更年期女性はとくに注意。専門医が教える、コレステロール値を抑える食事対策

「40歳も過ぎれば、コレステロール値が高いことなんてよくあること……」と、軽く考えてはいけない。放置して対策を取らなければ、悪玉(LDL)コレステロールが血管を蝕み、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる突然死のリスク要因になりかねないからだ。専門医が指摘する「コレステロールの正体」と、今日からできる食事対策を正しく理解し、将来の健康を守る一歩を踏み出そう。

話を伺った人... 小倉正恒

順天堂大学医療科学部臨床検査学科教授。防衛医科大学校卒業。海上自衛隊勤務を経て、国立循環器病研究センター研究所病態代謝部 脂質代謝研究室 室長に。2021年千葉大学大学院医学研究院総合医科学講座特任准教授、東千葉メディカルセンター代謝・内分泌内科副部長。2023年4月より現職に。専門は脂質代謝学。

コレステロール値が高い原因とは? 専門医が教える正しい知識と脂質異常症の誤解

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「コレステロール値が高いので、気を付けてください」、健康診断の後、こう言われた経験がある人は少なくないだろう。

コレステロールを含む脂質異常症が専門の順天堂大学医療科学部臨床検査学科の小倉正恒教授は「エビデンスは数多く出ているのに、コレステロールに関する正確な情報が伝わっていなくて残念です」と言う。そもそもコレステロールは、細胞膜やホルモン、胆汁酸などの材料で生きていくうえで必要な脂質だ。肝臓での生成と食事から体内に取りこまれることも多い。

悪玉・善玉コレステロールの違いとは? LDLが高いとどうなる?

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コレステロールといえば、健康診断などで「悪玉コレステロール」と呼ばれる LDLコレステロール(LDL-C)が指摘されることが多いが、その意味を知っている人は少ない。

「腸内細菌の悪玉菌、善玉菌のようなものとはまったく異なります。コレステロールはLDLやHDLという名前の乗り物に乗って血中を運ばれます。LDLは全身にコレステロールを運び、HDLは細胞内の余分なコレステロールを回収するので、HDL-Cは『善玉コレステロール』と呼ばれます。悪玉のLDL-Cが血液中に増えると血管壁にコレステロールが溜まってプラークを作り、血管が細くなる狭心症、動脈が完全に詰まる心筋梗塞や脳梗塞といった病気のリスク要因になるのです」

LDL-Cが高い、HDL-Cが低いという状況は、突然死のリスクを高める可能性があるのだ。中でも女性は閉経前後からLDL-Cが増加する人が多いという。

閉経後にコレステロールが上がるのはなぜ?女性ホルモン「エストロゲン」の減少とLDLの関係

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「女性ホルモンのエストロゲンはコレステロールを運ぶ血中のLDLを肝臓に取り込ませる働きを持っています。閉経でエストロゲンが減少することで取り込みが減り、血中のLDL-Cが増えます。若い女性は男性に比べ心筋梗塞や脳梗塞が少ないですが、閉経後はこういった理由も含めて増加します。

一方、LDL-Cを下げると心疾患や脳疾患の発症を予防できるというデータは多いのです。日本動脈硬化学会など多くの医学会でLDL-Cを適切に下げることを推奨しています」

LDLコレステロール値を下げる食事の正解。肉の脂身や甘い物を控えて心疾患リスクを回避

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しかし抑えると言ってもどうしたらいいのだろうか。

「数値を見て、投薬が必要なのか医師と相談することが必要ですが、皆さんが思っている以上に毎日の食事からコレステロールを取っているんです。卵は栄養価が高くて便利ですが、加工食品にも含まれることが多いので、週に2個ぐらいで十分と私は考えます。

また、肉の脂身や乳製品を減らし、甘いものを和菓子にしてみるだけで数値は変ってきます。完全排除という考え方ではなく、意外と食べている事実を知って、減らすことから始めてみましょう。ただしLDL-Cが180mg/dL以上の人は、家族性高コレステロール血症(FH)の可能性もあるので、家族に同じようにコレステロールが高い人や心疾患の人がいないかを調べて、医師に相談しましょう。安全にLDL-Cを下げる治療法はいろいろあるので、まずは自分の数値を知って正しく対策を取ることが大切です」

From Harper's BAZAAR March 2026

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