【国民年金と厚生年金】「平均年収600万円×40年間働いた人」65歳以降の年金月額、目安はいくら?
年金の基本構造:厚生年金と国民年金を受け取れる対象者とは

【国民年金と厚生年金】「平均年収600万円×40年間働いた人」65歳以降の年金月額、目安はいくら?
6月に入り雨の日が多くなると、自然とおうちで過ごす時間が長くなります。
新年度から続いた忙しさが一段落し、改めて家計や将来の生活設計について思いを巡らせる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、リタイア後の暮らしを支える年金について、「自分は一体いくら受け取れるのか」という疑問は、多くの方が抱く共通の関心事です。
参考として、厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金の平均月額は約6万円、厚生年金は約15万円とされています。
この記事では、「平均年収600万円」で「40年間」会社員として働いた場合を例に、将来受け取れる厚生年金の目安額を試算します。
さらに、2025年の家計調査データを用いて、退職後のリアルな生活収支も解説しますので、将来への備えを考えるきっかけとしてご活用ください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の平均年収はいくら?給与所得者の実態を確認
国税庁が公表した「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、2023年に1年間勤務した給与所得者の平均給与は460万円でした。
この結果から、日本の一般的な年収は400万円台に位置していることがわかりますが、年代別に見た場合、平均年収はどのくらいの水準なのでしょうか。
【年代・性別】給与所得者の平均年収を年齢階級別に比較
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」では、年代別に分類した日本の給与所得者の平均年収が示されています。

給与所得者の平均年収
年齢ごとの変化を見ると、20歳代から30歳代にかけて収入は大きく増加し、55歳から59歳でピークに達していることが確認できます。
その後は緩やかに下降し、60歳代以降になると収入水準が明確に下がる傾向にあります。
また、すべての年代で男女間の差が見られ、特に40歳代や50歳代では、男性と女性の平均年収に200万円以上の開きがある層も存在します。
全体の平均である460万円という数字は、こうした年代や性別による違いを含んだ結果といえるでしょう。
なお、将来受け取る年金額は、現役時代の年収や就労期間に大きく影響されます。
特に平均年収が600万円前後の層は、40歳代から50歳代の主要な給与水準と近いため、老後の年金額に関心が高いと考えられます。
次の章では、平均年収600万円で40年間勤務した場合、厚生年金の月額がいくらになるのかを見ていきましょう。
年金の基本構造:厚生年金と国民年金を受け取れる対象者とは
「平均年収600万円」で40年間働いた場合の厚生年金額を計算する前に、まず老後に厚生年金を受け取れる人の条件を整理します。
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金で構成される2階建ての仕組みです。
1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金となっています。
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象で、加入者は以下のいずれかに分類されます。

国民年金と厚生年金の2階建て構造
・第1号被保険者:自営業、学生、無職など
・第2号被保険者:会社員、公務員
・第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
つまり、厚生年金の支給対象となるのは、第2号被保険者である会社員や公務員として働いていた方々です。
次章では、会社員が平均年収600万円で40年間働いた場合に、厚生年金をいくら受け取れるのかを具体的に試算します。
年収600万円で40年勤務した場合の年金受給額をシミュレーション
この章では、生涯の平均年収が600万円であると仮定し、民間企業に40年間勤務した場合に受け取れる年金額を試算します。
このモデルケースは第2号被保険者に該当するため、老後は国民年金と厚生年金の両方を受け取ることになります。
したがって、以下の2つの金額を合計することで、この条件での年金月額を概算できます。
・国民年金として受け取れる額
・厚生年金として受け取れる額
まず、国民年金部分の計算から見ていきましょう。
ステップ1:国民年金(老齢基礎年金)の受給額を計算
国民年金の金額は、以下の計算式で算出されます。

国民年金の計算式
84万7296円 ×(保険料納付済み月数 ÷ 加入可能年数(12カ月換算)) ※2026年度(令和8年度)の金額。昭和31年4月2日以後生まれの方が対象
保険料を全期間納付した場合、納付済み月数は480カ月となり、計算式の乗数は1になります。
この条件で計算すると、国民年金として受け取れる金額は満額の「年額84万7296円」です。
次に、厚生年金の計算に移ります。
ステップ2:厚生年金(老齢厚生年金)の受給額を計算
厚生年金は、次の式で算出します。
・年金額=報酬比例部分(※)+経過的加算+加給年金額
※報酬比例部分の内訳

「厚生年金の受給額」を試算
報酬比例部分=A+B
・A(2003年3月までの加入期間):平均標準報酬月額×7.125/1000×同期間の加入カ月数
・B(2003年4月以降の加入期間):平均標準報酬額×5.481/1000×同期間の加入カ月数
なお、年金額の大部分を占めるのは報酬比例部分であるため、今回の試算では経過的加算と加給年金額は含めません。
経過的加算は過去の制度改正による差を調整するもので、加給年金は扶養する配偶者や子がいる場合に加算される年金です。
では、これらの式を基に厚生年金額を計算してみましょう。
今回は2003年4月以降の加入期間として、Bの式のみを使用します。
生涯の平均年収を600万円とすると月収は50万円となり、平均標準報酬額も50万円と仮定します。
【50万円 × 5.481/1000 × 480カ月】を計算すると、厚生年金の報酬比例部分は「年額131万5440円」です。
ここにステップ1で算出した国民年金の受給額を加えると、合計は年額216万2736円となり、12で割ると月額は18万228円になります。
したがって、このケースで受け取れる会社員1人分の年金月額は、約18万円と試算できます。
注意点:年金からも税金や社会保険料は天引きされる
前章で平均年収600万円のケースにおける老後の年金額を計算しましたが、この金額がそのまま支給されるわけではありません。
現役時代の給与と同様に、年金からも「税金」や「社会保険料」が天引きされるため、手取り額は額面より少なくなります。
参考として、総務省が公表した「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の家計収支は次のようになっています。

65歳以上の単身無職世帯における家計収支
65歳以上 単身無職世帯の家計収支(2025年)
・実収入(主に社会保障給付など): 13万1456円
・非消費支出(税金・社会保険料など): 1万2990円
・可処分所得(手取り収入): 11万8465円
・消費支出(生活費): 14万8445円
・毎月の赤字額(差額分): 2万9980円
実収入である約13万1000円に対し、税金や社会保険料として約1万3000円が差し引かれていることがわかります。
その結果、手元に残る可処分所得は約11万8000円となりますが、そこから日々の生活費として約14万8000円が必要となるため、毎月約3万円の赤字が生じているのが平均的な状況です。
前章で試算した「月額約18万円」の年金も、およそ10〜15%程度が税金や社会保険料として天引きされると仮定すると、手取り額は「15万〜16万円前後」になる可能性が高い点に留意が必要です。
まとめ:将来の年金額を把握し、早期の資産形成を
6月は、ご自身の長期的な資金計画を見直すのに適した時期といえるでしょう。
今回は「平均年収600万円で40年勤務」というモデルケースで年金額を試算しましたが、実際の受給額は個々の働き方や収入によって大きく異なります。
また、最新の家計調査が示すように、年金の手取り額だけでは毎月の生活費を賄えず、貯蓄を取り崩しながら生活するケースも少なくありません。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などを利用して、ご自身のリアルな年金見込額を早めに把握することが重要です。
その上で、不足分をどのように補うか(長く働く、NISAやiDeCoで計画的に資産形成をするなど)、今のうちから戦略を立てておくことが大切といえそうです。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
・日本年金機構「は行 報酬比例部分」
・総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
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