ネジも溶接も不要?金属用接着剤「メタルロック」が強力すぎた【DIY初心者OK】
木材やプラスチックと比べ加工が難しく、扱いづらいのが金属。とはいえ、強度が欲しい部分には大変便利であるため、何とか気軽に扱えるようになりたいものです。
切ったり曲げたりといった加工はなんとかなりますが、金属の扱いで悩みがちなのが、どう接続するかという点でしょう。方法としては溶接やロウ付け、ネジ止め、リベット止めといったあたりが考えられます。
●溶接・ネジ・リベット……どれがベスト?
強度を考えれば「溶接」や「ロウ付け」が魅力ですが、作業に特殊な機材が必要となるため、手軽とは言えません。これに対して「ネジ止め」は、ネジとナットさえあればOK。後からのやり直しも簡単なので、組み立てだけでなく、分解も必要な部分で重宝します。部品に厚みがあるなら、タップでネジ穴を作るのもいいですよね。
もうひとつの「リベット止め」は、金属片を潰し、その圧迫で接続する方法です。作業が難しそうだと思ってしまいますが、ハンドリベッターを使った方法なら、ハンドルを握るだけでいいので簡単。ネジのように分解はできませんが、より手軽な方法として魅力的です。
ただし、ネジもリベットも下穴が必要なので、とくに小さい部品だと加工の難易度が高くなりがち。また、ネジやリベットは頭があるぶん、どうしても厚みが出てしまうというのが扱いづらく感じてしまう部分です。
●接着剤で金属ってアリ? 意外とイケちゃいます
小さな部品も接続でき、仕上がりが薄くできる方法となると、「接着剤」を使うのがベター。一般家庭に常備されている汎用の瞬間接着剤でもくっつきますから、とりあえずくっついていればいいというのであれば、これで済ませてしまうのもアリです。
とはいえ瞬間接着剤は強度がなく、力をかけたり叩いたりすると、接着部から割れてしまうことがあります。また、金属への食いつきが弱く、パカッと剥がれてしまうことも珍しくありません。フックを接着したのに、モノを掛けたら剥がれて落ちてきた……なんていう経験がある人も少なくないでしょう。
なるべく強力に接着したいのであれば、金属用の接着剤を選びましょう。
そんな金属用接着剤のうち、約5分で動かなくなり、約1時間で実用強度になるという速乾性が魅力のセメダイン「メタルロック」(実売価格 1050円)を試してみました。

A剤とB剤、2つを混ぜて使う接着剤の「メタルロック」
●混ぜて塗るだけ! メタルロックの基本的な使い方
メタルロックは2液性の接着剤。A剤、B剤を同量出し、ヘラで均一になるまで混ぜた後、対象に塗って硬化するまで固定しておく、という使い方が基本です。A剤は"黄色がかった透明色"、B剤は"黒色"と色が異なるため、色の様子で混ぜ具合が確認できます。

黒のB剤が多く見えますが、これはA剤の上に一部のっているため。ほぼ同量です
別途混ぜる用のパレットを用意してもいいですが、面倒なら直接材料の上で混ぜちゃってもいいでしょう。どうせ塗りますしね。
接着剤は思っていたよりもだいぶ緩く、薄く塗り伸ばしやすいタイプです。また、嫌な臭いがしないので、家の中で作業する場合でも困りませんでした。
●気になる接着強度をテスト! ブリキとステンレスを接着
今回は、手元にあったブリキの薄板と、ステンレスのL字金具を接着してみます。

全体に塗り広げて、接着剤の接触面を広くします

接着したい対象の金属をのせ、接着面が浮かないようクランプなどで固定します
なお、気温30度の夏場だと2分以内、5度の冬場でも10分以内に硬化が始まるようなので、手早く混ぜて作業する必要があります。接着する部品が多数あり、時間がかかる場合は、何度かに分けて作業する方がいいでしょう。
固定時間は、夏場で15分以上、冬場で60分以上となっているので、この時間はクランプで固定したままにしておきます。なお、実用強度になるのが夏場で30分以上、冬場で3時間以上とあるので、よほど急いでなければ、クランプは外さないまま実用強度になるまで待った方がいいです。

ほぼ乾いたであろう状態。端から少しだけ接着剤が漏れ出ていました
作業したのは室温が20度を超える日だったので、実用強度が十分出るであろう2時間後に引っ張ってみましたが……ビックリするほど強く、剥がれません。
プライヤーでつかんで引っ張るだけでは、到底剥がせそうにないので、接着面との隙間を集中的に狙ってみることに。てこの原理で無理やり力をかけることで、ようやく引きはがすことができる程度の強さがありました。

無理やり力をかけてたところ、ようやく剥がれましたが……これは強い!!
試したL字金具の幅は約12mmと細めだったので何とかなりましたが、もっと広い面を接着した場合は、二度と剥がれないと考えた方がよさそうです。
X(旧twitter)にセメダイン公式さんがアップしている動画を見ても、どのくらい強いかがわかりますね。自分はこの動画を見て、メタルロックを使ってみたくなったのでした。
なお、乾いているのは材料間の接触面だけで、隙間から漏れた接着剤は、指で触ると少しべたべたしていました。完全硬化までは、もうちょっと時間がかかりそうです。
●針金のように細い金属棒もくっつく? 点付けとべったり塗りを比較
個人的に気になってたのが、「面の接着には強いだろうけど、より細い金属棒ではどうなるのか?」という点。接着面がどうしても小さくなりますから、弱くなるというのは間違いないかと思いますが、問題は、どのくらいの強度が保てるのかです。
接着剤の存在が気にならない点付けと、金属棒の周りを囲むほどべったり塗った2パターンを試してみましょう。使用したのは、約1.5mm径のステンレス棒と、ブリキの薄板です。

ギリギリ金属棒に隠れるほど少量を3カ所点付けしたパターン

こちらは棒の周囲にべったり塗ったパターンです
べったり塗る時に注意したいのは、接着剤の粘度が低いため、盛り上げるのは難しいこと。一応、金属棒の上まで接着剤がついた状態ではあるのですが、かなり薄く、接着剤で全体を固めて強度を上げるというのは期待できません。

約30分後の様子。金属棒の上にも接着剤がついているのがかろうじてわかります
先ほどと同じく2時間以上待ってから引っ張ってみましたが、点付けの方はパキッと音がして簡単に外れてしまいました。接着面が小さいというのが、明らかに影響しているのでしょう。
これに対し、接着剤をべったり塗った方は明らかに強度が高く、なかなか剥がれません。固いステンレス棒が曲がるほどではなかったとはいえ、かなり耐えてくれました。このくらいべったり塗れば、それなりの強度で接着できるようです。
●金属や炭素繊維の接着に強いけど、耐熱温度には注意
接着剤とはいえ、メタルロックはかなりの強度があり、金属同士の接続を簡単にできるというのが魅力です。それでいて、夏場であれば30分ほどで実用強度になるという速乾性もうれしいところ。これがあれば、金属を使った工作がより捗るようになる、というのは間違いないでしょう。
なお、今回は金属用として紹介していますが、ステンレスやアルミ、チタン、鉄、真鍮以外に、炭素繊維(CFRP)も接着できるとのこと。強度の高い炭素繊維強化プラスチックを使いたい、というときにも、メタルロックは活躍してくれます。
乾くと接着剤自体がかなり固くなりますが、粘度が低いため穴埋めしたり、盛って固めて削って形を整える、といった補修用には不向き。純粋に接着用、とくに広い面の接着に向いた接着剤だといえそうです。
注意する点があるとすれば、耐熱温度はあまり高くなく、100度程度となっていることでしょうか。温度が高いと強度が落ちますので、高温となる場所での利用は避けましょう。
●お気に入りポイント●
・2液混ぜるのは手間だけど、接着力がかなり強い
・実用強度になるまでが早い
・臭いがほとんどなく使いやすい
この記事を書いた人──宮里圭介
PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。