<認知症>が疑われる家族。スムーズに病院を受診してもらうためには?「うまい説得の仕方」を認知症専門医が伝授!
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【書影】認知症患者を支える家族が後悔せずに済む「決断」をズバッとお答え!長谷川嘉哉『認知症は決断が10割』
患者さんの異変に気づいたら、迷わず受診させる!
編集T 家族が「最近ちょっと変だから、病院行こうか」と本人に言うのって、勇気がいりますよね。本人に「認知症かも」って言ったらショックを受けそうだし。
長谷川先生(以下、先生) やっぱり家族が患者さんに受診を勧めたときに、ケンカになってしまうことってあるんですね。
そういうときって、だいたい、配偶者さんだったり、お子さんだったりが、「普段はなんともないんだけど、ときどきちょっとおかしくなるときもあるから、頭を診てもらわない? 早いうちだと、効く薬もあるみたいだから……」みたいなことを言って、患者さんを説得しようとするわけです。
でも、一部の患者さんは、「うるせぇ! これくらい、自分の歳なら普通だわ! 病院なんか行かん!」みたいな感じになってしまう。
編集T なんでそんなに嫌がるんですか?
かたくなな受診拒否は、認知症の可能性大
先生 プライドもあるのかもしれませんけど……。
たとえばアルツハイマー型認知症の場合だと、初めに「理性」を司る脳の前頭葉の機能が低下します。そのせいで、ガマンがきかなくなるんです。なので、認知症の初期の患者さんって、カッとなりやすいし、暴言も出やすくて、周りとケンカしやすい。
それで、「病院に行こう」と言っても、「うるさい! 黙れ!」となってしまう。
編集T じゃあ、「認知症かもしれないから、病院に行こう」って言ったら、怒ってかたくなに受診拒否する人って……。
先生 そうなんです。
「かたくなな受診拒否は、認知症決定!」と言ってもいいくらい。
逆に、家族に「最近ちょっと変だから、病院に行かない?」と言われて、「じゃあ行ってみようかね」と言える人は、人の気遣いや助言を受け入れるだけの理性が残っています。だから、認知症であったとしてもかなり初期の可能性が高いんです。
認知症の初期なら、進行をゆっくりにできるかもしれません
先生 ちなみに、もの忘れや「自分は変かも」という自覚がある方は、かなり初期か、認知症発症前の予備軍であることが多いです。
うちのクリニックでは初診のとき、私が患者さんに「ご自身で、もの忘れがあると感じますか?」と聞くんですけど、このとき「少しあります」と答える方は、たいてい軽度なんですね。でも、「いや、もの忘れなんか全然ないですよ!」という方は、認知症がけっこう進行していることが多くて。

(写真提供:Photo AC)
編集T なるほど、忘れたことも忘れている、っていう。
先生 そうそう。
だけど、認知症予備軍や初期の段階なら、病気の種類によっては認知症の進行をゆっくりにできるお薬もあるんです。だから、ご家族が「なんとなく変だ」と気づいていたのに、患者さんに「認知症かもしれないから、病院に行こう」と言うのをためらって、受診が遅れた……というのが、いちばんもったいなくて。
というわけで、家族が「認知症かも?」と思ったら「すぐに医療機関に連れていく!」と決めてください!
「怒りやすくなる」のは、“認知症患者さんあるある”。
それまでおだやかだった方が、50代を超えて急に怒りっぽくなったら、ご家族は認知症の可能性を考えてみてください。
「公的機関」を頼る!
編集T う~ん……でもやっぱり、家族に「認知症っぽいから、病院に行こう」って言うの、なんか緊張しますね。患者さんがスムーズに病院に行ってくれる、うまい説得の仕方ってありませんか?
たとえば、前著『ボケ日和』では、「公的機関を言い訳に使ってください」とおっしゃっていましたよね。昭和のお年寄りは権威に弱いから、「市役所から検診の案内が来ているから、ちょっと病院に行こう」なんて言うと、わりとすんなり行ってくれるって。
先生 そうなんですよ。実際、お役所を持ち出すと、「ほんなら、行こか」と言ってくれる方は、けっこう多いです。
※本稿は、『認知症は決断が10割』(かんき出版)の一部を再編集したものです。