JR日南線には国鉄時代の「首都圏色」ディーゼルカーが健在…国の天然記念物「鬼の洗濯板」を見渡しながら走ります
太陽が昇り始め、海沿いの山を赤く染めていきます。海岸線に延びる線路を1両のディーゼルカーが通過した瞬間、車体が黄金色に輝きました。

【撮影データ】油津―大堂津駅間(宮崎県日南市)▽撮影日時・2026年3月5日午前7時26分▽レンズ・70―200ミリズーム▽ISO感度800▽シャッター速度1600分の1▽絞りF8
今回は宮崎、鹿児島両県を走るJR日南線です。南宮崎駅(宮崎市)を起点とし、志布志駅(鹿児島県志布志市)まで総延長88.9キロ。ルーツは古く、1913年(大正2年)8月に開通した 飫(お)肥(び) ―油津駅間の宮崎県営鉄道飫肥線と、同年10月の赤江(現・南宮崎)―内海駅間の宮崎軽便鉄道にまでさかのぼります。その後、当時の国鉄が路線の買収や延伸などを行い、63年(昭和38年)5月、現在の路線の形となりました。

日南線は海が一望できる区間や山あいを縫うように走る区間など、変化に富んだ風景が特徴です。内海駅付近では「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状の奇岩が広がる海岸線を見渡すことができます。約700万年前の地層が隆起し、波で少しずつ削られてできたもので、国の天然記念物に指定されています。
今回の撮影地は日南線のほぼ中間地点にあたる油津駅(宮崎県日南市)付近です。巨大クルーズ船も寄港する油津港の港外に位置する 猪(い)崎(ざき)鼻(ばな) と呼ばれる小さな岬からカメラを構えました。

日南線の終点・志布志駅近くにある「志布志鉄道記念公園」。同駅にはかつて大隅線、志布志線も乗り入れており、懐かしい車両や信号機が展示されている
同線の主力は国鉄時代に製造されたキハ40形と呼ばれる車両です。JR九州では白に青い帯が一本施された塗装が主流ですが、2024年7月、国鉄時代の「首都圏色」と呼ばれる朱色の車両が1両のみ復刻されました。今回は運良くこの車両が来てくれたので、まさに昭和時代のような鉄道風景が再現されました。
油津以南の区間は、利用客の減少から存続を含めたあり方が検討されています。美しくも懐かしい沿線の景観を、目に焼き付けました。(東京写真部 鈴木毅彦)
※鉄道写真撮影の際のお願いです。マナーを守って安全に撮影しましょう。