恐竜40体が潜む廃坑迷宮 極楽と地獄の向こうにある 夏涼しく冬温かい500m地底探検

坑道に現れたティラノサウルスの模型

和歌山県かつらぎ町花園の「恐竜ランド&極楽洞」は、銅を採掘していた鉱山の廃坑跡を利用した恐竜体験パークだ。網の目状に広がる坑道内を歩けば、ティラノサウルスやトリケラトプスなどおなじみの恐竜たちの模型が出迎える。恐竜展示以外にも「極楽」と「地獄」を体感するエリアもある。洞窟内に広がるラビリンス(迷宮)踏破へ、いざ出発。

小原鉱山の坑道跡

坑道の壁に刺さっている杭。銅を採掘していたころの雰囲気を伝える

県北部、高野山系の山々に囲まれたかつらぎ町花園。合併前まで花園村だったこの地区は、自然豊かな山里だ。

山道を走り続けると、恐竜ランド&極楽洞が見えてきた。「グォー」「キーキー」。駐車場のスピーカーから流れてくる音声は、恐竜の鳴き声か。ゲートの先には、体長20メートル以上あったとされる大型の草食恐竜「ディプロドクス」が現れる。秘境の雰囲気も相まって、気分が盛り上がる。「鳴き声で山の奥深くに入り込んだように感じてもらえれば」と同施設代表の上西幹典さん(50)。

極楽をイメージした展示

小原鉱山の坑道跡を利用した同施設。銅の採掘は江戸末期から始まったとされ、昭和40年ごろまで続いた。鉱山は上西家が所有。上西代表の父、巌さん(84)は子供のころ、活気に満ちた現場の様子を覚えている。「現場は子供にとっては危険で、近づいてはいけないといわれていた」という。

「極楽洞」で地獄をイメージした展示。「釜ゆで」を表現している

廃坑になってからは利用されずにいたが、地域の観光資源にしようと、旧花園村と連携し平成4年に開業した。恐竜の設置は「家族で楽しめる」と考えたため。翌年には恐竜ブームのきっかけとなった映画「ジュラシック・パーク」が公開され追い風になった。

個性的な展示多数

では、ヘルメットを着用し坑道内に入ってみよう。身をかがめながら歩いたり、階段を上下に移動したりする場所もあり、探検気分が味わえる。荒々しい岩肌が残る坑道の壁には、採掘時に利用されたとみられる杭(くい)が刺さっている。勢いよく水が流れ落ちる高さ23メートルの滝もある。

恐竜の模型は、採掘でできたくぼみなどに約40体配置。岩陰から恐竜がこちらをのぞいているように置かれたり、一部はセンサーに反応して動いたり。鳴き声も流れ、恐竜の生息域にいる感覚を演出している。

開業から十数年後、新たな展示として「極楽洞」を始めた。歴史的に高野山とゆかりが深い地域でもあることから、極楽と地獄の世界をテーマとした。エリアに入ると、閻魔(えんま)大王のもと地獄に落ちた人たちが苦しむ場面を表現した模型。さらに進むと「日頃のおこないが試されます」という「不思議変身ミラー」と称した鏡が。姿を映すと「審判」がくだされるという。果たしてそこに映る姿は、鬼か菩薩か-。

恐竜に加え、極楽、地獄の世界と個性的な展示。友人と訪れた大阪府寝屋川市の大学生、原田蓮さん(19)は「思っていた以上に広く、恐竜以外の展示もあり楽しめた。真新しい施設ではないところが、展示の世界観と合っている」。若者への受けも悪くないようだ。

上西代表は「魅力を感じてくれるファンがいる。引き続き楽しんでもらえるよう、施設を維持していきたい」と意気込む。

【施設メモ】施設内の坑道の長さは約500メートル。おおむね3層に分かれており、上部2層は恐竜を配置、下層は極楽洞となっている。坑道内は1年を通して12~13度ほどで保たれている。夏は涼しく、冬は暖かく感じる。坑道で定期的に行うメンテナンスでは、何らかの金属を含む鉱石が採掘されることがあるといい、土産品として販売されることもある。3~9月は無休、10~2月は木曜休業(祝日除く)。午前9時~午後5時(最終入場は午後4時)。大人900円、子供(3歳~中学生)600円。和歌山県かつらぎ町花園梁瀬1020。問い合わせは同施設(0737・26・0836)。

私が取材しました

小泉一敏(こいずみ・かずとし) 和歌山支局記者。昭和54年生まれ、奈良県出身。和歌山勤務は2度目だが、恥ずかしながら「恐竜ランド&極楽洞」のことは知らなかった。坑道内は「この先どうなっているのだろうか」とのドキドキ感、不気味な雰囲気を演出する赤や青のライト、出口にたどりついたときの安堵(あんど)感など、ちょっとした「お化け屋敷」を体験したような気分だった。履き古した革靴でも転ぶことなく歩けたが、坑道内はぬれた場所もあり歩きやすい靴が良さそうだ。

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