ウォーキング中の「水飲み」の正解。医師が教える、血液ドロドロを防ぐための理想的な水分補給法
「運動中はとにかく水を飲めばいい」は危険なこともある
健康のためにウォーキングをしている方は本当に増えました。
ただ意外と多いのが、「水分補給のやり方」を誤解しているケースです。
外来でも、
「運動中は大量に水を飲んでいます」
「汗をかくから一気飲みしています」
という方は少なくありません。
もちろん脱水予防は大切です。
ただ、水分補給は「多ければ多いほど良い」というわけではないんです。
実は、飲み方によっては、体に負担をかけたり、逆に血液バランスを崩したりすることもあります。
ウォーキング中、体では何が起きている?
歩いていると、体温が上がります。
すると汗をかき、水分と一緒にナトリウムなどの電解質も失われます。
特に暑い季節は、想像以上に体から水分が出ています。
この状態で水分不足になると、血液中の水分量が減り、血液が濃くなりやすい。
いわゆる、「血液ドロドロ」と言われる状態に近づくことがあります。
すると、
・血流低下
・熱中症
・血栓リスク上昇
などにつながる可能性があります。
怖いのは「喉が渇いてから飲む」こと
実は、喉の渇きを感じた時点で、すでに軽い脱水が始まっていることがあります。
特に高齢者は、加齢によって喉の渇きを感じにくくなる。
そのため、知らないうちに脱水が進むケースも少なくありません。
ケース①「健康のために歩いて脱水」70代男性
70代男性で、毎朝かなり熱心にウォーキングしている方がいました。
ただ、「途中で止まりたくない」という理由で、水をほとんど持たずに歩いていたそうです。
夏場に歩行後、
・強いだるさ
・立ちくらみ
・頭痛
が出現。
軽度の脱水状態になっていました。
本人は、「健康のために歩いていたのに」と驚かれていました。
ケース②「水を飲みすぎて体調不良」50代女性
逆に、「飲みすぎ」が問題になるケースもあります。
50代女性で、「脱水が怖いから」と短時間で大量の水を飲んでいた方がいました。
すると、
・胃の不快感
・むくみ
・気分不良
が出現。
極端な場合、水分だけを大量摂取すると、血液中のナトリウム濃度が下がり、体調を崩すこともあります。

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理想は「少量ずつ、こまめに」
ウォーキング中の水分補給で大切なのは、「一気飲み」ではなく、「こまめ飲み」です。
喉がカラカラになる前に、少しずつ補給する。これがかなり重要です。
特に、
- 暑い日
- 長時間歩く時
- 汗をかきやすい人
では意識したいポイントです。
「運動前」もかなり重要
実は、水分補給は「歩いている最中だけ」ではありません。
朝起きた直後は、軽い脱水状態になっていることがあります。
寝ている間にも汗や呼吸で水分は失われるからです。
そのため、朝ウォーキング前にコップ1杯程度の水分を取ることはかなり大切です。

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スポーツドリンクは万能ではない
「運動だからスポーツドリンクが良い」と思っている方も多いです。
もちろん、長時間運動や大量発汗時には役立つことがあります。
ただ、糖分がかなり多い製品もあります。
ウォーキング程度の軽〜中等度運動なら、水や麦茶で十分なケースも多いです。
特に、糖尿病や、肥満傾向がある方では、糖分の摂りすぎに注意が必要です。
冷たすぎる飲み物で胃腸が疲れることも
夏場はキンキンに冷えた飲み物を飲みたくなります。
ただ、急激に冷たい水分を大量摂取すると、胃腸に負担がかかることもあります。
特に高齢者では、お腹を壊したり、胃が重くなることも少なくありません。
「尿の色」もヒントになる
脱水の目安として参考になるのが尿の色です。
かなり濃い黄色なら、水分不足のサインかもしれません。
逆に、透明になるほど過剰に飲み続ける必要もありません。
医師として感じること
外来で見ていると、「水分補給」は極端になりやすいです。
飲まなさすぎる人。逆に、必要以上に飲みすぎる人。
どちらも意外と多い。
大事なのは、「ちょうどいい補給」です。
血液を守るのは「自然な補給習慣」
血液は、体中へ酸素や栄養を運ぶ重要な存在です。
その流れを保つには、適切な水分バランスが欠かせません。
ウォーキング中は、「喉が渇くまで我慢する」でもなく、「とにかく大量に飲む」でもない。
少量をこまめに補給する。
実は、それくらいシンプルな方法が、血流や血管を守るうえでかなり大切なんです。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。