「膝の痛み」を抱える50代女性は42.1%。慢性的な膝の痛み解消のための簡単トレーニング【理学療法士が解説】

pixta_34775314_M.jpg

膝の痛みは年齢とともに増える悩みです。日本整形外科学会によると、50代女性では42.1%、60代女性では57.2%、70代女性では71.4%が膝の痛みに悩んでいると報告されています。膝の痛みは日常生活に欠かせない歩行の動きに影響するため、痛みが強くなる前に原因を知り、改善や予防に取り組むことが大切です。そこで今回は、YouTubeで健康寿命を5年延ばす関節トレーニングを発信している理学療法士の笹川ひろひで氏に、日常生活に取り入れやすい膝痛解消トレーニングを教えてもらいました。

膝の痛みの多くは関節のねじれが原因

関節がねじれるのは、特に内ももの内転筋とハムストリングス、股関節の筋力バランスの崩れが背景にあります。特に内ももの内転筋と、ハムストリングスの筋肉は衰えやすく、勝手に働きをサボる「サボリ筋」となってしまうことがあります。するとカバーするためにほかの筋肉が頑張りすぎる「ガンバリ筋」になり、左右の筋力バランスが崩れ、骨盤がゆがみ、上半身・下半身のバランスも乱れて膝の痛みにつながります。

そこでまずはセルフチェックをしてみましょう。

  • 背筋を伸ばして目を閉じ、その場で30回足踏みをしてください。
  • 立った時に右側にずれていたら右側の骨盤にねじれが生じている可能性が、後ろにずれていたら筋力の前後のバランスが崩れている可能性があります。

この内転筋とハムストリングス、股関節のバランスを整え、「サボリ筋」を効率的に働かせるトレーニングをご紹介します。全部行っても5分程度で、幅広い年齢の方が無理なく実践可能です。

1.足の親指側・母指球/股関節や膝回りの筋肉を動かしやすくする

母子球筋と小指球筋.jpg

  • 体育座りまたは椅子に座って、つま先を内側に向けます。
  • 足の指を強く握ってそのまま10秒間力を入れます。

母子球筋.jpg

土踏まずのあたりに力が入っていると、母指球筋にちゃんとアプローチできています。

2.足の小指側・小指球の筋肉/股関節や膝回りの筋肉を動かしやすくする

  • 体育座りまたは椅子に座って、つま先を外側に向けます。
  • 指を強く握ってそのまま10秒間力を入れます。

小指球筋.jpg

小指側の足の裏に力が入っているかを意識しましょう。力が入りにくい場合は手でサポートしてもOKです。

3.ももの内側の内転筋/膝の筋肉を鍛える

内転筋_1.jpg

  • 仰向けに寝て片膝を立て、つま先を内側に入れます。
  • 両肘を床につけて、膝を立てている側のお尻を浮かせます。
  • そのまま10秒間キープ。左右3回繰り返します。

内転筋_2.jpg

立てている膝が内側に入るのを防ぐため、親指やかかとが浮かないように注意してください。

4.ももの裏側のハムストリングス/鍛えることで膝の負担を減らす

ハムストリングス1.jpg

  • 片膝を立てて仰向けになり、もう片方の足を上げて膝を抱えます。
  • 持ち抱えた脚のつま先を内側に入れて、かかとをお尻に近づけるように膝を曲げます。
  • そのまま10秒間キープ。左右3回繰り返します。

ハムストリングス2.jpg

つま先を裏側に入れる際、指は握った状態で行いましょう。

5.股関節の腸腰筋/股関節のインナーマッスルを鍛える

腸腰筋1.jpg

  • 仰向けになり、片膝を立てます。
  • もう片方の膝を横に開き、つま先を上に向けます。
  • 横に開いたほうの足を手前と奥へ曲げ伸ばします。左右10回ずつ行いましょう。

股関節.jpg

余裕がある場合は、両膝を両側に広げて一度に行ってもOKです。その場合は腹筋にもアプローチします。

6.骨盤周りの腹横筋/お腹のインナーマッスルを鍛える

腹横筋1.jpg

  • 椅子に座って、片方の手のひらを外側に向けます。
  • 手のひらを外側に向けている側のお尻を浮かせます。
  • お尻を浮かせている側の肩を下げて10秒間キープ。左右3回ずつ行います。

腹横筋2.jpg

お尻を浮かせにくい人は手を腰に当てて、サポートしてもOKです。

6つのトレーニングを行ったら、目を閉じて30秒足踏みし、再度ねじれのセルフチェックをしてみましょう。トレーニング前よりもずれが改善していれば、筋力バランスが整ってきたサインです。1日10秒ずつ、無理なく続けることで、膝の痛みの軽減が期待できます。

※効果には個人差があります。ご自身の身体にあわせて無理のない範囲で実施してください。

<笹川ひろひで先生 プロフィール>

笹川先生.jpg

理学療法士/一般社団法人 日本身体運動科学研究所 代表理事

日本大学で体育学、教育学を修め、運動能力の向上やスポーツ上達法を科学的に探求する運動科学の専門家として活躍。その豊富な経験と知識から、体の動きを劇的に改善する独自のメソッド「関節トレーニング」を考案。一般の方の健康維持からトップアスリートのパフォーマンス向上まで幅広く貢献。現在は、ボディコンディショニングなどのセミナーを全国で開催。理学療法士、スポーツ指導者、柔道整復師といった専門家たちが、その指導を仰ぐために全国から集まる。また、イタリアやオーストラリアなど海外の生徒にも指導を行うなど、その活動はグローバルに展開している。