プーチンも安心できない? ロシア製ドローンを迎撃するウクライナの「無人防空艇」の正体

プーチンも安心できない?…ロシア製ドローンを迎撃するウクライナの「無人防空艇」の正体

ウクライナ、FPV迎撃ドローン搭載の「カトランX1.2」を公開

ロシアのシャヘドを狙う「海上防空網」構想

引用:MAC HUB・ディフェンス・エクスプレス

ロシアのドローンを海上で迎撃するという、ウクライナの新型無人水上艇が公開された。黒海を航行する無人艇に一人称視点(FPV)迎撃ドローンを搭載し、ロシアが発射したシャヘド系列の自爆ドローンを海上で先に迎撃する構想だ。

ウクライナの軍事専門メディアであるディフェンス・エクスプレスは21日(現地時間)、ウクライナ企業MAC HUBが新型無人水上艇「カトラン(Katran)X1.2」を公開したと報じた。この無人艇は、FPV攻撃ドローンを秘匿状態で輸送・発射するために設計されている。

最も注目されるのは防空任務だ。カトランX1.2には、MAC デッドフライFPV迎撃ドローンを最大23機まで搭載可能だ。この迎撃ドローンは最高速度時速300㎞、射程20㎞、上昇高度5㎞、弾頭500gの性能を持つと紹介されている。ウクライナはこれを活用し、ロシアのシャヘドドローンがオデーサなど沿岸都市へ接近する前に、黒海上空で迎撃する構想を描いている。

「ドローンを撃墜するドローン」を艦艇に搭載

引用:MAC HUB

引用:MAC HUB

ロシアはイラン製シャヘド系列ドローンを大量運用し、ウクライナの都市やインフラを攻撃してきた。シャヘドは比較的安価ながら長距離飛行が可能で、複数機を同時投入すれば防空網に大きな負担を与える。高価な地対空ミサイルで低価格の自爆ドローンに対応し続けなければならないウクライナにとって、その負担は非常に大きい。

カトランX1.2の構想は、この問題を突いたものだ。陸上防空網の射程に入る前に、海上でドローンを迎撃するという考え方である。ディフェンス・エクスプレスは、「海上では移動式火力支援や防空システムの展開が難しく、利用可能な艦艇も限られているため、無人水上艇が代替手段になる」と説明した。

この構想が現実化すれば、黒海の無人水上艇は単なる自爆攻撃手段を超えて「海上防空網」の役割まで担うことになる。ウクライナは、これまで無人水上艇でロシアの黒海艦隊を攻撃してきた。今回は、同じプラットフォームに迎撃ドローンとミサイルを載せて空中標的まで狙う方向に進化させるというわけだ。

航続距離1,600km…R-73ミサイル搭載も可能

引用:MAC HUB・ディフェンス・エクスプレス

カトランX1.2は、長距離作戦を念頭に置いたプラットフォームとして紹介された。航続距離は1,600㎞で、衛星通信アンテナを活用すれば黒海全域で運用できるという。さらに、戦闘モジュールやR-73空対空ミサイル2発発射台も装着可能だ。

R-73は本来、戦闘機に搭載される短距離空対空ミサイルである。これを無人水上艇に搭載することで、ドローンだけでなく航空機、ヘリコプター、巡航ミサイルまで狙える海上防空プラットフォームとして活用する構想も可能になる。ただし、これは公開された性能や搭載可能性に基づく説明であり、実戦でどの程度の効果を発揮するかについては、今後の検証が必要だ。

公開スペックによると、カトランX1.2は長さ9.11m、幅2.79m、最高速度時速93㎞、巡航速度時速65㎞だ。最大72時間自律運用が可能で、損傷検知と排水、電力供給システムも備えている。自動操縦装置と位置維持機能、標的探知・取得のための人工知能(AI)機能も含まれている。通信が途絶える状況でも自律制御が可能になるよう設計されているという。

黒海の無人戦は、攻撃から防空へ拡張

引用:MAC HUB・ディフェンス・エクスプレス

ウクライナ戦争は、無人水上艇の役割を大きく変えた。従来、無人水上艇は偵察や爆薬搭載による自爆攻撃が中心だった。しかし黒海戦争を通じて、ウクライナは無人水上艇を長距離攻撃、監視・偵察(ISR)、電子戦、ドローン運搬プラットフォームへと発展させてきた。

カトランX1.2が注目される理由もそこにある。単に敵艦に突入する「海上自爆ドローン」ではなく、空中ドローンを運搬し、必要に応じて直接迎撃まで行う複合型プラットフォームに近いからだ。

ただし、今回の内容は企業側およびウクライナメディアの発表に基づくものであり、実際の配備有無、生産規模、戦果などはまだ確認されていない。また、「ドローン23機搭載」という表現も、実戦で一度にロシア製ドローン23機を撃墜したという意味ではない。搭載可能な迎撃ドローン数を指すものであり、「公開」「搭載可能」「迎撃任務を想定」と表現するのが正確だ。

それでも、戦場の流れは明確だ。空のドローンを迎撃するために別のドローンを飛ばし、そのドローンを海上の無人艇が運搬する段階にまで戦争は進化している。ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアがシャヘドドローンでウクライナの都市を圧迫してきた一方で、ウクライナは今や無人水上艇を前面に押し出し、海上でその攻勢を断ち切ろうとしている。

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