【独占】たった一議席で何ができるんですか? 安野貴博氏を直撃してわかった「1人でも必ず実現できること」
起業家でSF作家の安野貴博氏(34歳)は、参議院選挙の比例区で当選。氏が率いるチームみらいは得票率2・56%で、初挑戦にして国政政党となった。
東京都生まれの安野氏は開成中学・高校を卒業後、東京大学工学部に進学。AIを研究した後、外資系コンサルティング会社に入社、後に独立して起業した。
「典型的なエリート」と言うべき安野氏が、なぜ参議院に立候補したのか。そして、たった一議席で、国会で何ができるのか? 政治の世界で結果を出すための戦略とビジョンはあるのか。当選直後の本人を直撃した。
なぜ参議院に立候補したのか
今、世界は急激な速度で目まぐるしく変化しています。これに対応するために、政治の世界でも「速さ」が求められると思います。
われわれの党は、参院選で「テクノロジーで政治を変える」とスローガンを掲げました。まずは政治資金を透明化します。次にITを駆使して、新しい方法で意見を集め、政策を迅速に立案・実現したいと考えています。
昨年の都知事選に出馬した後、東京都のデジタル化を推進するGovTech東京のアドバイザーに就くなど、これまでにない経験をさせていただきました。
ただ、AIの専門家という立場では政治の意思決定に直接関わることが難しく、ある意味で便利屋さん的な存在を超えられないことを痛感しました。日本を本気で変えるには、永田町に入るしかない。そこで新党を結成し、国政に挑戦することを決めました。

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立候補を決めた5月時点で当選の確信はなかったものの、「それなりの確率で勝てる試合だ」とも見込んでいました。
というのも、'24年に都知事選に出馬した時の得票率が2・3%。参院選で同じ得票率をとれれば当選も可能だからです。東京と全国では選挙の難易度が違いますが、都知事選で私のことを知ってくださった方も多く、難易度の差は知名度で相殺できるという計算でした。結果、参院選の得票率は2・56%。ある程度期待通りだったと言えます。
とはいえ、当確が出た時は素直に「ヤッタ!」と叫んでいました。何しろチームみらいは立ち上げてから70日程度。これほど早く国政政党になった例はほとんどない。組織、予算、知名度、経験のない中で結果が出せたのは、支援してくれた多くの仲間のおかげです。本当に感謝しています。
すべての世代にむけた政策
チームみらいの得票数は、年代によって極端な偏りはないものの、30~40代の得票率が高かったのは事実です。働き盛りの有権者や子育て世代に訴えかける政策が多かったからでしょう。
もう1つの理由は、デジタル民主主義の実現を掲げ「テクノロジーの政治への導入こそ経済成長のエンジンになる」という主張にあります。これがIT業界などの技術者に支持されました。
今選挙では、「しゃべれるマニフェスト」という、有権者がチームみらいの政策について自由に質問したり議論したりできる仕組みを作りました。結果、8000件以上の意見をもらい、300回ほどマニフェストを改善しました。

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例えば、がんを予防するHPVワクチンの接種を男性にも助成することや、不妊治療中でも有給休暇を取得可能にすることなどを、選挙の最中に追加しています。
とはいえ、チームみらいは30~40代のための党ではありません。われわれの打ち出す政策によって、すべての世代が行政サービスをもっと使いやすくなると考えています。
例えば、現在のところ補助金や給付金は基本的に直接役所に申請しないと受け取れないものが多い。しかし、ITをもっと活用すれば、役所に行きづらいなど申請手続きができない高齢者の方にも、自動的に支援や補助金が振り込まれるようにできます。
「エリート集団」との揶揄への反論
また、車の自動運転なども法規制があるため今は十分に進んでいませんが、自動運転をより普及させ、誰もが容易に移動できるようになれば、高齢者の免許返納への不安も解消できるでしょう。
ネット上では「チームみらいはエリートばかり。弱者の気持ちはわからない」という意見が散見されたが、安野氏はこれにも丁寧に反論する。
他の政党に比べて、チームみらいだけにずば抜けた人材が多いとは思いません。自民党や立憲民主党にもエリートと呼ばれる方は大勢います。
チームみらいは、未来を今よりよくしたいと考えている人の代表です。年齢や性別、収入などは関係ありません。

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また、「たった1議席で何ができるのか」という意見もいただいていますが、これには自信をもって断言します。私一人でも、(1)政治資金の見える化と、(2)立法の見える化の2つは実現できます、と。
後編記事『【独占】安野貴博氏インタビュー 政治の世界で、自分たちの公約を実現する戦略とビジョンとは?』へ続く。
「週刊現代」2025年08月18日号より