巨人・桑田真澄2軍監督が電撃退団の裏事情 他球団の指導者に招聘される可能性も

巨人が桑田真澄2軍監督の退団を10月28日に発表したことが、大きな波紋を呼んでいる。
「驚きましたよ。桑田さんは球団側との面談で『若手の育成ができていない』とフロント入りを打診されましたが、固辞して退団を決断したそうです。驚いたのは、球団に通告されたタイミングです。前日の27日まで宮崎であったフェニックスリーグで、桑田さんは指揮を執っていました。若手が実戦で鍛錬を積む大切な時期に、来年ユニフォームを着ない桑田さんが指揮を執るのは不可解です。本来ならもっと早く伝えるべきでしょう。有能な指導者だったので、チームを去ることは球団にとって大きな損失だと思います」(巨人を取材するスポーツ紙記者)
桑田氏は退団にあたってのメッセージをスポーツ報知に寄せているが、その中で、「今季は1軍が優勝することができず、若手の育成が思うように進んでいない責任を取り、退団を決断しました。今後は選手たちの活躍を見守るしかできないのが心残りです」と、無念の思いを語っている。事実上の更迭だったということだろう。
だが、「若手の育成ができていない」という球団の説明に納得ができないファンは多いのではないか。今年の巨人2軍はイースタン・リーグで80勝44敗2分けと圧倒的な強さで2年ぶりに優勝した。白星を重ねただけでなく、巨人のファームではイキのいい若手が多く育っている。森田駿哉、又木鉄平、宮原駿介、園田純規、石塚裕惺、山瀬慎之介、宇都宮葵星、三塚琉生などが頭角を現した。
前出のスポーツ紙記者は「桑田さんは活躍した選手を名指しでほめるのが印象的でした。積極的な失敗や意図が分かるプレーは結果が出なくても責めない。若手の育成だけでなく、チームに献身的な姿勢を見せていたベテランの長野久義に感謝の思いを口にするなど、広い視野でチームを見ていました」と振り返る。
他球団のファームのコーチも、桑田氏の手腕を高く評価する。
「巨人は実績のある中堅、ベテランが多いので、ファームに降格した時は試合勘を失わせないために起用する必要がある。その中でこれだけの若手が台頭するのは凄いことです。森田、宮原は1軍で戦力になっていたし、山瀬も他球団なら1軍でもっとチャンスが与えられる捕手です。1軍で戦力になった選手が少ないことが指摘されていますが、1軍で我慢強く起用しなければ一本立ちするのは難しい。常勝を義務付けられている巨人なので起用法が難しかったと思いますけど、そこはファームの首脳陣の責任ではないですよ」

■阿部監督がやりやすいようにフロントが決断?
それでも桑田氏の更迭が想定外の事態だったかというと、違う見方がある。巨人を取材するライターが漏らす。
「桑田さんは1軍の投手コーチ時代から、ケガのリスクを抱えた選手や、万全のコンディションでない選手を起用することに異を唱えた場面が何度かありました。今年の巨人は先発のコマ不足で苦しみ、阿部慎之助監督はファームから即戦力の投手を上げたかったが、年上の桑田さんには強く言えなかったかもしれない。フロントがこの状況を察して、阿部監督がやりやすいように、桑田さんを2軍監督から外す決断をしたのでしょう。ただ、フロント入りを打診するのではなく、巡回コーチなど桑田さんの手腕を生かす他のポストもあったはず。退団という事態は防げたのではないかと考えてしまいます」
今回の電撃退団で報じられているのが、阿部監督と桑田氏の指導方針の違いだ。阿部監督は厳しさを前面に打ち出して練習量を重視するスタイルなのに対し、桑田氏は現役引退後に大学院で投球や打撃の合理的、効率的な動作解析を学んでデータを重視し、練習は質を重んじるという見方が多い。ただ、桑田氏から指導を受けた巨人OBは「この見方は一面的です」と異を唱える。
「桑田さんの指導法は『量より質』と言われますが、そんなことありません。先発投手は長いイニングを投げても精度が落ちない球質を求めるよう言われましたし、データに基づいて『この部分を伸ばせばもっと良くなるよ』と具体的にアドバイスをくれる。ただ、桑田さんが求める水準のパフォーマンスを発揮するためには、練習量を増やさなきゃいけないんです。自主性と効率を重んじるのは間違いないですが、個々の選手の練習量は間違いなく以前より増えているはずです。僕自身もやらされている練習ではなく自主的に取り組んだので、スキルが伸びている実感がありました」
桑田氏は球団OBの松井秀喜氏とともに、次期監督の有力候補として名前が挙がっていた。それだけに、阿部監督の後の監督人事が気になってくるが、スポーツ紙デスクは「松井さんが監督になるにせよ、投手陣の事情に精通している桑田さんは貴重な人材でした。2人はメジャーでもプレー経験がありますし、野球観が合うと思います。でも、今のフロント陣が刷新されない限り、桑田さんが巨人に戻ってくることは考えにくい」と指摘する。

■「指導者としてほしい球団は多いでしょう」
他球団の編成担当は、桑田氏が別の球団に招聘される可能性に言及する。
「1軍の投手コーチ、2軍監督を経験して内部に精通した桑田さんは1軍の監督候補だと思っていました。コミュニケーションを積極的に取り、選手の成長を楽しみにしているイメージがあります。指導者としてほしい球団は多いでしょう。戦力補強は選手に限った話ではありません。有能なコーチを招聘することは、チーム力の底上げにつながりますから」
巨人では、二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチ、駒田徳広3軍コーチらも退団した。来季はヘッドコーチを置かず、3軍監督にはファーム統括編成担当だった会田有志氏が就く。桑田氏の後任の2軍監督は未定だが、外部招聘する可能性が高いとみられている。
阿部監督は来季が就任3年目を迎える。首脳陣を刷新して新たな船出を切るが、果たしてプラスに作用するだろうか。
(AERA編集部)