JAXAが「H3」ロケット6号機の打ち上げ延期を発表 固体ブースターを使わない形態の試験機
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は2026年6月8日、「H3」ロケット6号機(30形態試験機)の打ち上げを延期すると発表しました。
H3ロケット6号機は日本時間2026年6月10日9時53分59秒~11時52分46秒の時間帯に打ち上げられる予定で準備が進められていましたが、JAXAは10日の天候の悪化が予想されることから、打ち上げを延期すると述べています。
新たな打ち上げ日については、決定次第発表するということです。なお、H3ロケット6号機の打ち上げ予備期間は2026年6月11日~2026年6月30日が確保されています。

【▲ 種子島宇宙センターから打ち上げられる「H3」ロケット6号機(30形態試験機)のCGイメージ(Credit: JAXA)】
6号機は低コストな“30形態”の初飛行
H3ロケット6号機は、1段目のエンジン「LE-9」を2基から3基へ増やす代わりに、固体燃料ロケットブースター「SRB-3」を1基も搭載しない形態「H3-30S」(30形態)の試験機という位置付けです。H3の各形態のなかでも30形態は打ち上げコストが最も低く、衛星をより安価に軌道へ投入できるようになると期待されています。
JAXAは2025年7月と2026年3月に30形態の1段目実機型タンクステージを用いた燃焼試験(CFT: Captive Firing Test)を種子島宇宙センターで実施するなど、6号機の打ち上げに向けて準備を進めてきました。
・JAXAが「H3」ロケット“30形態”の第2回1段目実機型タンクステージ燃焼試験を実施(2026年3月15日)
・JAXA、「H3」ロケット“30形態”の燃焼試験を実施 計画通り終了と発表(2025年7月24日)
30形態での初飛行であることから、6号機は性能確認用ペイロード(VEP-5)を搭載して打ち上げられます。他にも以下6機の小型副衛星が搭載されており、高度約576kmの太陽同期軌道に投入される予定です。
・東京科学大学「うみつばめ」
・静岡大学「STARS-X」(愛称「しらいと」)
・Unseenlabs社「BRO-22」
・九州工業大学ほか「VERTECS」
・BULL社「HORN-L」「HORN-R」

【▲ 「H3」ロケット6号機(30形態試験機)のCGイメージ(Credit: JAXA)】

【▲ 「H3」ロケット6号機(30形態試験機)2段目のCGイメージ。最上部中央の円盤が性能確認用ペイロード(VEP-5)で、その下のアダプタに6機の超小型衛星が搭載されている(Credit: JAXA)】
8号機打ち上げ失敗の原因究明状況を反映 飛行再開への期待も背負う
既報の通り、H3ロケットは2025年12月に8号機が打ち上げに失敗し、搭載されていた準天頂衛星システム (QZSS) 「みちびき」 5号機を軌道へ投入することができませんでした。
原因究明を進めたJAXAは、ロケット2段目に衛星を搭載するための部品のひとつである衛星搭載アダプタ(PSS)に製造の段階で部材の剥がれが生じて強度が低下した結果、打ち上げ中に2段目から衛星が脱落した可能性が極めて高いと特定しています。
・部材剥離を主要因とした対策方針を決定 JAXAがH3ロケット8号機打ち上げ失敗原因究明状況を報告(2026年4月13日)
・【更新】H3ロケット8号機打ち上げ失敗 「みちびき」5号機を予定の軌道へ投入できず(2025年12月22日)
JAXAは、今後打ち上げられる機体については当面、衛星搭載アダプタの製造方法を変更する方針を示しています。
一方で、6号機については荷重が低いことから、製造済みの衛星搭載アダプタを補修した上で使用することが決まっており、5月13日の記者説明会では補修後の荷重試験を完了したことが報告されました。
JAXAによると、8号機打ち上げ失敗の原因究明評価を裏付けることと、将来のミッションの確実性を高めるために、6号機にはフェアリング分離時の衝撃を確認するための高周波用加速度センサーなどが追加搭載されるとともに、フェアリング内のカメラ映像の収録時間も延長するということです。
低コスト化の30形態実用化と、本格的な打ち上げ再開という2つの期待を背負う、H3ロケット6号機の打ち上げが注目されます。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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参考文献・出典
・JAXA - H3ロケット6号機(30形態試験機)の打上げ延期