ChatGPTの画像生成AIは本当に最強か Nano Bananaと比べて見えた“弱点”

自分の顔がなかなか似ない, AIキャラクターでもやっぱり似ない, 実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい, 目指す画像によって使い分ける必要がありそう

GPT Image 2.0で作成したプールにいるこの連載のAIモデル・明日来子さん(筆者作成)

 OpenAIの画像生成AI「GPT Image 2.0」の高い能力が次々に明らかになっていますが、グーグルの「Nano Banana」と比べて劣っている部分もあるようです。その代表的な例が、実写人物の一貫性です。筆者の顔を再現しようと試みたのですが、なかなか似てくれません。それ以外にも、様々な制約があり、特有の癖があることもわかってきました。特に、人物の一貫性維持では、Nano Bananaに軍配が上がると考えられます。作例を通して、両者を比較していきます。

自分の顔がなかなか似ない

 過去のこの連載で、Nano Banana Proを使って、筆者自身の顔の画像を参照させることで、どこまで似た顔の再現が可能なのかを紹介しました。単に画像のリファレンスを与えるだけでは似ないため、顔を分析し、プロンプトを作成して、リファレンス画像と組み合わせることで、かなり近い顔が出せることを示しました(参考:AIフェイクはここまで来た 自分の顔で試して分かった“違和感”と恐怖)。

 そこで、GPT Image 2.0でも同じやり方が通用するかを試したのですが、なかなか似てくれません。

 画像の左側の4枚は、筆者のリファレンス画像を4枚与えて、表情差分を作らせたものですが、何か違う、という印象を受けます。右側の4枚は、1枚ずつリファレンス画像を参考に、プロンプトを作成させ、それを反映させて作った画像です。1枚出すごとに、プロンプトを再検討させて、微修正を加えているのですが、やればやるほど、どんどん筆者本人からは遠ざかっています。最後の右下の画像はもう完全に別人です。

自分の顔がなかなか似ない, AIキャラクターでもやっぱり似ない, 実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい, 目指す画像によって使い分ける必要がありそう

GPT Image 2.0のリファレンスとプロンプトを使って作った筆者

自分の顔がなかなか似ない, AIキャラクターでもやっぱり似ない, 実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい, 目指す画像によって使い分ける必要がありそう

GPT Image 2.0に与えた筆者のリファレンス画像4枚

 試行錯誤をする中で、突然似た顔が出てくるようになりました。リファレンス画像に、前回のNano Banana Proで作成した、比較的似ていると感じられる画像も追加したためです。Nano BananaにはProと「2」があります。テキスト表示の正確さでは2が優れていますが、人物の描写はProの方がより精密だと筆者は感じています。

 GPT Image 2.0は、どうも同じようなライティングや服装、髪型といった類似情報があり、AIを通じて整理された情報を扱うほうが、うまく処理してくれるようです。

自分の顔がなかなか似ない, AIキャラクターでもやっぱり似ない, 実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい, 目指す画像によって使い分ける必要がありそう

Nano Banana Proで作成した筆者。若干美化されているが、かなり似ている

 また、生成時の解像度によって、再現精度も変わるようです。左は、ChatGPTのWebで生成したものですが、解像度が1086x1448(1K)です。右は、有料クラウドサービスのを利用して2048x2720(2K)と指定して生成したものですが、解像度が高い分、表現力が上がったことで、筆者により似た雰囲気になり、Nano Banana Proに匹敵する品質が出ています。ただ、GPT Image 2.0は、Nano Banana Proに匹敵する潜在的な能力を持っているのですが、特定の誰かに似た画像を作り出すのは、Nano Banana Proよりも劣る可能性がありそうです。

自分の顔がなかなか似ない, AIキャラクターでもやっぱり似ない, 実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい, 目指す画像によって使い分ける必要がありそう

Nano Banana Proの画像をリファレンスとして加えてGPT Image 2.0で作成した筆者。クラウドサービスで高い解像度で作った方(右)の品質が高い

 この画像をリファレンス画像として、庶民派のイタリアンレストランチェーンで食事をしている設定にしたところ、かなり雰囲気が出ています。一緒に飲んでいる人たちを別人にするよう指示したところ、まったく違った顔が出せています。

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庶民的イタリアンレストランでの会食

AIキャラクターでもやっぱり似ない

 同じことを、AIキャラクターの明日来子さんでやってみましょう。

 以前、この連載で、明日来子さんを使って、GPT Image 2.0を使った服のコーディネートの作例をご紹介しましたが、気になっていたことがありました。顔のばらつきが激しかったのです。(参考:ChatGPTの画像生成AIが強すぎる AI画像が世界中に氾濫する時代)

 リファレンス画像として、過去にNano Banana Proで作成した三面図と表情差分などを与えているのですが、プロンプトで補正しても、近づけるのは簡単ではない、という印象を受けました。

 そこで、同じリファレンス画像とプロンプトで、明日来子さんの夏服コーデという条件で比較してみました。GPT Image 2.0(左)も、似ているのですが、右下のジュースを飲んでいる画像は、明日来子さんの特徴から外れているように見えます。一方で、Nano Banana Proは、明日来子さんの多様な姿を安定して描くことに成功しています。

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同じリファレンス画像とプロンプトで対決させた結果

 さらに、筆者と一緒に撮影していたというシチュエーションにしてみます。こちらもリファレンス画像に筆者の三面図を追加し、プロンプトも変更していますが、同じ条件で比較しています。GPT Image 2.0は明日来子さん特有の少しエキゾチックな顔のニュアンスがなくなり、かなり別人に近くなっています。それに対して、Nano Banana Proはかなり維持できています。

 GPT Image 2.0は顔の向きが変わったり、表情が変わったりすると、リファレンス画像の顔を維持できず、平均的な美人顔に寄ってしまう傾向がある、と推測できそうです。

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明日来子さんと筆者が街歩きをしているというイメージ(もちろん架空です)

実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい

 また、GPT Image 2.0では、実写調の水着姿を生成する難易度は、かなり高いです。特に性的なイメージを含んでいないものでも、表現規制の判定を受けて、ほとんどの場合は生成に失敗します。また、生成できたとしても水着が肌の全身を覆っているような無難な格好で出るのが普通です。Nano Bananaでもかなりの回数失敗するものの、GPT Image 2.0ほどではありません。OpenAIのポリシーによる表現制限はかなり厳しめです。

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水着姿の明日来子さん。生成が実現するまで数多くの失敗をしている。そして、GPT Image 2.0による顔は微妙に似ていない

 Nano Banana Proの表現能力の高さを示す例として知られる「低画質な使い捨てカメラ」表現で、ゲストキャラクターの田中さんではどうでしょうか?(参考:実在感が恐ろしいレベル 画像生成AIの常識をひっくり返した「Nano Banana Pro)

 GPT Image 2.0には、別の制限もあります。未成年に見える人物の生成は厳しく禁止されているという点です。田中さんの高校生という設定で、学校生活の制服姿をリファレンス画像にして、使い捨てカメラの画像を生成しようとしたところ、コンテンツポリシーを理由に拒否されました。リファレンス画像を、一般的な私服にしたりしてもだめでした。Nano Bananaではそこまでは厳しい制約はありません。アニメ風であれば、まだ生成できる可能性はあるのですが、実写系はかなり厳しい制限を受けるようです。

 このポリシーを回避するためには、明確に20歳以上に見える人物にする必要があります。田中さんを20歳と定義し直して、三面図と表情差分を作成し、身長が高く、大人びた表情の画像にしました。それをリファレンス画像に定義し直して、生成したところ、なんとか作成できました。

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田中さんの夏服コーデ。特に設定していなくても20歳以上に見える雰囲気で出力される

 プロンプトもリファレンス画像も共通したものを与えていますが、明確に差が出ています。GPT Image 2.0は表情が硬く、生き生きとした表情になりきっていない印象を受けます。2つのAIの結果を比較すると、田中さんの性格もかなり違っていそうです。筆者は、Nano Banana Proの方が、より田中さんらしいかなと感じます。

【プロンプト】

「成人した人物に年齢や様子を変えて の夏服コーデにして、低画質な使い捨てカメラで撮影した1枚の日常写真。友だちと一緒に遊んでいる様子。それぞれの友だちは必ず違う顔に。2x2の分割で、町中で遊ぶ様々なシーンを描いてください。」

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成人した田中さん。身長や雰囲気がかなり大人びている

 ただし、デザイン要素が入ると、現状、Nano Bananaは、GPT Image 2.0にまったく太刀打ちできません。同じ画像を使って雑誌の見開きを作成させたところ、GPT Image 2.0はおしゃれな雰囲気にうまくまとめ上げたのに対して、Nano Bananaはかなり野暮ったい印象があります。

自分の顔がなかなか似ない, AIキャラクターでもやっぱり似ない, 実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい, 目指す画像によって使い分ける必要がありそう

GPT Image 2.0が作成した雑誌イメージ

自分の顔がなかなか似ない, AIキャラクターでもやっぱり似ない, 実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい, 目指す画像によって使い分ける必要がありそう

Nano Banana 2がまとめてきた雑誌イメージ

目指す画像によって使い分ける必要がありそう

 GPT Image 2.0は、Nano Bananaに比べて、デザインといった新しい表現方法などで、非常に強力になっている部分が多数あります。一強になったとさえ言われるほどです。しかし、実は、特に実写領域では、一貫性の実現でNano Bananaが有利である点も残っています。また、厳しい表現制限もあり、何でもできるというわけではありません。

 ただ、グーグルも自分たちの強い部分、弱い部分を把握しつつ、仕掛けてくるでしょう。今年のグーグルの開発者向けイベント「Google I/O」は5月19~20日で予定されており、新しい画像AIについての発表をぶつけてくる可能性は十分にあるでしょう。

 今後も、どのような画像を目指すのかという目的に応じ、それぞれの特性を把握して使い分ける必要がありそうです。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

自分の顔がなかなか似ない, AIキャラクターでもやっぱり似ない, 実写調の水着姿を生成するのはかなり難しい, 目指す画像によって使い分ける必要がありそう

1970年生まれ。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。2026年3月に発売したクラフト系サバイバルゲーム『Exelio』のAIによるキャラクターデザイン、3Dプロップの作成を担当。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。