「いま、何馬力?」最高出力を発揮することはまず無いけれど、やっぱりスペックは気になる?

常に最高出力が発揮されているわけではない

 いまや様々なカテゴリーのバイクが販売され、スポーツバイクの指標が最高出力や最高速度だった時代ははるか昔……。とはいえ、バイク選びや同カテゴリーの新型車が登場すると、ついスペックが気になるのは事実。とくに「最高出力」は、大きいほどエライ気がします。

 ちなみに、本格レースのベース車両にも使われる大排気量スーパースポーツ車なら、いまどきは最高出力200馬力オーバーが普通です。

常に最高出力が発揮されているわけではない, パワーグラフで比べてみよう!, 普段乗りなら、まずオーバースペック!?, 必要な馬力は、走行シーンで変わる

エンジンは走行中に常に最高出力を発生しているワケではない。普段走っている時は何馬力くらい使っている?

エンジンは走行中に常に最高出力を発生しているワケではない。普段走っている時は何馬力くらい使っている?

【画像】実際何馬力使ってる? ジャンル違いのバイクの最高出力を画像で見る(8枚)

 ……が、どんなバイクでもそうですが、エンジンがかかっている間は常に最高出力を発生しているわけではありません。

 実際のところ、普段走っている時は何馬力くらい出ている(使っている)のでしょうか?

パワーグラフで比べてみよう!

 個々のバイクが発揮するパワーは、性能曲線図(いわゆるパワーグラフ)を見ればわかります……と言いたいところですが、1990年代くらいまでは、大抵はカタログの裏表紙などに記載がありましたが、2000年代以降はほぼ見かけなくなりました(理由は不明)。

 ところがドゥカティは、ホームページのスペック欄の近くに性能曲線図を記載しています(車種による)。

常に最高出力が発揮されているわけではない, パワーグラフで比べてみよう!, 普段乗りなら、まずオーバースペック!?, 必要な馬力は、走行シーンで変わる

最新の「パニガーレV4 R」の性能曲線図。2023年モデル(破線)との比較。赤線が馬力で、グラフの縦軸が馬力、横軸がエンジン回転数

最新の「パニガーレV4 R」の性能曲線図。2023年モデル(破線)との比較。赤線が馬力で、グラフの縦軸が馬力、横軸がエンジン回転数

 そこで「パニガーレV4 R」の最新モデルの性能曲線図を参考に見てみましょう。そして比較対象に、カワサキ「Z900RS」と、ヤマハ「YZF-R25」をパワーチェックしたパワーグラフ(実測イメージ)を掲載します。

 ちなみにパワーチェックは、シャシーダイナモという計測機械にバイクを載せて、「4速ロールオン」と呼ばれる方式で計測するのが一般的です。ギアを4速に入れた状態でアイドリング付近のエンストしないギリギリの低回転からスロットルを全開にして、回転リミッターが効くまでのパワーの上昇を計測します。

普段乗りなら、まずオーバースペック!?

 まず「パニガーレV4 R」ですが、1万4000回転を過ぎた辺りで210馬力を超えるパワーを発揮します。とはいえ街中で使う4000回転付近ではおおむね40馬力で、公道をスポーティに走る時に8000回転まで使ったとしても、せいぜい100馬力くらいです。

 そして大人気の「Z900RS」は、8500回転付近で108馬力くらいで、4000回転で約45馬力です。

常に最高出力が発揮されているわけではない, パワーグラフで比べてみよう!, 普段乗りなら、まずオーバースペック!?, 必要な馬力は、走行シーンで変わる

シャシーダイナモで計測したカワサキ「Z900RS」のパワーグラフ(実測イメージ)。8500回転付近で約108馬力

シャシーダイナモで計測したカワサキ「Z900RS」のパワーグラフ(実測イメージ)。8500回転付近で約108馬力

 また「毎日乗れるスーパーバイク」がコンセプトの「YZF-R25」は、1万2000回転付近で約33馬力、4000回転なら約10馬力ほどです。

 実際は走行シーンの違いなどで使用するギアやエンジン回転数が変わるので、このグラフが示す通りの馬力ではないでしょう。

 例えば高速道路の巡航なら6速を使い、もっとエンジンの回転数が下がるので、実際に使っている馬力はさらに低くなるはずです。

常に最高出力が発揮されているわけではない, パワーグラフで比べてみよう!, 普段乗りなら、まずオーバースペック!?, 必要な馬力は、走行シーンで変わる

シャシーダイナモで計測したヤマハ「YZF-R25」のパワーグラフ(実測イメージ)。1万2000回転付近で約33馬力

シャシーダイナモで計測したヤマハ「YZF-R25」のパワーグラフ(実測イメージ)。1万2000回転付近で約33馬力

 すると「パニガーレV4 R」は、公道だと最高出力の半分も使っていないことになり、「Z900RS」の最高出力と「どっこいどっこい」です。

 そして「Z900RS」が高速道路を巡航している時は、「YZF-R25」の最高出力と同程度です。

 さらに「YZF-R25」が街乗りで使っている馬力は、排気量が半分の原付2種の最高出力といい勝負です。

必要な馬力は、走行シーンで変わる

 性能曲線図やパワーフラフを見ると、どれくらいの馬力を発揮しているか、すなわち「どれくらい馬力を使っているか」がイメージできます。すると「スーパースポーツ車どころか、いまどきのビッグバイクは明らかにオーバースペックじゃん!」と感じたり、スペック表の最高出力を見て一喜一憂する必要はなかったかも……と、「普段乗り」なら馬力(最高出力)に拘る意味はないかもしれません。

 しかし「パニガーレV4 R」はサーキットでのスポーツ走行でのパフォーマンスに焦点を当てて開発されており、最高速度を稼ぐには、やっぱり「馬力が必要」ですし、レースに使うスーパースポーツ車なら言わずもがなです。

 また「Z900RS」のような大排気量ネイキッドは、ある意味「万能性」を求められるので、相応に高いパワーが必要になるケースもあるでしょう。

 そして「YZF-R25」は高速道路を走れますが、原付2種は高速に乗れないので、街乗りだけで馬力を比較しても意味がありません

 なので、スペックに翻弄されるのも虚しい気はしますが、個々のバイクが求められる走行シーンや使い方に対応できる以上の馬力は必要……というのが答えではないでしょうか。