限定400台の超レアなれど実力は超級! 4ドアGT-R「R33オーテックバージョン」が今なお幻すぎる理由

限定400台の超レアなれど実力は超級!! 4ドアGT-R「R33オーテックバージョン」が今なお幻すぎる理由

 1969年に初代モデルが登場した日産の高性能スポーツモデル「スカイラインGT-R」。スカイラインGT-Rといえば、1989 年に登場したR32から始まった「第二世代」といわれる2ドアクーペの姿を思い浮かべる人は多いと思いますが、第二世代にも4ドアセダンが存在しました。1997年の東京モーターショーに出品され、翌1998年1月に発売された『GT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARY』です。

【画像ギャラリー】幻の“4ドアGT-R”も存在した、日産「スカイラインGT-R」R33型(12枚)

 R33型スカイラインの4ドアセダンをベースに、GT-R譲りのRB26DETTや4WDシステム「ATTESA E-TS」などを搭載したモデルであり、生産台数はわずか400台。GT-R=2ドアクーペが常識だった時代に、なぜ日産はあえて4ドアGT-Rを世に送り出したのか。いまなお「幻のR33」として語り継がれる異色のGT-Rを振り返りましょう。

文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:NISSAN

スカイライン誕生40周年という節目に誕生

 1997年12月に登場した「GT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARY」。R33型スカイラインの4ドアセダンをベースに、オーテックジャパンが手掛けた特別仕様車です。

 1997年は、1957年に初代スカイラインが登場してから40周年という節目。この4ドアGT-Rは、記念イヤーに合わせ、スカイラインの原点ともいえるセダンボディに着目して企画されたモデルでした。

 スカイラインGT-Rといえば、第二世代といわれるR32・R33・R34の2ドアクーペの姿を思い浮かべる人は多いと思いますが、1969年に登場した初代GT-Rであるハコスカ(PGC10型)は4ドアセダン。スカイライン全体としても、第一世代といわれるスカイライン時代はセダンが中心でした。

 つまりこのGT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARYは、GT-Rの原点ともいえる4ドアセダンへ立ち返ったモデル。またGT-Rの性能とセダンの実用性を両立したいというユーザーの声にも応えたモデルでした。

スカイライン誕生40周年を記念して発売された「GT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARY」。実用性とGT-Rの走りを両立したいというニーズに応えたモデルだった

R32の大成功の影に隠れがちだが、完成度の高さでは高く評価されるR33スカイラインGT-R。4ドアGT-Rは、このモデルをベースに誕生した

GT-Rのメカニズムをセダンボディに移植

 技術面では、R33型スカイラインGT-R(BCNR33)の主要コンポーネントを、4ドアセダンのR33型スカイライン(ER33系)に移植するという、贅沢な手法が採られました。

 搭載されるエンジンは、GT-R用の2.6L直6ツインターボ「RB26DETT」。最高出力は標準GT-Rと同じく、当時の自主規制いっぱいとなる280PSを発生し、駆動方式にはアテーサE-TSによるフルタイム4WDを採用しました。トランスミッションは5速MTのみで、サスペンションやブレーキなどもGT-R譲りの仕様。

 中身はほぼR33 GT-Rそのものでしたが、外観は2ドアGT-Rほど派手ではありませんが、単なる標準幅の4ドアセダンではありません。2ドアGT-Rのブリスターフェンダーを4ドアでも再現するため、リアドアとリアフェンダーは専用設計とされていました。GT-Rエンブレムこそ装着されていたものの、見た目の主張は控えめで、知る人ぞ知る『羊の皮をかぶった狼』と呼ぶにふさわしい存在でした。

 もちろん、4ドア化によって後席空間の使い勝手は向上しており、リアシートは専用バケットタイプで、乗車定員は5名ではなく4名でしたが、家族や仲間を乗せる機会が多いユーザーにとってはこれ以上ないモデル。派手な外観で存在感を主張するのではなく、その価値を知る人だけが気付く、通好みのGT-Rだったのです。

大人のグランドツアラー的なモデルの4ドアR33スカイラインだが、4ドアGT-Rのインテリアも基本は共通だった

限定400台は完売! いまなお高い人気を誇る“幻のGT-R”

 架装はオーテックジャパンが担当しており、日産の量産ラインとは異なる工程で仕上げられていました。価格は、498万5000円(東京地区希望小売価格)。GT-Rクーペの478万5000円に対し、20万円高い設定でしたが、限定400台は完売しました。

 R33 GT-Rは4万台以上を販売したR32 GT-Rの後継車として登場したものの、ボディの大型化やデザインの変化、当時の市場環境なども影響し、総生産台数は約1万6700台に留まっています。そのなかでこの4ドアGT-Rが完売したことは、実用性とGT-Rの走りを両立したモデルを求めるユーザーが、確実に存在したことを示しているといえるでしょう。

 流通台数そのものが少ないため、現在中古車市場で見かける機会はほとんどなく、仮に流通したとしても状態のいい個体は高値が付く傾向。補修部品も、RB26DETT関連は比較的入手しやすいものの、4ドア専用部品の調達は容易ではなく、維持には相応の手間とコストを覚悟する必要があります。

 それでもファンのあいだでは“幻のGT-R”として高い人気を誇っており、その存在感は登場から約30年が経ったいまも色あせていません。

一見すると普通の4ドアセダンだが、中身はGT-Rそのもので、車両の前後にはGT-Rエンブレムを装着。羊の皮を被った狼的な要素に惹かれるクルマ好きにはたまらないモデルだった

◆     ◆     ◆

 GT-Rの原点である4ドアセダンへ立ち返りながら、高性能、実用性を両立した意欲作だった「GT-R オーテックバージョン 40th ANNIVERSARY」。第二世代GT-Rの歴史を振り返るうえで、欠かすことのできない存在といえるでしょう。