マツダ CX-80の販売データから探る人気の秘密。「3列シートであること」よりも重視されたCX-80の個性とは

マツダが日本市場においてラージ商品群の第二弾として、フラッグシップとなる3列シートクロスオーバーSUV「CX-80」を発売してから約1年半となる。そこで、実際の販売データを基に、その人気動向などを探ってみたい。

マツダのフラッグシップSUVにふさわしい佇まいと走り

CX-60、CX-90とCX-70(主に北米向け)に続くラージ商品群の第四弾としてマツダが世界初公開したのが、2024年4月のこと。欧州で先行発売されたのち、日本ではラージ商品群の第二弾として同年10月に発売された。

縦置きエンジン+FRレイアウトのプラットフォームを採用するのはCX-60などと共通だが、5m近い堂々たるスタイルに3列シートを備え、日本仕様でも3.3L直6ディーゼルターボ/3.3L直6ディーゼルターボ+モーターのマイルドハイブリッド(MHEV)/2.5L直4ガソリン+モーターのプラグインハイブリッド(PHEV)という3種のパワートレーンを設定。

FRベースらしい伸びやかなプロポーションのCX-80。サイズは大きめだがハンドルは切れて運転しやすい。

今回の撮影のためにディーゼルMHEVに試乗したが、FRベースの4WDゆえ、サイズの割りには小回りが効くので運転しやすい。トルク感たっぷりのディーゼルエンジンをモーターがアシストして、トルコンレス8速ATとの相性も良く、街中でも高速道路でも走り心地が良かった。

インテリアもフラッグシップらしい上質なもので、しかも試乗車の2列目シートはセンターコンソール付きのキャプテンシート(6人乗り)だったので、きわめて快適。3列目の居住性もまずまずで、ポストミニバンとしても十分な性能・機能を持ち合わせた1台だった。

MHVはトルクたっぷりのディーゼルターボをモーターがアシストして、街中でも高速でも乗り味はいい。

そんなCX-80が日本デビューを果たしてから1年半近くになることもあり、マツダから提供された実際の販売データなどを基に、その人気の動向を探ってみることにした。

やはりMHEVを含めたディーゼル車の人気が高い

CX-80が2024年10月に発売されてから2026年2月まで、日本で販売された台数は約1万7000台。なお、2025年の1年間では約9600台。発表時の販売目標台数1400台/月に対して、現在までの平均販売台数は約950台/月だから、マツダとしてはもう少し販売台数を伸ばしたいところだろう。

2026年3月現在、受注から納車までの期間は、工場出荷時期のメドとしてディーゼル車(MHEV含む)で1〜2カ月ほどだという。もっとも、納車が早い完成車在庫仕様というものも用意されているが、在庫にない仕様の場合は納期がもう少し長くなることもあるようだ。なお、PHEVは平均で約4カ月ほど待つことになるという。

大型SUVということもあり、パワートレーンはディーゼルの人気が高い。写真はディーゼル MHEVで、カバーを外して撮影している。

人気グレードのトップ3と比率は、以下のとおりだ(2025年1月〜12月のデータ。以下、同)

1)XD Lパッケージ:約30%

2)XD エクスクルーシブモード:約18%

3)XD ハイブリッド エクスクルーシブスポーツ:約14%

パワートレーンの人気 トップ3も見てみよう。

1)ディーゼルターボ:約64%

2)ディーゼルターボ MHEV:約34%

3)PHEV:約3%

実際に乗れば直4ガソリン+モーターによるPHEVの走りも魅力的なのだが、車両価格や燃費といったイニシャル&ランニングコストを考えると、ディーゼルモデルの人気が高くなることも頷ける話。中でもMHEVの健闘が光っている。

なお、駆動方式別で見ると、2WD(FR)と4WDの比率はおよそ4:6。この手のラージクラスSUVでは圧倒的に4WDが多いのではないかと思われたが、意外と2WDも多い。CX-80でオフロード性能を楽しむよりは、街中にも映えるオシャレなSUVとして使いたいというユーザーが少なくないようだ。

写真のジェットブラックマイカにロジウムホワイトメタリックと、モノトーンのボディカラーが人気を集めている。

人気ボディカラーのトップ3は、以下のようになっている。

1)ジェットブラックマイカ:約21%

2)ロジウムホワイトプレミアムメタリック:約21%

3)アーティザンレッドプレミアムメタリック:約17%

上位2カラーは比率的に同率だが、わずかにジェットブラックマイカのほうが多かった。3位のアーティザンレッドプレミアムメタリックは撮影で試乗したクルマ(タイトル写真)のボディカラーで、深みのある渋い色合いがCX-80のスタイルになかなか似合っていた。

メーカーオプションで人気があったのは

1)パノラマサンルーフ:約29%

2)BOSEサウンドシステム+12スピーカー:約17%

3)セーフティ&シースルービューパッケージ:約5%

3位のセーフティ&シースルービューパッケージとは、360度ビューモニター(シースルービュー機能付き)に高速道路や交差点での安全運転を支援する先進運転支援システムをセットにしたもの。CX-80では推奨オプションのようだが、普及率は今ひとつのようだ。

メーカーオプションでは、パノラマサンルーフの人気が高い。

ユーザーの平均年齢は41歳。男性が9割を占める

スタイリングの良さをはじめ、走りや乗り心地の良さも購入時に重視されているポイントだ。

ここからは、CX-80のユーザー層について探ってみたい。男女比では、男性90:女性10と圧倒的に男性が多い。年代別では30代(26%)、40代(34%)、50代(20%)が中核で、30〜50代で8割を占める。ちなみに、平均年齢は41歳だという。なんとなく、CX-80ユーザーのイメージが見えてくる。

購入時に重視したポイントは、以下のようなものが挙げられた(重複回答あり)。

1)スタイルや外観:76%

2)内装のデザイン:63%

3)室内の広さ:56%

4)3列シートであること:50%

5)乗り心地の良さ:45%

6)動力性能(加速性能、排気量など):44%

マツダらしいエレガンスささを体現する堂々としたエクステリア、リッチで広い空間としたインテリア、そして3列シートと、他社のSUVとはひと味違う「マツダのSUV」を求めているユーザーにCX-80は選ばれているということだろう。

なお、乗り換えで購入した人では、マツダ車からの乗り換えと他社からの乗り換え比率はほぼ半々で、前者がわずかに多いそうだ。

マツダのフラッグシップらしい上質なインテリアのデザインも評価されている。

そして2026年3月19日、マツダはCX-80の魅力をさらに向上させるべく商品改良を行った。その内容は、マツダコネクトの操作性改善や遮音フロントガラスの採用といった機能性の向上、加飾の変更、機種体系の見直しなどがアナウンスされているが、パワースペックなどに変更はない。

●全長×全幅×全高:4990×1890×1710mm

●ホイールベース:3120mm

●車両重量:2120kg

●エンジン:直6 DOHCディーゼルターボ+モーター

●総排気量:3283cc

●最高出力:187kW(254ps)/3750rpm

●最大トルク:550Nm(56.1kgm)/1500-2400rpm

●モーター最高出力:12kW(16.3ps)/900rpm

●モーター最大トルク:153Nm(15.6kgm)/200rpm

●トランスミッション:8速トルコンレスAT

●駆動方式:フロント縦置き4WD

●燃料・タンク容量:軽油・74L

●WLTCモード燃費:19.0km/L

●タイヤサイズ:235/50R20

●車両価格(税込):634万7000円