社会実装に向けた自動物流道路の第一歩! 倉庫内検証と運行実証のユースケースを見る

正直言ってまだ全体像が見えてこないのだが、東名高速のような道路空間に物流専用のスペースを設け、クリーンエネルギーを電源とする無人化・自動化された輸送手段によって貨物を運ぶ新たな物流システム「自動物流道路」が少しずつ動き始めている。
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1月29日には、社会実装に向けた実証実験のうちユースケース1とユースケース6が「ランドポート横浜杉田」の自動倉庫エリアで行なわれた。果たして、いま自動物流道路はどんな立ち位置にいるのだろうか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/フルロード編集部、イラスト/国土交通省
自動物流道路の実証実験

実証実験が行なわれた「ランドポート横浜杉田」
自動物流道路は、「2024年問題」に象徴される物流危機、あるいはカーボンニュートラルなどに国をあげて対処しようという壮大なプロジェクトである。
国土交通省は昨年7月末に「自動物流道路の在り方 最終とりまとめ」を公表したが、それによると、現在建設中の新東名高速道路の一部区間において2027年度までに自動物流道路の実験を実施することが決まっており、これに先立ち、今年2月28日まで「令和7年度自動物流道路の社会実装に向けた実証実験」を行なうことを決定。6つのユースケースにおいて要素技術等の検証を行なっている。
各ユースケースは以下の通り。
ユースケース1
拠点における無人荷役機器による荷役作業の効率化で、トラックからの荷積み・荷降ろし、輸送機器への積み替え作業の自動化に必要な床面積、作業時間などについて検証する。
ユースケース2
本線単路部における輸送機器の自動走行で、速度や荷物重量の異なる輸送機器の自動走行の状況、必要な道路幅、走行環境、荷物への影響などを検証する。
ユースケース3
本線単路部における異常検知および搬送機器の回避行動で、異常発生時の検知能力や回避行動における走行技術および制御技術の精度を検証する。
ユースケース4
本線単路部における搬送機器の通信安定性で、トンネルなど通信環境が不安定な状況下においても自動走行が可能かどうかを検証する。
ユースケース5
搬送機器の運行管理で、搬送機器や荷物の運行状況を管理するためのシステムについて、その有効性と課題を検証する。
ユースケース6
拠点における搬入車両の到着予定情報の情報提供で、搬入車両の到着予定情報をシステムで受信し、搬送機器へ指示。車両の到着に合わせて搬送機器をスタンバイさせる運用について検証する。

自動物流道路の6つのユースケース
ユースケース1と6を検証
このうち1月29日に行なわれた実証実験は、ユースケース1と6で、野村不動産が代表企業として全体の取りまとめや実証場所の提供を行なった。この実施用実験にはこのほか、IHI、IHI物流産業システム、ナカオ工業、フジトランスポート、NX総合研究所、岡谷鋼機が参加している。
では、実証実験の流れにそってユースケース6の概要から見てみよう。
1. まずランドポート横浜杉田近傍のIHI横浜工場からトラックが出発。トラックがあらかじめ指定されたポイントを通過(今回はETC2.0の路側機)すると、統合運用制御システムへポイント到着予告を発信。システム側から倉庫内の接車バースを指定し、トラックへ通知する。

自動物流道路の統合運用制御システムの画面
2.トラックからの到着予告を受け、倉庫オペレーターへ荷積み準備指示を実施。自動倉庫とAGF(無人搬送フォークリフト)において荷積み準備作業を開始する。
3.トラックのバース到着確認後、AGFへ荷積み指示を実施する。
4.荷積み作業完了後、システムからトラックへの離車指示を実施する。
次にユースケース1の倉庫内検証はユースケース6の流れと被るが、
1.トラックからのポイント通過通知を受け、自動倉庫から荷物の出庫を開始。
2.トラックの到着に備え、自動倉庫の出庫位置から搬出バッファ位置へ荷揃えを実施する。
3.トラックが到着次第、搬出バッファ位置にある荷物をトラックへ積み込みする。
ちなみに今回はトラック荷役に対応した自動運転フォークではないため、バース付けしたトラック後部から積み、ナカオ工業のオートフロアにより荷物が奥へ移動するという流れになっている。

AGFがトラックの荷台へ運ぶ様子。決められたルートを走行する無人フォークなのでトラックは正確に決められた位置に接車する必要がある

今回のオートフロアを活用した荷積みは、選択肢の1つ。このほかにも荷役対応の自動運転フォークを活用する方法や、フォークを介さず直に積み込む方法なども考えられる
自動物流道路の立ち位置
今回の実証実験は、技術的にはさほど難易度が高くなかったので全体的にスムーズに執り行なわれたが、ただ自動物流道路のプロジェクトを俯瞰してみると、まだまだ道は険しいように感じられる。
まず自動物流道路の輸送手段だが、現在は比較的小さい車輪付きのコンテナが自動で搬送されるイメージが一般的だが、この輸送手段の最終形態がまだ煮詰められておらず、それによってプロジェクト自体が紆余曲折する可能性もあるように感じられる。
また、そもそも新たに専用の物流道路をつくることのプラスマイナスの検証ももっとシビアに行なわなければならないだろう。物流崩壊が目前に迫っているという切迫感はわかるが、それでも国家的なプロジェクトであるから、国民のコンセンサスは大事だと思う。
ちなみに自動物流道路は国交省の道路局が主導しており、不動産業界や建設業界の大手がこぞって参画している。しかしトラックメーカーなどの参加は今のところないようだ。

自動物流道路の社会実装に向けてのフェーズ
いっぽう国交省の物流・自動車局が主導するのが自動運転トラックである。自動運転トラックも自動物流道路も当面のところ幹線輸送をターゲットにしており、その意味では目的がバッティングしている。
当日の国交省道路局の説明によると、自動物流道路は小口多頻度化している輸送をターゲットにしており、パレット1枚~2枚の荷物に重きを置くので、大口の荷物を運ぶトラックとは棲み分けができるとのことだ。果たしてどうだろうか。
いずれにしても、自動物流道路も自動運転トラックもこれからますます開発が急ピッチで進むことだろう。願わくば技術開発に突っ走るだけではなく、時には自らの立ち位置を俯瞰的に眺めて、他のプロジェクトと手を結ぶ必要もあるのではないだろうか。自動物流道路と自動運転トラックが有機的につながれば、未来の物流の可能性はさらに広がるように思う。