大使館に自衛官侵入 専門家「日本側と中国側の報道が違う」大きな問題になる可能性も?

中国大使館に侵入したとして自衛官の男が逮捕された事件を受け、中国外務省は「日本への渡航を控えるよう厳重に注意喚起する」と改めて呼びかけました。

■“侵入”男 前日からの足取りも明らかに

日テレNEWS NNN 日テレNEWS NNN

24日に建造物侵入の疑いで逮捕された自衛官の村田晃大容疑者(23)は26日、送検されました。

侵入したとみられるのが、東京・港区にある中国大使館です。その理由について「中国大使に日本への強硬姿勢を控えてほしいといった考えを伝えたかった」と話しているといいます。

これを受け26日、中国外務省は改めて日本への渡航自粛を呼びかけました。

中国外務省

「日本にいる中国国民を取り巻く安全環境は悪化の一途をたどっている。当面、日本への渡航を控えるよう厳重に注意喚起する」

大使館の侵入事件は24日に起きました。中国大使館の敷地内を村田容疑者が歩いているのを大使館員が発見。村田容疑者は「大使に会いたい」と言ったといい、その後、大使館員らに確保されました。

敷地内の植え込みからは刃渡りおよそ18センチの包丁のようなものが見つかったといい、この刃物について村田容疑者は「受け入れてもらえなければ刃物で自決して驚かせようと思った」と話しているといいます。

日テレNEWS NNN 日テレNEWS NNN

村田容疑者は、宮崎県のえびの駐屯地に所属していたということです。

防衛省によりますと事件前日の23日、村田容疑者は休暇を取得していて、事件当日は無断欠勤していたことがわかりました。

休暇を取得していたという前日からの足取りも明らかになってきました。

事件の前日、宮崎から高速バスで福岡・博多へ移動し、新幹線で東京駅へ。到着後、銀座に向かった村田容疑者は、量販店で刃渡り18センチの包丁のような刃物を購入。この日は銀座のネットカフェに宿泊し翌日、中国大使館に向かったということです。

日テレNEWS NNN 日テレNEWS NNN

大使館を囲む塀には有刺鉄線が張り巡らされていますが、村田容疑者は隣接する建物から塀を乗り越え侵入したとみられています。

村田容疑者は、えびの駐屯地でりゅう弾砲の運用に関する業務の担当をしていたということです。10日ほど前に「3等陸尉」と呼ばれる幹部自衛官に昇進したばかりだったといいます。

防衛省は「勤務態度や言動に問題があったとの報告はない」としています。

■「軍国主義の復活を象徴する事件では」

日テレNEWS NNN 日テレNEWS NNN

現役自衛官が大使館に侵入する事態に中国側は、2日連続で強い憤りをあらわにし、日本側に事件の徹底的な調査を求めました。

中国外務省 報道官

「中国側はこの事件に強い衝撃を受け、日本側に対して厳正な申し入れを行い強く抗議した」(24日)

「今回の事件が大使館職員の安全を深刻に脅かし、大使館の尊厳を損なったことを指摘した」(25日)

さらに、今回の事件の犯行動機について、警視庁は「中国大使への面会が目的だった」としていますが…

中国外務省 報道官

「許可なく刃物を所持して大使館に入り、大使と面会した前例を見たことがあるか。男がいわゆる神の名の下に中国外交官を殺害すると脅迫したことは争えない事実だ」

中国政府の関係者は、今回の事件を“緊急事態”としたうえで「日本の軍国主義の復活を象徴する事件ではないか。自衛隊の管理や教育に問題があると懸念している」と話しています。

日テレNEWS NNN 日テレNEWS NNN

この事件は中国国内でも大きく伝えられています。

「刃物を持って大使館に侵入した事件は日本の極右思想の危険な動きの表れだ」

日本政府はすでに再発防止の対策を講じていると説明しました。

木原官房長官

「法を順守すべき自衛官が建造物侵入の容疑で逮捕されたことは誠に遺憾であります。在京中国大使館の警戒にあたる警察官を増強・配置する。すでに実施しております」

こうした中、会見後に呼びかけられたのが日本への渡航自粛です。

■中国の報道「殺害目的で刃物を持ち込んだ」

日テレNEWS NNN 日テレNEWS NNN

悪化の一途をたどる日中関係の新たな火種。ただ、専門家は、中国側は出方をうかがっている可能性があると指摘します。

神田外語大学 興梠一郎教授

「いち早く日本側がこれを認めて遺憾であると。あとは警察も自衛隊もしっかり対処するって言ってるから、それに対してどう出るかっていうのを向こう(中国側)も今のところ決めかねてるかもしれない」

「いま中国も非常に景気も悪くかなり失業率も高く、(国民の)不満もたまってるので、あまりあおると(国民が)街頭に出てデモが始まったり、そういった事態に発展しかねないので、あまり火をつけたくないのではないかってことはあると思う」

しかし、中国側の主張に懸念もあるといいます。

神田外語大学 興梠一郎教授

「中国の報道見ると(自衛官の男が)殺害目的で刃物を持ち込んだって書いてある。そこはちょっと日本側と中国側の報道が違う。中国がそこをずっと言い続けるってことになってくると、国際社会にも訴えていくかもしれないし、日本の政府が何らかの形でより強い形で謝罪しなきゃいけないとか、いろんな大きな問題に発展していく可能性もないわけじゃない」

(3月26日放送『news zero』より)