トランプ氏への投票、後悔し始めた若者たち

エリシア・モラレスさんは2024年の大統領選ではトランプ氏に投票したが、現在は同氏を支持する気持ちがかつてないほど弱まっていると言う
イスラエル軍がガザを攻撃する映像が毎週のようにニュース番組やソーシャルメディアを埋め尽くし、ドナルド・トランプ米大統領は我慢の限界に達していた。
「国民はテレビをつけて、あなたがあらゆるものを爆撃しているのを見るのにうんざりしている」。トランプ氏はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との電話会談でこう述べた。「若者はそれが気に入らない」
この非公開発言は昨年、大統領就任1年目のトランプ氏の支持率が若者の間で急落する中で出た。電話会談の内容を知る人物が明らかにした。トランプ氏は2024年の大統領選では18~29歳の得票率で対立候補に肉薄したが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の今月の世論調査によると、この有権者層の約3分の2が現在、外交政策や移民政策を含む大統領の優先事項を支持していない。
インディアナ州の大学3年生エリシア・モラレスさん(21)は、トランプ氏が掲げる「MAGA(米国を再び偉大に)」運動に全面的に賛同していた。彼女は24年、生まれて初めての大統領選でトランプ氏に投票し、すぐに共和党員として実績を積んだ。州内の大学で保守系団体「ターニング・ポイントUSA」の支部副会長や、共和党系学生団体「米国カレッジ・リパブリカン」の州代表全国委員を務めた。
しかし、トランプ政権当局者が投稿した移民強制送還の動画や、ミネソタ州ミネアポリスでのアレックス・プレッティさんの殺害を目にした後、メキシコ移民の孫娘であるモラレスさんは、トランプ氏を支持する気持ちがかつてないほど弱まっていると言う。イスラエルとの関係を含むトランプ氏の外交問題にも不安を感じている。ターニング・ポイントUSAと米国カレッジ・リパブリカンの役職を両方とも辞任した。
「これは私がかつて登録し、所属した政党ではない」と話す。
若い有権者層は、今秋の中間選挙を前にほころびの兆しを見せている、トランプ氏の支持基盤の一角だ。中間選挙は歴史的に、ホワイトハウスを支配する政党には不利であり、今の共和党は議会でかろうじて主導権を握っているに過ぎない。
トランプ氏は若年層との関係の再構築を目指し、経済的懸念に対処しようとしており、機関投資家による一戸建て住宅購入の禁止や、クレジットカードの金利に上限を設ける考えを打ち出した。また、連邦当局に大麻をより危険性の低い薬物として再分類するよう指示した。
2期目で勢いづいたトランプ氏は、積極的な外交姿勢を追求し、移民の強制送還を強化し、ミネアポリスのような都市に移民捜査官を大量に派遣した。こうした決定により、一部の若いトランプ支持者が離れていった。
トランプ氏は24年の大統領選において、30歳未満の有権者の得票率がわずか4ポイント差で対立候補を下回った。その4年前には民主党のジョー・バイデン氏が25ポイント差で勝利しており、若年層の支持が共和党候補に劇的にシフトしたことになる。若い男性に限れば、20年の選挙ではバイデン氏が取り込んでいたが、24年にはトランプ氏が圧倒的な支持を得た。

今月のWSJの世論調査では、30歳未満の有権者の58%がトランプ氏の大統領としての仕事ぶりを支持しないと回答し、40%が支持すると回答した。ほぼ半数が、今年の中間選挙がきょう行われた場合、民主党候補を支持すると回答した。共和党候補の支持は43%だった。選挙分析サイト「クック・ポリティカル・リポート」の世論調査集計によると、他の調査でも同様の結果が出ている。
多くの若い男性から支持されている人気ポッドキャスト司会者のジョー・ローガン氏は最近、ミネアポリスの女性レネ・グッドさんが物議を醸す状況下で移民・税関捜査局(ICE)の捜査官に射殺された事件を非難した。24年にローガン氏の番組にトランプ氏が出演したことは、若い有権者を獲得する上で重要だと見なされていた。

ジャティン・デサンさんは政府機関の閉鎖中に民主党を応援するようになった
ペンシルベニア州フィラデルフィア在住の医学生ジャティン・デサンさん(22)は、民主党が医療保険補助金の延長を試みて失敗し、政府機関の閉鎖を招いた昨年秋、すでにトランプ氏を支持したことを後悔していたと話す。補助金は昨年末に失効した。デサンさんは気がつくと民主党を応援していたという。
「民主党が、政府が対応すべき基本的なニーズのために戦っているのは称賛に値した」
オハイオ州にあるザビエル大学の「カレッジ・リパブリカン」の勧誘責任者メイリー・ルーナさん(21)は、トランプ氏を強く支持していると述べた。一方で、政権の優先事項がこれまでのところ経済よりも強制送還や外交問題のような人気のない問題に焦点を当てており、若者の支持を減らしていることを懸念しているとも話した。「多くの人々は、彼が経済問題に最初に取り組むことを期待していた」

メイリー・ルーナさんは、政権の優先事項が若い有権者の要望と一致していないことを懸念している
WSJが話を聞いた他の若者の間では、トランプ氏就任後の1年は概して不満が多かったが、米国によるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束は支持を高めた。しかし、その後の影響、特に米国がベネズエラに関与し続けることについては懸念の声が聞かれた。デンマーク自治領グリーンランドの所有権取得を巡るトランプ氏の迷走も、米国の同盟国に対する扱い方に不快感を抱く一部の人々をいら立たせた。

18~29歳の有権者層はトランプ氏の対応をどう見るか
「いつも3週間の悪い時期があり、その後に数日間の良い日があるようだ」。ジョージア州モンロー在住のジョージア大学4年生ジョン・カーさん(21)は、トランプ氏の2期目についてこう話した。最近のベネズエラへの攻撃については「今日は彼の良い日のようだ」と述べた。
その2週間後、カーさんは、トランプ氏がグリーンランド取得に関心を持つのは「ばかげた」ことで、米国の最も近い同盟諸国との緊張を不必要にエスカレートさせていると話した。