蓮舫氏と「一騎打ち」…無風のはずだった立憲民主・東京都連会長選に川名雄児・武蔵野市議が挑戦する理由
立憲民主党の衆院議員が中道改革連合へ移ったことに伴い空席となっている立憲民主東京都連会長を決める選挙が、5月8日から始まっている。会長選が複数候補による選挙戦になるのは初めて。15日の都連大会で投開票される。
立候補したのは、都連会長代行の蓮舫参院議員(58)と、武蔵野市議の川名雄児氏(66)の2人。高い知名度を誇る蓮舫氏が無投票で会長に就くのが既定路線とみられていた中、地方議員が挑戦状をたたきつけた背景には、都連を実質的に率いてきた前幹事長の手塚仁雄氏(衆院選で落選)への批判や疑問の声があるという。
「立憲民主東京」で何が起きているのか──。まずは川名氏に聞いた。(木谷孝洋)
〈立憲民主都連会長は、2017年に結党した旧立憲民主時代から長妻昭衆院議員が務めてきた。今年2月の衆院選前に立憲民主と公明党の衆院議員らが新党「中道改革連合」を結成。長妻氏も中道に移ったため、空席となっている。立憲民主都連所属の国会議員は現在、蓮舫氏、塩村文夏氏ら参院議員4人のみ。〉
◆中道の衆院選落選者が立憲民主支部「顧問」に
──なぜ立候補に踏み切ったのか。

立憲民主党東京都連の会長選に立候補した川名雄児・武蔵野市議=東京都内で(木谷孝洋撮影)
2月の衆院選後に都連の幹部会合があり、前幹事長の手塚氏が参加していた。
手塚氏から、衆院選挙区ごとに置かれている各総支部に「顧問」を置くという提案があった。当然、「それって何?」「なぜ中道に行った人が提案するのか?」という話になり、自治体議員の間でかなり紛糾した。
〈中道から衆院選に出馬した現職や元職らを、立憲民主都連の各総支部の顧問とする制度が新設された。これにより、中道に移った衆院議員や元衆院議員が、立憲民主都連の常任幹事会にオブザーバー参加できるようになった〉
総支部に顧問が必要なら、各総支部の判断で置けばいいだけのこと。都連がトップダウンで決める話ではない。
会長代行の蓮舫氏に話したら、「顧問に(立憲民主から)お金を出すことはないし、議決権もない」という説明だった。さらに「制度上、問題があればすぐに変更する」というところまで歩み寄ってくれたので、われわれ自治体議員も認めたという経緯がある。
〈蓮舫氏と手塚氏は民主党時代から、野田佳彦元首相を中心とする議員グループ「花斉会」で長く盟友関係にある〉
私たちは、この間の議論を議事録として残してくれと頼んだが、都連事務局は決定事項しか出さなかった。こんな重要なことを(記録から)消してしまうのはおかしいという声が自治体議員の間に広がった。
今までの都連執行部のやり方に、みんな不満を持っていたので、このままの体制が続くのは良くないと思い、立候補を決断した。本来は都議が出るのが筋だろうが、都議会(の立憲民主会派)が割れるとその後の都連運営が厳しくなるということになり、私にお鉢が回ってきた。
◆手塚氏がやろうとしている狙い自体は理解するが…
──「今までのやり方への不満」とは、具体的には。自治体議員を取材すると、手塚氏の都連運営への批判をよく耳にする。

立憲民主党都連の幹事長を長く務めた手塚仁雄・元衆院議員=2023年撮影
(立候補した理由は)それが一番大きい。
手塚氏の元秘書である都連事務局の幹部職員が、自治体議員に「あまり騒ぐと次の公認はしませんよ」と言ったというような話もあちこちで聞いている。公認権をちらつかせて従わせるようなやり方や、選挙で強引に候補者を降ろしたりする手法を疑問に思っている議員は多い。
手塚氏がやろうとしている狙い自体は理解するが、あまりにも強引だ。自分の身内は大切にするが、私がいる多摩地域は捨て石にされているように感じる。彼のやり方には多くの議員が疑問を持っている。
〈手塚氏は長妻昭前会長のもと、都連幹事長を長く務め、都内の国政選挙・地方選挙における共産党との協力関係構築を主導した。一定の成果を上げた一方、2024年の東京都知事選では「野党共闘候補」として擁立した蓮舫氏が惨敗に終わった〉
◆党の原点「ボトムアップ」に立ち戻るしかない
──会長になったら、都連をどう変えていくか。

立憲民主党の蓮舫氏=3月16日(佐藤哲紀撮影)
立憲民主はボトムアップを掲げている政党なのだから、みんなで議論してから決めていきたい。党の原点に立ち戻るべきだ。焼け野原のような状況から立ち上がるには、それしかないと思っている。
具体的には、都連の会議の議事録をちゃんとつくる。中道の元衆院議員らが常任幹事会にオブザーバーとして来ていいというなら、自治体議員も見ていいはずだ。それならオンライン中継すればいい。そういうことをやっていきたい。
〈都連会長選には10人以上の推薦人が集まれば立候補できる。蓮舫氏には17人、川名氏には59人の推薦人が集まった〉

──蓮舫氏の3倍以上の推薦人が集まった。
地方議員の横のつながりがあり、今の都連運営ではダメだという同じ思いを持っていた。私を都連会長にしたいというより、都連を変えたいということだと思う。
最初は30人くらい集まるかなと思ったが、その倍が集まった。地方議員の間では支持が広がっているとは感じている。
〈都連会長選で投票権を持つのは約210人。都連所属の国会議員と地方議員は各1票を持つ。加えて、都内34総支部の代議員各2人も投票できる〉
──中道改革連合との合流については、どう考えているか。
今は全然考えていない。まずは立憲民主党の組織をしっかり立て直すことが先決だ。
都連には参院議員が4人、地方議員が約140人いる。客観的な数字を見ても、地方議員が都連の主体になった方がいい。
立憲民主党は、党として新しく再生するしかないと思う。今は、立憲民主から発信するものが何もない。今回の都連会長選が多少でも話題になれば、立憲民主全体にも良い影響があるのかなと思っている。
※東京新聞は蓮舫氏、手塚仁雄氏にも取材を申し込んでいる(5月12日午後5時現在)。
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