認知症グレーゾーンは、早めの対策で引き返せる可能性も。認知症を予防する3つの生活習慣「脳の活性化」「運動」「食習慣と睡眠習慣の改善」とは
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3個以上あてはまったら「認知症グレーゾーン」かも?<チェックリスト>
刺激にあふれた生活で脳を活性化
残念ながら、現時点では認知症を根本的に治す方法は見つかっていません。だからこそ、まだ引き返せる可能性のあるグレーゾーンやその前段階で認知機能の改善を試み、予防していくことが大切なのです。
認知症は、遺伝的な因子を持つ人を除くと、生活習慣が大きく影響するもの。ですから、日々の生活の見直しが必須です。具体的には、「脳の活性化」「運動」「食習慣と睡眠習慣の改善」の3つを行っていきます。
まず1つ目の「脳の活性化」のために、ワクワクに満ちた豊かな毎日を過ごすことを心がけましょう。それだけでいいの?と思う人もいるかもしれませんが、刺激にあふれた生活には、脳の神経伝達物質である「やる気や幸福感を生み出すドーパミン」「愛情の源となるオキシトシン」「心を癒すセロトニン」の分泌を活発にする効果があるのです。
その証拠に、国立長寿医療研究センターが40~82歳の2205人を10年にわたり追跡調査したところ、「好奇心が強く、新しいことに挑戦するのが好きな人」は、言語能力、理解力、社会適応力、コミュニケーション力などの知的な能力を維持できるという結果が出ています。
刺激にあふれた生活と真逆にあるといえるのが《孤独》です。記憶や意欲を司る「背外側前頭前皮質(はいがいそくぜんとうぜんひしつ)」、新しい記憶が保存される「海馬」、感情をコントロールする「扁桃体」などの脳の部位は、人との触れ合いによって活性化するもの。孤独な生活を送っている人の脳では、それらの部位の萎縮が確認されていることからも、他者との交流によって得られる刺激が重要だということがわかるでしょう。

(イラスト:霜田あゆ美)
次に「運動」。日常的に運動量が多い高齢者ほど認知症の発症率は低い傾向にあり、筋肉を動かすことで脳の神経細胞や血流が増え、前頭葉の機能が向上したという研究が報告されています。
筋肉を動かすと分泌されるマイオカインという物質には、脳の神経細胞が減るのを防ぐだけでなく、増やす働きをするものも。また、体を動かすことは、ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌を促す効果もあるとされ、「面倒くさい」となりがちなグレーゾーンの人の意欲低下を遠ざけるためにも最適です。
3つ目の「食習慣と睡眠習慣の改善」は、アミロイドβの蓄積を防ぐために欠かせません。とはいえ年をとるにつれ、胃腸の働きが低下して食が細くなり、味覚や嗅覚も衰えていってしまうもの。もともと料理好きであっても、食事に対するこだわりが失われ、出来合いの総菜やカップ麺で済ませてしまうという人も多いようです。
その結果、塩分や油脂の摂取量が増え、高血圧や糖尿病のリスクを高めることに。これらの生活習慣病は血管にダメージを与えるため、動脈硬化が脳血管性認知症を、糖尿病はアルツハイマー型認知症を引き起こすこともあるのです。そうならないためにも、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
睡眠も脳をリフレッシュさせる大切な時間です。アルツハイマー型認知症を引き起こすアミロイドβは「脳のゴミ」と言われ、その毒素によって脳の神経細胞が死滅すると考えられています。
この脳のゴミが排出されるのが睡眠中のため、眠る時間を十分に確保することが大切なのです。最近の研究では、平日の睡眠時間が7時間の人に比べ、6時間以下の人は30年後に認知症と診断される可能性が約30%も高いことが報告されています。
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これまで私は、2万人以上の認知症患者を診てきました。進行具合や経過は人それぞれで、認知症になっても日々穏やかに過ごす人もいます。発症したからといってお先真っ暗というわけではありませんが、人生100年時代を楽しむためには、日々の生活の中でできる限り予防を心がけることが大切です。
「効果があるとされることは何でもやる」という総力戦で、次の3ステップを参考に、認知症グレーゾーンからのUターンを目指しましょう。
まだまだ人生を楽しみたい!Uターンへの3ステップ

【1】脳を活性化する
脳の神経伝達物質の分泌を活発にするために、以下の5つのポイントを意識しましょう。
(1)挑戦……着たい服を着る、やりたいことをやるなど、《年がいもない》ことを積極的に行い、脳を刺激します。
(2)変化……いつもとは違うヘアカラーを試してみるなど、新たな経験で高揚感を生み出していきます。
(3)生きがい……加齢とともに興味を失いがちだからこそ、少しでも気になったら、まずは行動を。その一歩が推し活、習い事などに繋がるはずです。
(4)孤独の回避……人との積極的な交流は脳を活性化させます。ペットを飼ったり、植物を育てたりするのもおすすめです。
(5)利他……他者のために尽くしてみましょう。おすすめは人を褒めること。外見ではなく、内面を観察して言葉にすることで脳がフル稼働します。
【2】運動をする
脳の働きを高めるには、有酸素運動が効果的です。なかでも筋力や持久力を無理なく高めるトレーニング法としておすすめなのが、「インターバル速歩」。
はじめの3分間は、「ちょっときついな」と感じる程度の「さっさか歩き」。次の3分間は呼吸を整えながら「ゆっくり歩き」を行います。
これを1日5セット以上、週4日以上を目標に、少なくとも5ヵ月続けてください。背筋を伸ばし、普段より3cmほど大きめの歩幅で歩くのがポイントです。

●インターバル速歩の姿勢
【3】食習慣と睡眠習慣を改善する
食……イタリア、ギリシャなどの伝統食「地中海食」は、認知症のリスクを引き下げる効果があるとされています。特徴は、「肉より魚を多く摂る」「食用油はオリーブオイルを使用」「豆類・ナッツ類、野菜、果物など植物性食品を多く摂取する」「適量の赤ワインを飲む」こと。
注目すべきは、サバ、イワシなど背の青い魚に多く含まれている「オメガ3(不飽和脂肪酸)」。日常的に摂取することで、記憶力、学習能力の向上が期待できると言われており、オリーブオイルも同様の効果が報告されています。
また、ナッツ類や赤ワインには、脳の神経細胞に悪影響を与える活性酸素を抑える抗酸化成分が豊富です。

●地中海食
睡眠……睡眠時間は7時間がベストですが、それを超えると認知症リスクが高まるので注意が必要です。
さらに、国立長寿医療研究センターによると、75歳以上で、23時以降に寝る人は、21時から23時までの間に寝る人に比べて、認知症になる確率が約2倍高かったそう。
できる限り、22時までに布団に入るようにしましょう。