ACアダプターはもういらない? USB充電器の電圧を変更できるUSB PDトリガーケーブルを4種類試してみた

USB充電器を“ACアダプター化”しよう
以前は機器ごとに異なるACアダプターが付属し、電源タップを圧迫。ゴテゴテとタコ足配線を繰り返していた人も多いでしょう。また、プラグの形状が同じでも電圧などが異なり、使いまわせないというのも地味に面倒でした。
しかし、USB給電で動作する機器が増えてから、ACアダプター事情は大きく変わりました。供給可能な電力には注意が必要とはいえ、USBケーブルを挿すだけで動いてくれますから、複数あったACアダプターをUSB充電器1つに集約したり、機器間で使いまわしやすくなったわけです。
●それでも残る“USBじゃない機器”問題
とはいえ、それはUSB給電で動くものだけ。古い機器はコネクターがUSBではないので、今でもACアダプターが必要です。こういった機器を動かすのに便利なのが、電圧とプラグを任意に変更できる汎用ACアダプター。自分も1つ持っていますが、ジャンクを含む古い機器の動作確認でだいぶお世話になりました。

汎用ACアダプター。ダイヤルで電圧を変更、プラグは変換が多数付属しています
ですが、いくら汎用的に使えるといっても大電力モデルは大きくてジャマですし、価格も高くなりがち。新たに購入してもイマドキのUSB給電で動く機器には使いまわせませんから、どうせなら、手持ちのUSB充電器が使いたいですよね。
●USB充電器を“ACアダプター化”する方法
そこで気になるのが、USB PDに対応したトリガーケーブル。これは小さなコントロール基板が内蔵されたUSB Type-Cケーブルで、出力側はACアダプターとおなじDCプラグという製品。そうです。これがあれば、PD対応のUSB充電器を汎用ACアダプターにできてしまうのです。
問題があるとすれば、この手の製品は怪しいものがものすごく多いこと。そもそも本当に動作するのか不安だったり、マニュアルがなく使い方がわからないものも少なくありません。そこで、AmazonやAliExpress(以下、アリエク)で4つの製品を入手し、実際に使ってみることにしました。

今回試した4つの製品。全てちょっとずつ異なります
基本的な性能は大体同じで、DCプラグは外径5.5mm、内径2.5mm。USB PDに対応し、電圧の変更は5/9/12/15/20/28Vで、ボタンを押すことで切り替えられる、というものです。ただし、28Vへ対応するのは140W出力対応モデルだけとなります。
なお、厳密にはUSB PDで12Vはサポートされてないのですが、出力できるPD対応USB充電器は数多くあります。そのため、この手のトリガーケーブルでも12Vに対応しているものが多いです。実際、今回試した4製品は全て12V出力が可能でした。
ということで、1つずつどんな動作になるのか見ていきましょう。ただし、どれも製品名はよくわからないので、便宜上A、B、C、Dと呼ぶことにします。
●最大28Vまで対応した140Wモデル2種
まずは28V出力が可能な2つのモデルから。

「A」:小さな画面の下に2つのボタン、そして上に電源ボタンを装備
Aを購入したのはAmazon(URL)で、購入価格は1799円。電圧は、起動後右上の「V」アイコンが点滅しているときのみ、変更可能です。8秒くらい操作しないとロックされ、±ボタンは効かなくなります。操作ミスで急に電圧が変更しないための安全機能でしょう。
ロックされた後でも、素早く±ボタンのどちらかを2回押せば、再度変更できるようになります。ただし、負荷がある場合……つまり機器に接続して動作させている途中での電圧変更はできません。このあたり、よく考えられていますね。また、負荷があると電流や電力表示もしてくれるので、機器の消費電力確認も簡単です。
なお、USB充電器から引き抜くと、挿し直しても前の設定には戻らず、5Vからの出力となる点は注意。常用するのではなく、あくまで一時利用に適したケーブルといえるでしょう。
もうひとついいなと思ったのは、画面上の電源ボタン。これは出力を止めるボタンではなく、画面のオンオフです。一度設定してしまえば、画面が明るくてジャマになることもありますから、結構便利だと思いました。

「B」:画面の右にボタンが1つだけというシンプルなモデル
Bを購入したのはアリエクで、購入価格は500円くらい(URL)。変換プラグセットも付属しており、28V対応としてはかなり破格でしたが、そのぶん、チープな作りです。ちなみに、Amazonだと同じと思われるものが780円。変換プラグもありませんから、やや割高です(URL)。
USB充電器に接続すると画面上に数字が点滅し、電圧が変更可能な状態に。1つしかないボタンを押すと、5V→9V→12V→15V→20V→28V→5V→……と繰り返し変更されます。こちらも8秒ほど操作しないと電圧がロックされ、ボタンを押しても操作不可に。素早く2回押すと再度変更可能になるというのも同じです。
ただし、こちらは負荷があっても電圧を変更可能。機器を動かしている間は、ボタンを2回押ししないよう注意したいところ。なお、USB充電器から引き抜いても直前の設定を覚えており、挿し直せば以前の電圧で動いてくれます。この点は非常にいいですね。
●最大20Vまで対応した100Wモデル2種
続いて、20V出力が可能な2つのモデルです。

「C」:上下ボタンで電圧操作がしやすいモデル
Cを購入したのはアリエクで、購入価格は300円くらい(URL)。Amazonでも同じと思われるものがありますが、変換プラグセット付きとはいえ1500円くらいと割高でした(URL)。
USB充電器に接続すると数字が光り、その値通りの電圧が出力されます。上下ボタンで電圧が変更でき、上ボタンを押せば上昇、下ボタンを押せば下降となります。ちなみに、20V時に上ボタン、もしくは、5V時に下ボタンを押した場合は変化しません。これ以上ないくらい、シンプルでわかりやすいですね。
電圧のロックはなく、いつでもボタンを押せば電圧が変わります。当然、負荷があろうが関係なく動くので、利用中はボタンに触れないよう注意しましょう。裏を返せば、動作中に電圧を変動させる用途には向いていますが、まあ、そういう機会はまずないですよね。
設定を覚えておいてくれるため、次回使う時は最後に使った電圧の続きから使えるのはグッド。良くも悪くも、シンプルで素直です。

「D」:ボタン1つで操作しますが、ちょっとクセがあります
Dを購入したのはアリエクで、購入価格は400円くらい(URL)。Amazonだと同じと思われるものが、変換プラグセット付きで980円で売られています(URL)。
ボタンが1つとなるため、操作は迷いません。USB充電器に接続し、欲しい電圧になるまでポチポチボタンを押すだけです。ただし、この電圧の変化順に少々癖があり、5V→9V→12V→15V→20V→15V→12V→9V→5V→……といったように、押すたびに昇降を繰り返すというものでした。
そのため、15V出力しているときにボタンを押すと、次が20Vになるのか12Vになるのか分からないという……。これはちょっと使いづらいです。なお、電圧ロックはなく、ボタンを押すといつでも電圧が変動するというのは、Cと同じです。
ちなみに、設定は記憶してくれるため、挿し直せば同じ電圧を出力してくれます。ただし、覚えているのは電圧だけ。電圧変化順の昇降方向は記憶しておらず、ボタンを押すと必ず上昇に動くという動作になっていました。
●140WモデルのAかBがオススメ
どれもPD対応のUSB充電器から任意の電圧を取り出すことは成功し、トリガーケーブルとしてちゃんと機能しました。しかし、その操作や機能には結構違いがあり、なかなか興味深い結果となりました。
個人的なオススメは、140WモデルとなるAかBのどちらか。Aは電圧の昇降がしやすく、誤操作防止のロックがあること、そして電力表示や画面オフといった付加機能が充実しているのが魅力です。唯一欠点があるとすれば、電圧設定を覚えくれないことでしょうか。
これに対してBは、ボタンが1つとなるため電圧の昇降こそやりにくいですが、誤操作防止のロックがあり、電圧設定も覚えてくれます。機能は少ないですが、電圧を頻繁に変更しないのであれば、これもアリです。
なんとなくですが、ジャンク品の動作確認や実験用の電源として使うならA、周辺機器のACアダプター替わりにするならBが向いているかな、と感じました。
なお、変換プラグセットは1つあると、多くの機器に対応できるようになるため便利。トリガーケーブルを初めて購入するなら、変換プラグセット付きを選ぶといいでしょう。なお、2個目以降は前のを使いまわせばいいので、本体だけでもOKです。価格と相談しましょう。

変換プラグセットがあれば、イロイロな形状のプラグに対応できて便利です
最後に注意ですが、最初にも少し触れたように、USB PDでは12Vはサポートされていません。そのため、トリガーケーブルで12Vを使いたいと考えているなら、12V出力が可能なPD対応USB充電器を使うようにしましょう。
●お気に入りポイント●
・上下ボタンがあると電圧設定がラク
・設定を覚えてくれるのが使いやすい
・変換コネクタセットは1つあると使いまわせる
この記事を書いた人──宮里圭介
PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。