高知名物の宴会「おきゃく」が春の祭りに こたつ囲んで酒酌み交わし皿鉢料理が彩り添えて

カツオを中心にした刺し身盛り、揚げ物、焼き物などを盛り込んだ組物と、皿鉢料理が「おきゃく」のだんらんに彩りを添える=高知市の「土佐御苑」(酒巻俊介撮影)
出会いと別れが交錯する春。人が動き、宴会が増えるこの時季に、高知市とその周辺で街全体を大きな宴会場に見立てた祭り「土佐の『おきゃく』」が開かれる(7~15日)。

おきゃくとは宴会のこと。宴を催すために招く「お客」が、いつしか宴自体を指す言葉になったとか。さまざまな人が集い、酒を酌み交わす交流の場で、おもてなしそのもの。商店街のアーケードに並んだこたつを地元の人も観光客も入り交じって囲み、差しつ差されつする光景は春の風物詩となっている。

桜舞う情景を思わせる、西川屋の春の銘菓「桜花豊城」
山海の幸をぜいたくに盛り付け
「もともと高知の人は冠婚葬祭や神祭をはじめ、家を建てた、車を買ったと、いろいろな口実でおきゃくをするんです」と、約20年にわたってイベントに携わる、木村祐二さん(73)。
そこには家庭や地域に根付いた文化があるという。市内の宴会場で木村さんらが開いたおきゃくの末席に加わった。ひと抱えもある大皿を人々が囲む。山海の幸をぜいたくに盛り付けた皿鉢(さわち)料理だ。
「組物」と呼ばれる皿鉢の上は実ににぎやか。サバの棒ずしにローストビーフ、カニのグラタン、そして、ゆで卵を丸ごと包んだ郷土食のかまぼこ「大丸」が花を添える。フルーツやようかんなどの甘味も盛り込まれ、子供やお酒が苦手な人への気遣いが感じられる。
来る者は拒まず、神様も?
地元の家庭でハレの日に開くおきゃくにも、皿鉢料理は欠かせない。作る手間はかかるものの、一度座卓に運べば給仕に追われることなく、女性も宴席につくことができた。
各自が好きなものを小皿に取り、好きなだけ食べる。「食べれば食べるほど、大皿のきれいな絵柄が見えてくるでしょ。だから、高知では料理を食べることを『皿映える』というんですよ」。土佐の「おきゃく」推進会議の会長を務める、横山公大(こうだい)さん(51)がこう教えてくれた。
同じ皿鉢の料理を味わいながら、土佐式の献杯、返杯を繰り返し、心を通わせる。来る者は拒まずで、ときには通りすがりの人が輪に加わることも。それは、南国の風土に育まれたおおらかな気質からだけではないようだ。
木村さんが、火の神様を祭る秋葉神社(仁淀川町)で行われる祭礼後のおきゃくについて語った。「もしかしたら神様も来るかもしれない。怒らせて火事が起きないように、と誰でも迎え入れる風習がある。おきゃくの根底には、そういう考えがあるのではないでしょうか」。
旬の和菓子「桜花豊城」
高知城から見上げた空に桜の花が舞う-。「桜花豊城(おうかほうじょう)」は、そんなうららかな春の情景を思い起こさせる。
四国の菓子店で最古の歴史を誇る、元禄元(1688)年創業「西川(にしがわ)屋」(高知市)の春の銘菓で、この時季を待ちわびるファンが多い。
ふわふわに蒸し上げられた小豆入りの浮島、桜色のようかん、しっとりとしたかるかんの3層になっている。真っ白のかるかんに散らした桜の花の塩漬けが、見た目と香りで春の華やかさを醸す。
高知は桜の開花が早いことで知られる。「3月に入ると今年も全国に先駆けて一番かどうか、そわそわし出します。お花見気分を盛り上げるお菓子として親しまれてきました」と、13代目の池田真浩さん。
1人で食べるには少し大きめ。「『お茶を飲みながら一緒に食べない?』と友達に声をかけるきっかけにしてもらえたらうれしい」
7日から限定販売。1本1296円。(榊聡美)
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