iPS再生医療「何としても」未踏の本承認に挑む住友ファーマ 年内にも治療開始で緊張感

アムシェプリの製造販売承認を受け、記者会見に臨む住友ファーマの木村徹社長(右から2人目)ら=6日午後、大阪市中央区(土井繁孝撮影)
厚生労働省は6日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った2種類の再生医療等製品の製造販売を条件と期限付きで承認した。2種類のうちパーキンソン病治療薬「アムシェプリ」の開発を手掛けた住友ファーマなどは大阪市内で記者会見し、世界初の快挙を喜んだ。ただ今回の承認は条件・期限付きの「仮免許」であり、本承認に向け、有効性と安全性を示せるかが焦点になる。

アムシェプリの製造販売承認に関する記者会見で説明する住友ファーマの木村徹社長(左端)=6日午後、大阪市中央区(土井繁孝撮影)
有効性と安全性が焦点

「まだまだ終着点には遠いと考えているが、ひとつのポイントだ。(本承認へ向け)きちんと成果を出していく」
会見に同席した京都大iPS細胞研究所の高橋淳所長はこう述べ、早期に患者へ届ける思いを新たにした。
パーキンソン病は脳内でドーパミンを作る神経細胞が減少する難病だ。アムシェプリはiPS細胞由来の神経のもとになる細胞を患者の脳に移植する製品。京都大の臨床試験(治験)では患者の脳に細胞を移植し、安全性や症状改善の可能性を検証した。
再生医療等製品の承認に際しては、一定の有効性が示された段階で使用を認め、販売後にデータを収集する。今回は「仮免許」にあたり、7年間という期限内に治療を通じて有効性と安全性が確認されれば、条件のない本承認を得る。ただ、治療は脳への細胞移植という難しい手術を伴い、高度な医療体制の構築が不可欠となる。
製造販売後の治験では、計7施設で35人への移植を実施する予定。最初の患者への移植は今年中になる見通しで、35人の手術完了までには2~3年かかるとした。
細胞製品は品質管理や製造が難しく、移植手術や患者ケアの方法を他の施設へ広げることも重要になる。
社会実装へ移行
住友ファーマの木村徹社長は「非常に大きなマイルストーンだと喜んでいるが、あくまでも制限のかかった承認」と述べた。本承認を見据え「京都大での治験で得られた結果を再現できるかが課題だ。非常に緊張感を高めている。平坦(へいたん)な道ではないが、何としてもやり遂げたい」と強調した。
医薬品としての開発は住友ファーマと親会社の住友化学による合弁会社「ラクセラ」が担い、生産は医薬品受託製造会社「エスラクモ」が手掛ける。
住友化学の水戸信彰社長は「社会実装のステージへと移行したことは大きな意義を持つ」と評価し、再生医療を同社グループの将来の柱の一つに育てたいとの考えを示した。日本発の新たな治療法の確立に注目が集まっている。(清水更沙、前原彩希)