【裏金問題への言及は?】東京7区ルポ 自民「丸川珠代氏」の“ママ友”が語る「周囲からどんどん人がいなくなる」悔しさ 落選中は「毎朝子どもの弁当作って辻立ち」

1月27日に公示された第51回衆議院議員総選挙(2月8日投開票)に東京7区から出馬する丸川珠代元五輪担当相(55)にとって、今回の選挙は正念場だ。アナウンサー出身で閣僚経験者という華々しいキャリアがありながら、前回の衆院選では落選。政治資金収支報告書に計822万円の不記載が発覚した、いわゆる“裏金問題”で逆風が吹き荒れ、遊説中は「お助けください」と懇願し続けたものの、当選した立憲民主党候補に3万票もの差をつけられ敗れた。あれから1年3カ月。雪辱を果たすべく臨む今回の選挙戦で、丸川氏は何を訴えるのか。現場を取材した。
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選挙戦初日の1月27日、丸川氏は演説で「(外国人が)自分たちの生活のエリアまで入ってきていることに対する不安や戸惑い」と発言し、一部有権者からは排外主義的だと批判を浴びた。序盤から苦しいスタートを切る格好となったが、その反省を踏まえてか、29日の演説では、同氏がライフワークとしてきた厚生労働分野の政策の訴えに多くの時間を割いていた。
「高市早苗総理は今回、財務省の壁を乗り越えて、日本人の命と暮らしを守るために必要な予算はたとえ巨額の予算になっても、絶対に実現しなきゃいけないと。~中略~ ぜひ高市総理と(財務相の)片山さつきさんを支えて、命に関わる薬の国産化を進めていきたいと思います」
印象的だったのは、「高市早苗総理と丸川珠代に貴重な1票を託していただきたい」などと、高い支持率を誇る高市首相の名前を繰り返し挙げていたことだ。27日の演説でも「どの政党が政権を取るかではありません。誰が総理大臣になるかが大事なんです。高市総理以外に日本を支えられる総理はいないと確信している」と絶叫して物議をかもしたが、こちらは方向性を変えるつもりはないようだ。
一方で、前回衆院選で落選の決定打となった“裏金”問題については一切言及がなかった。

■落選直後の丸川氏に食パンを差し入れた「ママ友」
そんな丸川氏の演説にじっと耳を傾けていたのが、富山県から応援に駆けつけたという40代女性だ。なんでも、丸川氏とは「ママ友」だという。女性は、前回衆院選時の丸川氏の様子をこう振り返る。
「選挙戦の途中で、立憲民主党の対抗馬のほうが勢いがあると伝わってきて、途端に陣営全体の士気が下がっていくのを感じました。丸川さん自身は負けてたまるか!という感じでしたが、仲間の政治家や自民党とつながりのある組織関係者など、周囲からどんどん人がいなくなるんです。選挙戦初日には応援ムードで集まっていたのに、あまりの薄情さに腹が立って、私は残って支えなきゃと思いました」
最終的に落選確実と報じられると、涙目で憔悴(しょうすい)した丸川氏の姿を見た女性は、「明日の朝ごはん、絶対用意できていないはず」と思い、食パンを買って同氏の秘書に手渡し、「次(の選挙)もあるから大丈夫って伝えてください」と言づてを頼んだという。
「丸川さんは、不記載だった政治資金は私費には使っていないと説明していて、私もそう信じています。今回の選挙戦も、めげずにすごくいいテンションで臨んでいらっしゃるので、彼女の気持ちが有権者にも通じればいいなと思います」
前回の選挙期間中は街頭でのスケジュールをほとんど公開しなかった丸川氏だが、陣営関係者によると、「今のところ、裏金問題について大声で非難する人はいても、危害を加えてくる人はいない」といい、今回は遊説予定を公開するつもりだという。
丸川氏は1年3カ月にわたる浪人期間中、地元との関係構築に努めてきたようだ。
「現職議員だったころは、子育てや親の介護にも追われるなか、なかなか地元活動にまで手が回らなかった。でも落選してからは、毎朝子どものお弁当を作ってから、一人で旗やスピーカーを担いで辻立ちをしていました。週末には地域のお祭りに出てみこしを担ぐなど、だいぶ“顔の見える”政治家になったと思います」(陣営関係者)

その成果が出ているのだろうか。29日、代々木公園駅近くでの演説を終えた丸川氏は記者に対し、「どこに行っても『頑張りなさい』って言っていただける」と笑顔を見せた。とはいえ、「どなたがどう投票するかはわからない」とし、中道改革連合についても「当然危機感はある。厳しい選挙になると思います」と慎重な姿勢は崩さなかった。
■「特定の誰かがどうとかこうとかは言わないけれども」
そんな丸川氏に前回3万票差をつけて勝利した立憲の松尾明弘氏(51)は、今回は「中道」の候補者として出馬する。自転車に乗って選挙区内を回る体育会系スタイルは変わらず、29日は夜になって雪のちらつく恵比寿駅前に姿を見せた。道行く人と握手しながら、物価高、外交、教育無償化など幅広いテーマで弁舌をふるったが、自民党の裏金問題についてはわずかに触れるにとどめた。
「あえて特定の誰かがどうとかこうとかっていうのは言わないですけれども、私は裏金そのものよりも、これをちゃんと解決できない自民党のあり方に構造的な問題があると思っているんです」
演説後、松尾氏に真意をたずねるとこう返ってきた。
「有権者のみなさんは裏金問題を忘れていないから、私がとりたてて追及する必要はないかなと。丸川さん個人には好きも嫌いもないですし、言及するのであれば自民党の問題として指摘したいと思っています」
では、今回中道から出馬することは追い風なのか向かい風なのか。松尾氏はしばし考え込むと、「どっちでもないかな」と続けた。
「公明党さんの票が上乗せされるのはもちろん心強いですが、中道という党名が世間に浸透していないのは不安要素ですね。立憲民主党も公明党もそれなりに日本社会でブランディングをしてきて、その知名度を全部捨てるっていうのは大きなビハインドですよ」

■「松尾さんが9分9厘当選ですよ」太鼓判のわけは…
実際、松尾氏の演説を聞きに来た人たちも、思いはさまざまなようだ。
創価学会員として公明党を支持してきた中年女性は、今回初めて松尾氏を応援するという。「東大卒の弁護士で、優秀な方という印象は受けました。でも公明党の理念や政策のほうがすごいので、もっと頑張れという感じ」と苦笑いしていた。
立憲支持者だという60代男性は、「自民党の組織力はあなどれない。今日ここにどれくらい公明支持者が来ているかがカギですよね」と、15人ほどの聴衆を見渡した。
そんななか、「松尾さんが9分9厘当選ですよ」と太鼓判を押すのは、不動産会社を経営し、地元事情に精通している60代男性だ。
「地域内で困りごとがあって松尾さんに相談すると、すぐ関係省庁に見解を問いただしてくれた。バレーボールが趣味で体力があるから、辻立ちは年間360日近くやっている。区民のために動いてくれると評判だよ。今回の松尾陣営の様子を見ていると、学会員たちが一致団結して、死に物狂いでサポートしている。当選は間違いないでしょう」
一方の丸川氏については……。
「たしかにいろいろな集まりに出入りはしているけど、ただ顔を売っている印象。元アナウンサーで美人だから、握手して喜ぶおじさんたちは一定数いるけど、地元のための成果をほとんどあげていない以上、人気は広がりません。比例復活するかどうかじゃないかな」
東京7区からは他に、みらい新人の峰島侑也氏、維新新人の渡辺泰之氏、参政新人の石川友梨香氏、国民新人の入江伸子氏が出馬している。
(AERA編集部・大谷百合絵)
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