来季も阪神が圧倒的優位? セ・リーグは、巨人、DeNAに戦力低下の懸念 “台風の目”は中日

■巨人が岡本の穴を埋めるのは難しい
来年に向けて各球団が戦力補強に動く中、変革期を迎えているのが巨人とDeNAだ。
今季3位に終わった巨人では、不動の4番・岡本和真が今オフ、ポスティングでのメジャー挑戦を表明。今季は左肘靭帯損傷で5月から3カ月以上離脱したが、この期間にチームは得点力に悩まされて勝率5割前後を推移し、最終的に3位に終わった。岡本の穴を埋めるのは難しい。
「日本ハムからFA権を行使した松本剛の獲得が決定しましたが、今季の打率が1割台だったことを考えると過度な期待は禁物です。これから獲得する外国人選手に注目が集まりますが、助っ人頼みのチームづくりはリスクが大きい。先発のコマ不足が解消されていないですし、来季はV奪回どころかBクラス転落危機もありえます」(スポーツ紙デスク)
2位だったDeNAも主力の大量退団が懸念されている。先発の軸を担うジャクソン、ケイに対して日米の複数球団が獲得に興味を示しており、同じく先発のバウアーの今季限りでの退団も決定的。主軸だった時期も長いオースティンは自由契約になった。さらに、攻守でチームを引っ張ってきた桑原将志が西武にFA移籍することが発表された。投打で戦力ダウンが避けられず、来季から指揮を執る相川亮二監督は難しいかじ取りを迫られる。
DeNAを取材するライターは「個々の選手の能力は高いが、野球の精度が低いことが優勝できない要因です。それに筒香嘉智、宮崎敏郎はベテランの域に入り、いつまでも頼れない。先発陣も頭数がそろっているとはいえない中で、相川監督がどのようにチームを刷新するか。巨人と同様に戦力がダウンしていることを考えると、若手の台頭が不可欠です」と強調する。
一方で、圧倒的な強さでリーグ制覇を飾った阪神は効果的な補強を敢行している。ドラフトでは1位指名で3球団が競合した大学No.1スラッガー・立石正広(創価大)の当たりクジを引き当て、島本浩也を交換要員に日本ハムから伏見寅威を獲得。この電撃トレードには驚きの声が上がった。坂本誠志郎が正捕手となり、ベテランの梅野隆太郎も控えている中、課題とされていたのは若手捕手の育成だった。35歳の伏見を獲得した意図は何なのか。ある球団のスコアラーは「交流戦対策と若手投手の育成が狙いじゃないか」と指摘する。

■ぶっちぎり優勝の阪神は効果的な補強
「阪神は21、22年と交流戦で2年連続2位ですが、23年以降は3年連続で負け越している。セ・リーグではぶっちぎりましたが、交流戦では西武、楽天に3連敗を喫するなど8勝10敗と苦戦しています。オリックス、日本ハムでプレーした伏見はパ・リーグの戦い方を熟知している。この経験を阪神に還元すれば大きなプラスアルファになるでしょう。左腕投手のリードにも定評があります。特に宮城大弥(オリックス)、山崎福也(日本ハム)が全幅の信頼を寄せていました。阪神は大竹耕太郎、高橋遥人、伊藤将司と先発陣に左腕が多い。殻を破れず1軍に定着できない門別啓人、富田蓮は伏見の配球術で、変わるきっかけをつかむかもしれません。非常に効果的な補強だと思います」
一方、Bクラスに低迷した中日、広島、ヤクルトはどうだろうか。前出のスポーツ紙デスクは「中日は戦力だけ見ればAクラスを十分に狙える。台風の目になる可能性がある」と評価する。
「今秋のドラフトで中西聖輝(青学大)、櫻井頼之介(東北福祉大)とアマチュア球界トップクラスの右腕を指名できたことが大きい。FA権を取得して去就が注目された柳裕也と松葉貴大が残留を決断したことも明るいニュースです。エースの高橋宏斗、2年目を迎える金丸夢斗、復活した大野雄大と力のある投手がそろっている。打線も岡林勇希、細川成也、上林誠知、石伊雄太と核になる選手がいる。来日1年目の今季、夏場から快音を響かせていたボスラーの残留も決まった。来季、春先からコンスタントに打てば得点力が上がります」
セ・リーグ球団の元編成担当も「中日は若手の投手が伸び悩んでいることが課題ですが、投打で戦力が整ってきている」と話す。その中日の本拠地・バンテリンドームには来季から、ホームランウイングが設置され、本塁からフェンスまで最大で6メートル前進する。
「ホームランウイングができてフィールドが狭くなることで得点が増える一方、失点も増加することを想定しなければいけない。例えば、1点差を追いかける好機に犠打で走者を進めるか、強攻策で一気に逆転を狙うか。代打の起用法も勝負のカギを握ります。井上一樹監督のベンチワークが重要になってくるでしょう」

来季も苦しい戦いが予想される広島の中で、起用法が注目されるのが坂倉将吾だ。正捕手として期待されたが攻守に精彩を欠いた。来季も正捕手で起用するか、打力を生かして守備の負担が少ないポジションの比重を増やすか。池山隆寛監督が就任したヤクルトは、村上宗隆のメジャー挑戦で核を失った打線の再構築や先発陣の再建と課題が山積している。
「阪神一強」の構図を他球団はひっくり返せるか――。各球団の今後の補強から目が離せない。
(ライター・今川秀悟)
・【写真】ホームランウイング設置で覚醒しそうなのが、この人
・【写真】左投手のリードに定評があるのがこの人
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