前田健太が楽天入り濃厚 本命視された巨人を“選ばなかった”理由は“古巣”にあり?

前ヤンキース傘下3Aスクラントンの前田健太が楽天に入団することが決定的になった。日本球界に復帰する意志を明言し、獲得レースに参戦していた巨人が本命視されたが、水面下の交渉で何が起きていたのか。
* * *
■「若手の手本になる」
スポーツ紙の遊軍記者が解説する。
「前田は残り35勝に迫っていた日米通算200勝達成に強いこだわりがあります。その中で巨人が単年契約を提示していたのに対し、楽天は2年契約を用意しました。故障上がりの投手に複数年契約は大きなリスクとなるので、巨人の考えは理解できます。ただ、選手の立場からすると契約年数が長い方が腰を据えてプレーできる。楽天は若手中心のチームですが、前田はコミュニケーション能力が高く、すぐに溶け込めるでしょう」
メジャーで3度の2ケタ勝利をマークするなど先発として活躍してきたが、21年9月にトミージョン手術を受けて以降は試行錯誤を繰り返していた。ツインズで復帰のシーズンとなった23年は6勝をマークしたが、タイガースに移籍した昨年は3勝7敗、防御率6.09。今年は先発入りを目指したがオープン戦で防御率4.91とふるわず、救援に配置転換。7試合登板で防御率7.88と結果を残せずにメジャー40人枠から外れて事実上の戦力外となる「DFA」を通告された。その後はカブス、ヤンキースの3Aでメジャー昇格を目指したが実現しなかった。
パリーグ球団の編成担当は「37歳という年齢を考えると複数年契約を用意するのは厳しい。それでも直球が150キロ以上出ればまだまだ十分に通用する。若手の良きお手本になるし、数字以上にプラスアルファをもたらす投手です」と評価していた。
先発のコマ不足に悩む球団にとって、実績十分の前田は魅力的な投手だろう。複数球団が獲得に向けて調査する中、最も注目されたのは古巣・広島の動向だった。ドラフト1位で入団すると最多勝に2度、最優秀防御率には3度輝くなど先発の大黒柱として活躍。同じく広島のエースだった黒田博樹はメジャーから復帰した経緯があり、ファンからは前田にも復帰待望論が上がっていた。だが、広島が獲得を検討するといった報道はなかった。

■黒田博樹はメジャーから広島へ
広島を取材するライターが語る。
「黒田さんはメジャーの先発としてバリバリ活躍していたので、マエケンとは状況が違います。広島の功労者であることは間違いないですが、チームは優勝争いに絡めないシーズンが続いて若返りの時期に入っている。若手の玉村昇悟、高太一、常廣羽也斗は一本立ちが期待されていますし、日本での活躍が未知数のマエケンに先発の枠を確約できる余裕がないのが実情です」
広島には同学年の会澤翼、後輩の菊池涼介、大瀬良大地など気心の知れた仲間たちがいる。メジャー移籍後も森下暢仁や遠藤淳志と毎年、自主トレを行っており、シーズン中は広島の成績を気にしていることを明かしていた。
かつてチームメートだったOBは、「これは憶測かもしれませんが」と前置きした上で続ける。
「プロは必要とされる球団でプレーする世界。ですが、広島愛が強いマエケンは同一リーグでライバル球団の巨人に入団することに迷いがあったのでは。勝手な想像ですけどね。義理堅い男なのでビジネスライクに決めはしないと思います」
移籍劇が重なるのが前田と同学年で親交が深い広島の秋山翔吾だ。西武で攻守の中心選手として活躍し、メジャー挑戦を経て22年のシーズン途中に日本球界復帰を決断。古巣の西武、ソフトバンク、広島から獲得オファーがあった中で、広島に入団して話題になった。
「日米通算2000安打を達成したいという思いを持っている中で、西武は2年契約の提示に対して広島、ソフトバンクは3年を提示しました。金銭面で言えばソフトバンクの方がよかったですが、秋山は西武と同一リーグのソフトバンクではなく、広島を新たな挑戦のステージとして選んだ。若返りの方針で今年は64試合出場にとどまりましたが、ベンチで積極的にナインに声を掛けるなど人望が厚い」(前出の広島を取材するライター)

前田の獲得に乗り出した楽天は、先発陣の強化が一番の懸案事項だった。先発陣のチーム防御率3.72はリーグワースト。先発の古謝樹とリリーフの西垣雅矢がチーム最多の7勝だった。エースの早川隆久は12試合登板で2勝8敗、防御率4.35とふるわず、9月下旬に「左肩後方関節唇クリーニング術」を受けた。実戦復帰まで4、5か月かかる見込みで、無理はさせられない。開幕に早川が間に合わない状況を想定する必要があるだろう。
「前田の年齢が言われますが、球団フロントは先発ローテーションで計算できると判断して獲得に動いている。昨オフに退団した田中将大に続き、チームを支えてきた則本昂大が海外FA権を行使して他球団に流出する可能性がある中で、投手陣のリーダーとしても期待が大きいでしょう。有原航平(ソフトバンク)のようにメジャーで活躍できず、日本球界に復帰して2年連続最多勝に輝いたケースがありますし、前田も杜の都で日米通算200勝を達成して欲しいですね」(楽天の球団OB)
仙台の地で、前田の新たな挑戦が、まもなく始まるのだろう。
(ライター・今川秀悟)
・【写真】メジャーの評価はイマイチでも、国内移籍なら争奪戦になりそうなのがこちら
・続投決まった広島・新井監督に課題山積 正捕手問題、コーチ刷新、前田健太獲得の行方は
・【写真】ヤマモトより勝ってる! ドジャース移籍1年目で16勝をあげたのがこの人