【血管年齢はお風呂で若返る】動脈硬化・高血圧・自律神経の乱れに効く<10分入浴>を温泉療法専門医が解説
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【書影】7万人を超える入浴を医学的に研究してきた温泉療法専門医・早坂信哉さん著書『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』
人は血管から老いていく
さて、血流をよくするには、通り道である血管も健康でなければなりません。ところが、血管の老化は知らないうちに静かに進み、気づいたときにはすでに症状が深刻化している……。そんなケースが少なくありません。
血管が老いると、まず硬くなり、血液の通り道が狭くなって流れが悪くなります。「動脈硬化」と呼ばれる状態です。進行すると血圧が上がり、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気につながるおそれがあります。
血管から始まった老化は、やがて全身に広がっていく─。
でも、ご安心ください。入浴が血管の老化のスピードをゆるやかにしてくれるからです。
それには「一酸化窒素(NO)」という物質を体内で増やすことが有効なのですが、湯船で10分温まるだけで血流が大きく改善され、NOの産生が促進されることが明らかになっています。
入浴前後の血液を比較した実験でも、入浴後には血中NO濃度が増加することが確認されています。
血流を促進して動脈硬化の進行を抑える
NOの働きは、血管を広げて血流を促進し、血管のしなやかさを保つことで動脈硬化の進行を抑えることです。
さらに、血管内の炎症を抑えたり、血栓(血の塊)ができにくくしたりする作用もあり、その結果、プラーク(コレステロールなどが血管の内側にたまってできる塊)の悪化や破裂を防ぐことにもつながります。
また、湯船に浸かって体が温まると、血管が一時的に広がり、お風呂から上がって体が冷めてくると血管は自然に収縮します。
この「拡張」と「収縮」のくり返しは、血管にとってストレッチのような刺激となり、しなやかさを保つのに役立ちます。
これほど手軽で、医学的にも信頼性のある健康法は、そう多くはないでしょう。
自律神経を調整するのも、やっぱり温熱作用
温かいお風呂のすばらしい点をもう1つ挙げるとしたら、それは自律神経のバランスが自然に整うということです。
自律神経は、呼吸や血圧、体温、消化といった生命活動を無意識にコントロールしている神経で、以下の2つがバランスを取っています。
・交感神経…活動モードを担う
・副交感神経…休息モードを担う
日中や緊張時には交感神経が、夜間やリラックス時には副交感神経が優位になるのが理想的なバランスです。
ところが、ストレスや不規則な生活といった、交感神経を優位にする要因が現代社会にはあふれています。
すると、副交感神経への切り替えがうまくいかず、眠れない、疲れが取れない、胃の調子が悪い、気分が落ち込みやすい……、さまざまな不調が出てきます。
一方で、副交感神経が優位になりすぎるのもよくなく、交感神経と副交感神経が状況に応じて切り替えられる状態が大切なのです。
それを助けてくれるのが、温かいお風呂です。
多くの研究では、40℃のお湯に10分ほど全身浸かることで副交感神経の活動が高まり、心拍数が安定するなどのリラックス反応が確認されています。
つまり、体を温めるだけで、交感神経から副交感神経のスイッチが入り、自律神経のバランスが整いやすくなるのです。
運動でもなく、マッサージでもなく、お風呂が一番
体を温めて血流をよくするなら、運動でもいいのでは?という疑問がわくかもしれません。
実際、運動をすれば血流がよくなり、一酸化窒素(NO)も増やすことができます。運動がいいことは、みんなわかっています。
でも、運動は疲れませんか?
ランニングなどの運動の血流改善効果は非常に高いのですが、体内には疲労の原因物質が産生されてしまいます。入浴では、そうした変化はほとんど見られません。
ひざや腰が痛いと、運動はきついですよね?
運動をすると、心拍数が上がります。心拍数が上がるということは、血流がよくなるということです。でも、体が痛いときや、高齢の方は運動がきついでしょう。

(本書より)
他の先生方と共同で行った実験では10分間の入浴で、200mを走ったときと同じくらい心拍数が上がることがわかっています。
入浴なら、運動よりも楽に血流を改善することができるというわけです。

マッサージで血流は改善するけれど…(写真はイメージ/写真提供:Photo AC)
マッサージも効果はあるけれど…
では、マッサージはどうでしょう?
マッサージは気持ちがいいですし、体もホカホカします。ただ、マッサージは皮膚や浅い筋肉への刺激が中心で、温まるのはその周辺です。
一方、入浴は筋肉だけでなく、関節のまわりにある「じん帯」にまで温熱が届きます。
じん帯は、主に「コラーゲン」というたんぱく質でできており、温めることで柔らかくなる性質を持っています。すると、関節が動かしやすくなったり、痛みが軽減したりします。
また、マッサージは一時的なこりや痛みの緩和には有効ですが、効果が局所的で根本的な改善にはつながりにくいのです。一方、入浴は痛みの根本原因に働きかけることができる手段で、それはこんな理由からです。
痛みをくり返すと、私たちの神経は過敏になって、より痛みを感じやすくなります。これは、軽い刺激でも過剰に痛みを感じてしまう状態です。

(本書より)
実は、入浴を続けることで少しずつこの状態が改善され、痛みの感じ方がおだやかになっていくことが研究結果から考えられます。
こうしてみると、運動よりも、マッサージよりも、入浴のほうが断然よいと思いませんか?
※本稿は『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』(アスコム)の一部を再編集したものです。