維新・吉村代表が次の知事選出馬へ ただし維新市議団へ突きつけた条件は「来春の都構想住民投票」への賛同「より高いボールを投げ返した、とも…」維新内部で「コップの中の嵐」か【解説】
17日に行われた大阪市議会議員の西区補欠選挙で、維新の新人・栗田裕也氏が自民候補にわずか163票差で競り勝ちました。
この勝利を受け、大阪府知事である維新の吉村洋文代表は来春の府知事選に出馬する意向を表明。ただし『選挙と同じ日に都構想の住民投票を行うこと』を「条件」としました。

この条件は身内であるはずの「維新の大阪市議団」に向けられたもの。維新のなかで一体、何が起こっているのでしょうか。
吉村氏から維新市議団へ 示された条件の意味することは

かつて2度にわたって否決された大阪都構想ですが、吉村代表が仕掛けた今年2月の出直しダブル選挙での勝利を背景に、再び制度案の議論に向けて動き出そうとしています。
吉村氏は来年春までに住民投票を実施したい考えで、その「設計図」を作るための『法定協議会』の早期設置を目指しています。
法定協の設置には、設置議案が大阪府議会と大阪市議会の両方で可決される必要がありますが、維新の大阪市議団は慎重姿勢。彼らは前回の市議選で都構想を掲げて当選したわけではなく、吉村氏との間に隔たりを抱えていました。
「法定協設置議案に賛同するには…」市議団が投げたボールに吉村氏は
これを受ける形で吉村氏が知事選挙への出馬の意向を表明したものの、同時に提示されたのは「市議団が来年春の住民投票に賛同しない場合は立候補しない」という条件でした。
米澤解説委員「吉村氏はより高いボールを投げ返した、という言い方もできる」

17日夜の吉村氏の発言について、MBSの米澤飛鳥解説長は知事の戦略を次のように分析します。
「市議団が投げたボールを受けて、それに返したというようにも見えるのですが、そのボールの返し方が、より高いボールを投げ返しているという言い方もできるのです」
「法定協議会の設置議案に賛成してください、というのはずっと市議団が議論を続けてきたことですが、それに加えて『もし法定協議会が設置されたならば、自分の任期内に住民投票までもっていけるよう議論を進めてください』と、新たに一歩進んだ条件を足している」(MBS米澤飛鳥編集長)
この”高いボール”とも取れる投げ返しに対し、市議団がどのように判断するのかが注目されています。
なぜ3回目の住民投票を目指すのか なぜこれほど急ぐのか

一方、神戸学院大学の中野雅至教授(行政学)は、現在の状況を「コップの中の嵐」と表現。有権者からは「何が何やねん」と疑問を抱かれかねない議論であると指摘しました。
「(維新内で)駆け引きをしているというだけの話。なぜそんなに都構想を急ぐ必要があるのか、なぜ2回目でやめると言っていたのに3回目やる必要があるのか。こうしたことを明確に説明するべきだと思う」(中野雅至教授)
さらに、維新が大阪の選挙で勝ち続けているという客観的な事実と、都構想を巡る矛盾についても言及しています。
「選挙で維新が負けているのであれば分かりますが、維新は勝ち続けている。有権者もどこかで受容しているところがあるのだから、最終的にはもう住民投票で決めたら良いのでは。そのほうが市民にとって分かりやすいとは思います」
「ただ説明はしてほしい。どこがどのように変わっていくのか。また、副首都法案などと絡めているのでしょうが、それにしても、なぜこんなに急ぐ必要があるのか」(中野教授)
問われる「説明責任」と試される維新市議らの対応
18日午後6時前、会合を終えた維新・大阪市議団の東代表と竹下幹事長は「最終的な意見の集約には至っていない」としつつ「方向性は見えてきた」と明かしました。
一部から懸念点を指摘する声が上がっているものの、法定協議会の設置議案への賛否については賛成の方向に進んでいるということです。