肝臓を守るために避けるべき5つの習慣

肝臓を守るために避けるべき5つの習慣

肝臓はエネルギーの貯蔵や有害物質の解毒などの機能を備えた非常に重要な臓器です。そんな肝臓を守るために避けるべき5つの習慣をキングストン大学で薬学講師を務めるディパ・カンダー氏が解説しています。

Five common habits that might be harming your liver

https://theconversation.com/five-common-habits-that-might-be-harming-your-liver-256921

◆避けるべき習慣その1:過度な飲酒

アルコールを摂取すると、肝臓はアルコールを分解して体外に排出しようとします。しかし、アルコールを摂取しすぎると肝臓のアルコール分解プロセスが行き詰まり、毒性のある物質が蓄積して肝細胞にダメージを与えます。

飲酒が原因の肝臓疾患は段階的に進行し、初期段階では肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝の症状が現れます。脂肪肝は飲酒を控えれば治りますが、飲酒を続けると肝炎や肝硬変といった重度の疾患へとつながります。

厚生労働省が2024年2月に公開した飲酒ガイドラインでは、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として「1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上」という数値を掲げています。また、厚生労働省は飲酒中に自分が摂取したアルコールの量を確認できるウェブアプリ「アルコールウォッチ」を以下のリンク先で公開しています。

アルコールウォッチ | あなたの飲酒を見守る

https://izonsho.mhlw.go.jp/alcoholwacth/

◆避けるべき習慣その2:不健康な食習慣

飲酒だけでなく、普段の食事も肝臓の健康状況に影響します。特に「赤身肉」「揚げ物」「加工食品」といった飽和脂肪酸を多く含む食品は肝臓への脂肪蓄積を促進し、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」などの疾患を引き起こす可能性があります。

糖分の多い飲料を頻繁に摂取すると脂肪肝のリスクが40%上昇するという調査結果も報告されています。また、ファストフードやインスタント食品、スナック菓子などの超加工食品を摂取していると肝臓疾患を発症するリスクが高まることも17万人以上を対象にした大規模な調査で明らかになっています。

反対に、「野菜」「果物」「全粒穀物」「豆類」「魚」を豊富に含む食事には肝臓の脂肪を減らして高血糖や高コレステロールなどのリスク要因を改善する効果があることを示唆する研究結果が発表されています。さらに、肝臓の解毒プロセスを補助するために1日当たりコップ8杯程度の水分を摂取することが推奨されています。

◆避けるべき習慣その3:痛み止めの過剰摂取

頭痛や筋肉痛などの痛みを和らげるために、アセトアミノフェン(パラセタモール)を含む痛み止めを服用している人が多くいます。肝臓にはアセトアミノフェンを分解する能力がありますが、分解の際にNAPQIという毒性物質も産生しています。

通常ならNAPQIは肝臓に貯蔵されているグルタチオンによって分解されますが、痛み止めを過剰摂取するとNAPQIが増えすぎてグルタチオンが枯渇します。分解されなくなったNAPQIは肝臓に蓄積して肝細胞壊死を引き起こします。この症状は「アセトアミノフェン中毒」と呼ばれています。

中毒を防ぐには、医師の指示に従って痛み止めを適切な量だけ服用する必要があります。

◆避けるべき習慣その4:運動不足

運動不足は体重の増加やインスリン抵抗性、代謝機能障害などを引き起こし、肝臓への脂肪の蓄積を促進する可能性があります。

運動不足による肝臓への悪影響は比較的簡単に改善できます。(PDFファイル)2011年の研究では、わずか8週間の筋力トレーニングで肝臓脂肪は13%減少して血糖コントロールが改善されたことが明らかになっています。また、「週に5回、30分の早歩き」という軽めの有酸素運動でも肝臓脂肪が減少してインスリン感受性が改善されることが示されています。

◆避けるべき習慣その5:喫煙

タバコの煙には数千種類の有害物質が含まれており、肝臓はタバコの有害物質を解毒するために懸命に働きます。タバコを吸い続けると肝臓への負荷が蓄積し、「肝細胞の損傷」「血流の制限」「肝硬変」といった悪影響を引き起こします。

また、タバコの煙に含まれる「ニトロアソミン」「塩化ビニル」「タール」「4-アミノビフェニル」などの有害化学物質は、いずれも発がん性物質として知られています。イギリスのがん研究機関であるCancer Research UKは「イギリスにおける肝臓がんの症例の約20%は、喫煙が原因である」と報告しています。

◆異変を感じたら医療機関の受診を

肝臓の問題は、早期に発見できるほど治療成功の可能性が高まります。持続的な疲労感や吐き気、黄疸(おうだん)などの症状が現れたら、すぐに医師に相談することが推奨されています。