フェルスタッペン、ポール獲得の”キーポイント”。角田も貢献の実験と、チームも驚愕の最終コーナー
F1アメリカGPのスプリント予選では、レッドブルのマックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得した。これは、ここ数週間のレッドブル・レーシングの進歩を象徴しているモノだと言える。
それはライバルであるマクラーレンが、中速コーナーを得意としていたからであり、オランダGPでは実際にマクラーレンがレッドブルを圧倒していた。
しかし同様に中速コーナーが多いサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でフェルスタッペンが見せた速さは、それ以降レッドブルが歩んできた進歩を浮き彫りにしている。
一方で、単なるマシンの改善以外の面でも、レッドブルが進歩しているのは明らかだ。フリー走行の使い方は、そのひとつだろう。
今季のレッドブルは金曜日に苦戦し、土曜日にセットアップを大幅に再調整せざるを得ない状況が度々発生していた。なんとか予選の前までに許容できるセッティングを見つけることができたことも多かった。
しかしアメリカGPのフリー走行では、すぐにパフォーマンスを発揮。これは、レッドブルがシーズン前半よりも、今はマシンをよりよく理解していることを裏付けている。
フリー走行での実験。角田裕毅のセットアップが改善をもたらす
レッドブルのCOTAでのアプローチは興味深い。アメリカGPはスプリントフォーマットでの開催であるため、フリー走行は60分1回のみ。そこでレッドブルは2台のマシンに異なるセットアップを施し、2種類のデータを取得しようとした。
テクニカルディレクターのピエール・ワシェは、フリー走行での実験について、スプリント予選後に次のように説明した。
「予選セッションでは常に、マシンの車高を可能な限り低く設定してパフォーマンスを最大化しようと試みる」
「最初のフリー走行では両マシンで異なる2つのセッティングを試した。その後、ユウキ(角田裕毅)のセッティングがわずかに優れていると気づいたのだ」
そしてフリー走行で得られた知見は、スプリント予選で早速実践に移された。
「そのセッティングは高速コーナーでの底付きを防止し、低速コーナーでのスピードを損なうことなくマシンの性能を向上させた」
「マックスはその後、マシンの性能を最大限に引き出した。彼は全てをまとめ上げ、最終的にポールポジションを獲得したのだ」
チームはフェルスタッペンの最終コーナーに感嘆
レッドブルの上層部は、フェルスタッペンの最終セクターの走りを絶賛している。アドバイザーのヘルムート・マルコは、フェルスタッペンがターン1で横滑りしたものの、セクター3で挽回したと語った。
そしてチーム代表のローレン・メキーズは、特に最終コーナーが素晴らしかったと指摘した。
「マックスはマシンに乗るたびに我々を驚かせる。信じられないことだ」
そうメキーズ代表はスカイスポーツF1に語った。
「偶然でもなんでもない。彼が舞台裏でどれほど努力しているかを見ると驚かされる。あの最終ラップでは、ランドをかわすために最終コーナーを信じられないほど攻めるだろうと感じていた。そして実際にそうなった」
「もちろん、マックスは車内でライバルのタイムに関する全情報を把握しているわけではないが、あの最終コーナーで全力を出し切り、わずかな差を開けることに成功した。チームにとって、そんなドライバーを擁しているのは素晴らしいことだ。それが今日の勝敗を分けた」

フェルスタッペンとノリスのスプリント予選アタックGPSデータ比較
GPSデータを確認すると、マルコやメキーズ代表が指摘した要素が裏付けられる。メインストレートエンドで、フェルスタッペンは約311km/hを記録。ランド・ノリス(マクラーレン)より約2km/h速かった。
しかし最終コーナー(つまりアタックの開始時点)でのトラクションはマクラーレンが優れており、ノリスはターン1のブレーキングポイントで0.026秒のわずかなリードを得ていた。そしてターン1でフェルスタッペンが挙動を乱したことで、その差はコーナー出口で0.1秒以上に拡大した。
フェルスタッペンは、鈴鹿のS字コーナーを彷彿とさせる連続コーナーでこの遅れを取り戻した。これは偶然ではなく、RB21が高速コーナーで高い性能を発揮できることを裏付けている。
この区間以降はほぼ互角の展開が続き、ノリスのブレーキポイントがフェルスタッペンよりわずかに早いことや、時折コーナー出口での加速の違いなどで一進一退。つまりメキーズ代表が示唆した通り、勝負は最終コーナーに委ねられたのである。
最終コーナー手前でノリスはフェルスタッペンに対し0.031秒リード。そして最終コーナーではお馴染みのパターンが再現された。ノリスはフェルスタッペンより早くアクセルをオフにし、先にブレーキングを開始。これによりフェルスタッペンは、エイペックス通過直後に0.031秒の遅れを0.130秒のリードに逆転させた。
ノリスはわずかに早く加速できたため当然ながらコーナー出口のトラクションでやや有利だったが、フィニッシュラインでは十分な差にはならなかった。結局フェルスタッペンは0.071秒のリードを死守したのである。
日本GPと同様、レイトブレーキングと比較的良好なトラクションの組み合わせが、フェルスタッペンに(スプリント予選とはいえ)ポールポジションをもたらしたのだ。
メキーズ代表が、『奇怪な、異様な』といった意味も持つ”bizarre”という単語で称賛した最終コーナーで、フェルスタッペンは少なくとも0.1秒のアドバンテージを獲得しており、それが決定的な差を生んだのである。
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