライナの主要戦略のひとつとなってしまったのだ。
プーチン大統領の反応

一方、プーチン大統領はロシアのタンカーに対する攻撃を「海賊行為」とみなして批判。ウクライナは国際規範に背いていると宣伝し、同国に対する侵略を正当化しようと試みている。CNN放送が報じた。
国際情勢の変化

ウクライナがエネルギー施設への攻撃を激化させたのには理由がある。世界的な供給過剰によって原油価格が下落したことで、西側諸国がロシア産天然資源に対する攻撃を黙認するようになったのだ。
経済面での消耗戦

ロシアは天然資源輸出による収入が減れば、兵士の給与や勧誘ボーナス、国内燃料市場の安定を支える資金を賄えなくなる。前線における軍事面での消耗戦が経済面での消耗戦へと発展したのだ。
じわじわと効く攻撃

実際、ロシアにおける天然資源の精製量は前年比でおよそ6%低下。時にはガソリンスタンドに行列ができ、政府は市場安定のための緊急措置を取らざるを得なくなった。ロシアの石油・天然ガス産業が崩壊したわけではないが、じわじわと効き目が出てきているのだろう。
しぶといロシア

しかし、専門家の多くはロシアのエネルギー施設を狙った攻撃について、被害は深刻だがロシアを停戦に追い込む決定打にはならないと見ている。ロシア経済は疲弊するものの、戦争を続けることは可能だというのだ。
ウクライナの狙いは?

その一方で、ウクライナ側の目的はロシア経済を即座に麻痺させることよりも、戦争のコストを引き上げることにあるとする見方もある。戦争が長引くほど、政治的・経済的負担がどんどん増すというわけだ。
天然資源を交渉材料に

精油所や輸出施設、パイプライン、タンカー、そして洋上プラットフォームを攻撃することで、ウクライナはロシアにとって最大の収入源である天然資源を交渉材料に変えようとしているのだ。
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