「この落ちぶれた負け犬弁護士め!」“エプスタイン文書”めぐり米議会が罵詈雑言の嵐…国際政治学者が指摘する司法長官の“不可解な態度”とトランプ氏への余波

「この落ちぶれた負け犬弁護士め!」“エプスタイン文書”めぐり米議会が罵詈雑言の嵐…国際政治学者が指摘する司法長官の“不可解な態度”とトランプ氏への余波

性犯罪で有罪となり、勾留中に死亡したジェフリー・エプスタイン氏に関する300万ページ以上の追加資料が公開された。動画2000本以上、画像18万枚が含まれ、トランプ大統領の名前も千回以上登場しているとされ、世界に激震が走っている。

ニュース番組『わたしとニュース』では、国際政治学者の三牧聖子氏が出演し、文書公開をめぐるアメリカ議会での激しい対立や、アメリカ国民の反応について深掘りした。

■「負け犬弁護士め!」エプスタイン文書めぐり議会で飛び交う罵詈雑言

1月、アメリカの司法省はエプスタイン氏に関する捜査資料を追加公開した。しかし、資料には黒塗り箇所が多く、透明性をめぐり疑惑の目が向けられている。

議会の公聴会では、トランプ政権の司法を担うボンディ司法長官が「現政権は300万ページ以上のエプスタイン文書を公開しました。300万ページの文書すべてを公開する法律に署名したのはトランプ大統領です。彼こそ米国史上最も透明性の高い大統領です」と主張。一方、トランプ大統領自身も「私はジェフリー・エプスタインとは一切関係がない。率直に言って司法省は他にやるべきことがあると言うべきだ。あの件はすべて明らかになったからだ」と関与を否定している。

しかし、資料公開の手法をめぐり、「隠蔽ではないか」と議会はヒートアップ。民主党議員らがボンディ氏に迫る場面では、激しい応酬が繰り広げられた。

民主党のナドラー下院議員が「司法省がこれらの加害者を1人も裁判にかけなかった。その代わり、トランプ氏が敵とみなした人々をしつこく追及してきたのです。何人起訴したのか?」と詰め寄ると、ボンディ氏は「まず」と切り出すも、ナドラー氏が「私の質問に答えてください」と遮る。これに対しボンディ氏は「私は自分の答えたいように答えます」と反発した。

さらに民主党のジャヤパル下院議員が「この質問にはお答えにならないようですね。大規模な隠蔽と言わせていただきます」と追及すると、ボンディ氏は「私はこの女性と下品な口論をするつもりはありません。彼女は芝居をしているのです」と一蹴。

そして民主党のラスキン下院議員が「彼女に議事妨害させても構わないが我々の監視下では許さない。司法長官、あなたが始める前にそのことは伝えておいた」と発言すると、ボンディ氏は激昂。「あなたに何か言われる筋合いはない!この落ちぶれた負け犬弁護士め!お前は弁護士ですらない!」と罵倒する事態となった。

この議会でのやり取りについて、三牧氏はボンディ氏の態度に違和感を示した。

「この場にはエプスタイン氏の性的人身売買の被害女性たちもいたが、ボンディ氏は1度も彼女たちの方を見なかった。また、議員の1人が、被害者たちに対して『司法省からコンタクトがあって面談が叶った人はいますか?』と聞いたら、1人もいなかった。つまり本気になってこの問題を解明しようとしていないのではないかと言うこと」

さらに、文書の公開状況についても「今回300万ページが公開されたのは良かったが、公開されていないのも300万ページほどあるのに『もうこれ以上の公開はしない』としている。当然国民としては、その300万ページにまずいことがある、トランプ大統領を含めトランプ政権の関係者がエプスタイン氏の犯罪に関与するような情報があるから公開しないのではないかと国民は疑ってしまう」と分析した。

黒塗りについても「黒塗りされる前の文章を見ることが許されている議員によると、関係のないところにも相当黒塗りがあると。実際は、この犯罪に関わっていた権力者、政財界の有力者が、彼らを犯罪者として国民に公開しないために、守るために黒塗りにしているのではないかと見られている」と語り、公開によって国民の疑念が高まっている現状を解説した。

■ヨーロッパとの温度差とトランプ政権への「国民の怒り」

エプスタイン問題の発端は2005年、14歳の少女が被害届を出したことで捜査が開始されたことにある。エプスタイン氏は2008年に買春の重罪を認めて禁固13カ月の刑に服した。その後、2019年に再び逮捕・起訴されたが、裁判の前に拘置所で自殺を図り、死亡している。

今回の文書公開に至る流れとしては、2024年の大統領選で公開を検討したトランプ大統領が、2025年資料公開の法案に署名し、司法省による公開が決定した。そして今年1月に追加資料が公開されたが、この公開によってアメリカやヨーロッパを含め、連日報道が過熱している状況だ。

三牧氏は「名前がたくさん出てくる=エプスタイン氏の犯罪に関与していたということではない。だからこそ、ちゃんと解明が進められるべきなのに、司法省は新たな訴追はしない。さらに、これで文書の公開も捜査も終わらせてしまうのではないかという国民の懸念がある」と見る。

「エプスタイン氏が2008年に有罪になった後も、多くの政財界の有力者、アメリカ国内外の有力者がエプスタイン氏とかなり親密なEメールなどやり取りをしていた。それは、刑事的な罪には問われないにしても、道義的な責任はあるのではないかと」

さらに、「最近でもアメリカのホテル大手ハイアットの会長やゴールドマン・サックスの幹部など、とりわけビジネス界の重鎮たちが辞任という形になっている。それに対して政界は、犯罪への関与はまだわからないものの、相当名前が出ている人も一切罪に問われていない」と政界の対応の遅れを指摘。

また、アメリカとヨーロッパの対応の違いについても意見する。

「イギリスでは、元駐米大使のマンデルソン氏がエプスタイン氏と非常に親密な交流があった。その過程でイギリスの機密情報を流していたのではないかということで、マンデルソン氏だけでなく、それを知りつつスターマー首相が任命したことにも問題があるということで、スターマー首相の任命責任、さらには辞任も考えるべきではないかと世論が相当高まっている」

「それに対しアメリカは、文書に名前がたくさん出てきている政治家がいるわけだが、調査をするといった動きが出てきていない。そもそもこの問題はアメリカ人のエプスタイン氏がアメリカを中心として起こした事件なのに、ヨーロッパと比べても事態解明の動きが鈍すぎる、早々に幕引きしようとしていることでアメリカ国民は怒っている」

(『わたしとニュース』より)

【映像】米議会が罵詈雑言の嵐(実際の映像)

【画像】米議会が罵詈雑言の嵐(複数カット)

【映像】トランプ氏を怒らせた?“マドゥロ・ダンス”の様子