【解説】旧統一教会への解散命令請求…あす東京高裁が決定 教団は今後どうなる? 再び解散命令なら清算手続き開始へ
世界平和統一家庭連合=旧統一教会に対する解散命令請求について、東京高裁は4日、解散を命じるかどうか、決定を出します。1審に続き解散命令が出た場合、教団の清算手続きが始まります。これまでの経緯や主な争点、今後の流れについて解説します。
■これまでの経緯は?1審の解散命令後に教団は方針転換
2022年7月に起きた安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、世界平和統一家庭連合=旧統一教会の高額献金や霊感商法の問題が改めて浮き彫りとなりました。
文部科学省は2023年10月、教団に対する解散命令を東京地裁に請求。およそ1年半後の2025年3月、東京地裁は教団に解散を命じる決定をしました。
これに対し、教団側は決定を不服として即時抗告し、5月から東京高裁で非公開の審理が行われてきました。
10月には2世信者で教団本部の職員の男性と、韓国籍の女性信者の証人尋問が行われ、2人は、ひぼう中傷や差別的な扱いを受けていて、解散命令が確定することで被害が深刻化するなどと訴えたということです。
11月に国側と教団側の双方が最終主張書面を提出し、解散命令をめぐる高裁での審理は終結。これを区切りとして、12月には教団で一連の問題の対応にあたってきた田中富広氏が教団の会長を辞任しました。
一方で、教団は10月以降、被害を訴える元信者らと早期解決をはかろうとこれまでの方針を転換。献金の返還請求に対応するため、第三者の弁護士による「補償委員会」を設置したほか、元信者らが損害賠償を求めて申し立てた集団調停では、これまでに教団側が計195人に総額約40億円の解決金を支払うことで9回の調停が成立しています。
■東京地裁は“民法上の不法行為”根拠に解散命令 「長期間にわたり類例のない膨大な被害を生じさせた」と指摘

2025年3月 東京地裁の決定後に会見する旧統一教会の田中富広元会長 日テレNEWS NNN
1審の東京地裁の決定について振り返ります。
そもそも、解散命令とは「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などがみられる場合に、裁判所が宗教法人の解散を命じ、宗教法人格をはく奪する手続きです。
1審での主な争点は、解散命令の要件である「法令違反」に民法上の不法行為が含まれるかどうかでしたが、東京地裁は民法上の不法行為も「法令違反」にあたると判断したうえで「およそ40年の長期間にわたり類例のない膨大な被害を生じさせた」として、教団に解散を命じました。
これまでに、「法令違反」を理由に解散を命じられた宗教法人は、地下鉄サリン事件などを起こした「オウム真理教」と、霊視商法による詐欺事件を起こした「明覚寺」の2つ。いずれも幹部が刑事裁判で有罪判決を受けていたことが根拠とされたため、民法上の不法行為を根拠として解散を命じたのは初めてのことでした。
■争点は教団のコンプライアンス宣言後の“被害”や対応の評価

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高裁の審理でも主な争点となったのは教団が2009年に出したコンプライアンス宣言以降の献金勧誘による被害や、教団の対応をどう評価するかです。
解散を命じた東京地裁は「宣言後も近時まで被害が途切れることなく続いている」「根本的な対策を講ずることなく、 現在まで不十分な対応に終始している」と指摘しました。
これに対し、教団側はコンプライアンス宣言を徹底させ、不安をあおる過度な献金の勧誘を禁止するなど組織の改革をすすめ、被害の訴えは大幅に減っていると主張しています。
また、元信者らが申し立てた集団調停への対応や、献金の返還請求に対応する補償委員会の設置など「問題解決に向けて努力を続けており、解散命令の必要性はない」としています。
一方、国側は、教団側の不法行為を認めた民事裁判の判決や、被害を訴える元信者らとの和解・示談を根拠に、違法な献金の勧誘行為が長期間にわたり全国規模で繰り返されており、コンプライアンス宣言後も本質的な改善はみられないなどと主張。解散を命じた東京地裁の決定は妥当だとしています。
■教団は今後どうなる?高裁で再び解散命令が出れば教団の清算手続き開始へ

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仮に東京高裁が解散を命じた場合、教団側は最高裁に不服を申し立てる特別抗告をすることができます。ただし、最高裁の判断を待たずに、高裁の決定が出た時点で解散命令の効力が生じることになるため、教団の清算手続きが始まることになります。
清算手続きでは、裁判所が選んだ清算人が預金や不動産など教団の財産を管理・調査したうえで、その財産を被害者の救済にあてていくことになり、東京・渋谷区の教団本部や全国にある約280の教会は今後処分されることになります。
献金被害を訴える人は、清算人に自身の被害を届け出て、それが認められれば、教団の財産から賠償を受けることになります。
東京地裁の決定文によりますと、2023年3月末時点の教団の総資産は1181億円とされていますが、被害者の救済が終わった後に財産が残っていた場合、その財産は解散した宗教法人の規則に従って処分できると宗教法人法で定められています。
財産の移転先について、教団は2009年に北海道帯広市の宗教法人「天地正教」にすると役員会で決議したということです。
■天地正教とは?「財産移転で解散命令制度が骨抜きになる」弁護士は課題を指摘

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「天地正教」は1987年に設立された宗教法人です。教祖が旧統一教会の信者から伝道されたことをきっかけに接点ができたといい、信仰の対象としている弥勒菩薩は、旧統一教会の創始者である文鮮明氏だとしています。天地正教は過去の民事裁判の判決で旧統一教会の指揮命令下にあると認定されたこともあります。
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全国統一教会被害対策弁護団 阿部克臣弁護士 日テレNEWS NNN
全国統一教会被害対策弁護団の阿部克臣弁護士は、天地正教について「旧統一教会の傘下にある」としたうえで、「余った財産が引き継がれれば、天地正教という別の宗教法人で引き続き同じような活動をしていくことが可能になる。法人格を失わせるという解散命令制度が骨抜きになる」と課題を指摘しています。
一方、旧統一教会は天地正教との関係について「交流があり友好団体という位置づけだが、傘下組織ではなく指揮命令関係もない」と説明。
天地正教も「旧統一教会とは別の宗教法人であり、当教団が『吸収された』という事実はない」としています。
東京高裁が解散命令を出すと、教団は宗教法人格を失います。
そのため、宗教活動で得た収入への法人税や宗教活動に使う不動産の固定資産税などで、税制上の優遇を受けられなくなりますが、宗教団体として信仰や布教などの宗教活動を続けることはできます。
一方、東京高裁が地裁の解散命令を取り消した場合、教団は当面、宗教法人として存続することになりますが、国側は最高裁に不服申し立てを行うことができます。