荻野貴司、水上由伸、武田翔太…「戦力外組」は即戦力の宝庫か 他球団コーチが「天才的な打撃センス」と絶賛する伏兵は

来季の戦力構想から外れる選手たちが各球団から発表される中、反響が大きかったのがロッテだった。荻野貴司(39)、石川歩(37)、澤村拓一(37)、国吉佑樹(34)とかつての主力選手たちの退団が決定。荻野、石川はコーチ打診を受けたが、他球団で現役続行を模索する道を選んだ。
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「荻野は今年1軍で出場機会がありませんでしたが、ファームでは3割を超える打率をマークしています。故障が多いことがネックでしたが、能力的には1軍でまだまだ通用する。澤村は今季の推定年俸2億円から大幅減俸は避けられませんが、救援の層が薄い球団は獲得を検討する価値があります。制球が良いとは言えないが、直球と150㌔近いスプリット、ツーシームのコンビネーションで衰えは感じません」(ロッテを取材するライター)
DeNAの三嶋一輝(35)、ソフトバンクの又吉克樹(34)、西武の平井克典(33)、水上由伸(27)など、セットアッパーで活躍した投手たちも退団して新天地を模索することになった。評価が難しいのが、水上だ。20年育成ドラフト5位で入団し、新人の21年に支配下登録されると、22年に60試合登板で35ホールドをマークして新人王を獲得。育成出身の新人王受賞はパ・リーグ初の快挙だった。だが、23年以降は直球の球速が低下したことで登板機会が減少。今年は1軍登板5試合のみで、6月以降はファーム暮らしだったが、イースタンリーグで27試合に登板し、1勝1敗5セーブ、防御率1.26の好成績をマークしている。
西武OBは「水上は出力が落ちているという指摘がありますが、以前より直球に力強さが出てきているし、ファームでは奪三振能力が高い。27歳と若いのも魅力です。コンディションを整えれば1軍でまだまだ投げられるでしょう」と新天地での復活に期待を込める。
15年に13勝、16年に14勝を挙げるなどエース格として活躍したソフトバンクの武田翔太(32)も、戦力構想から外れた。昨年4月にトミー・ジョン手術を受け、今年6月に実戦復帰したが1軍昇格ならず。4年契約が切れる今年限りで退団が決まった。先発のコマ不足に悩む球団は多いだけに、需要が高いことが予想される。ソフトバンクでチームメートだったオリックスの岩嵜翔(35)は中日時代の22年にトミー・ジョン手術を受け、その後に救援で復活している。武田も新たな球団で完全復活なるか。

■「大化けする可能性を秘めている」
広島は球団史上初のリーグ3連覇に貢献した田中広輔(36)、松山竜平(40)らの退団が決まった。他球団の打撃コーチが「大化けする可能性を秘めている」と名指ししたのが、戦力構想から外れた宇草孔基(28)だ。19年のドラフト2位で入団し、プロ2年目の21年に43試合出場で打率.291と飛躍の兆しを見せたが、その後は1軍に定着できず、今季は1軍出場なしに終わった。このコーチは、「天才的な打撃センスを持った選手だと思います。ファームで見ていた時は変化球への対応力が課題でしたが、コンタクト能力が上がっていた。送球に不安を抱えていますが、指名打者なら打撃に集中できる。このまま終わってしまうのはもったいない」と指摘する。セ・リーグは27年から指名打者制が導入されるが、今オフの移籍を考えるとパ・リーグ球団が獲得に動くか注目される。
起用法の幅広さという観点で言えば、オリックスの福田周平(33)、阪神の渡邉諒(30)、巨人の今村信貴(31)はチームにプラスをもたらす。福田は出塁率が高いリードオフマンで、二塁と外野を守れる。プロ2年目にチームキャプテンを務めるなどリーダーシップにも定評があり、若手のお手本になれる存在だ。渡邉も今季は22試合出場にとどまったが、パンチ力がある右打者で内野はどこでも守れる。野手が手薄な球団は貴重なピースになるだろう。今村は先発、救援で通算180試合登板。今年は1軍で登板機会がなかったが、イースタンリーグで41試合登板し、4勝1敗3セーブ、防御率1.91の好成績を残している。

■「他球団ならまだまだ投げられる」
巨人を取材する民放テレビ関係者は「救援陣の層が厚かったので1軍でチャンスがなかったですが、他球団ならまだまだ投げられる。先発起用でも大崩れしないので。首脳陣からすれば使い勝手がいい投手です。トレード要員か現役ドラフトの有力候補と思っていたのですが、自由契約になったことで色々な球団と交渉できる。投手陣がコマ不足の球団が獲得に動く可能性があるでしょう」と語る。
実績十分の選手たちの去就も気になる。盗塁王を4度度獲得した西川遥輝(33)はヤクルトの戦力構想から外れ、現役続行を目指す。日本ハムの主力として活躍後、楽天、ヤクルトは共に2年の在籍期間で対談することになった。打点王、最多安打のタイトルを獲得した島内宏明(35)も若返りが進む楽天を去ることになった。今季5試合出場で10打数無安打。力強い打撃が持ち味だが精彩を欠いた。他球団でもう一花咲かせることができるだろうか。
上林誠知(ソフトバンク→中日)、石川達也(DeNA→巨人)、颯(オリックス→DeNA)のように戦力外通告を受けながら、新天地で復活や素質を開花させたケースはある。現役続行を目指す選手たちに、吉報が届くことを願いたい。
(ライター・今川秀悟)