まだMTでいける!初老からの「ちょうどいい3ペダル」選びの最適解

21世紀に3ペダル車を選ぶ意味, 軽自動車だってあなどれない, ライトな感覚で扱える3ペダルモデル, スポーツ走行を満喫したい

 ATやCVTなどの自動変速が主流の今、あえてMT(マニュアルトランスミッション)車に乗る意味はあるか? ブレーキとアクセルの踏み間違いも問題になるなかで、初老ドライバーでも運転しやすい“クラッチ付き”モデルに注目してみた!

【画像ギャラリー】初老になっても楽しめるMT車とは?(15枚)

文:長谷川 敦/写真:スズキ、スバル、ホンダ、マツダ、写真AC

21世紀に3ペダル車を選ぶ意味

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MT車のペダル。右手前からアクセル、ブレーキ、クラッチで、奥に見えるのは左足用のフットレストだ。クラッチ操作はアクセルと連動させる必要がある

 現在の日本国内における自動変速(CVTを含んだAT)車の割合は実に98%前後に達するという。

 これはもちろんペダルふたつのAT車のほうが3つのペダルを持つMT車より運転が容易で、ドライバーへの負担も少ないというのが理由になっている。

 実際に一度AT車に乗ってしまうともうMT車には戻れないという人も多い。

 しかし、MT車にもAT車にはない良さがあるのは事実だ。

 まずはシンプルに運転そのものを楽しめることで、必要に応じてクラッチを踏み、シフトレバーを操作するというのは、AT車では味わえない面白さがある。

 そして以前から問題になっているアクセルとブレーキの踏み間違いが起きにくいといった利点もある。

 MT車では左足でクラッチを操作し、この操作を誤るとエンジンは簡単にストップしてしまう。

 そのためには右足との連携が重要になり、単純に右足だけで操作を行うAT車よりペダルの踏み間違いを起こす可能性が低いといわれている。

 とはいえ、初老にさしかかったドライバーにとって純スポーツカーの重いクラッチ操作は負担になり、結局はラクなAT車を選んでしまうといったこともある。

 そこで今回は、初老ドライバーでも気軽に運転できる(できそうな)現行MT車を見ていきたい。

 なお、奈良時代には40歳から「初老」と呼ばれていたが、今回の記事では現代風に60歳以上の人を初老と想定する。

軽自動車だってあなどれない

●ホンダ N-ONE RS/N-VAN

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ホンダ N-ONE RS。N-ONEシリーズのなかで最もスポーツ志向の強いモデルであり、6速MT仕様が用意されているのもこのN-ONE RSのみ

 いまやホンダを代表するモデルとなった軽自動車のNシリーズは、トールワゴンのN-BOXにスポーティなN-ONE、そして商用車のN-VANがラインナップされるが、N-ONEのスポーティグレードのN-ONE RSと、N-VANには6速MT仕様があるのをご存じだろうか?

 実用性を重視した軽自動車にMT設定があるのは珍しいが、そこは利便性と同時に運転する喜びを追求するホンダならではであり、特にN-ONE RSはFFターボと6速MTを組み合わせることによって、パワフルかつ軽快な走りを楽しむことができる。

 そして注目は商用メインのN-VANにも6速MTモデルがあること。

 かつての商用軽自動車では燃費に優れたMTモデルがラインナップされるケースも多かったが、ATやCVTの効率が向上した現在ではMTにそこまでの優位性はなく、N-VANのMTモデルも主に走りを楽しむことに重点が置かれている。

 しかもその6速システムモデルはミッドシップスポーツのS660譲りというのだから驚きだ。

 軽量な車体にエンジンのパワーバンドを生かしきる6速MTのペアは、N-ONE RS、そしてN-VANともに存分にクルマを運転する醍醐味を感じさせてくれる。

ライトな感覚で扱える3ペダルモデル

●マツダ MAZDA2

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MAZDA2。2014年の現行型登場時にはデミオの名称が用いられていたが、2019年のマイナーチェンジの際に、海外で使用されていたMAZDA2に改称された

 かつて日本国内では「デミオ」の車名で呼ばれていたマツダ製のコンパクトカーがMAZDA2。

 初代デミオの登場は1996年で、この時期に不況に陥っていたマツダをデミオの売り上げで救ったことから「マツダの救世主」ともいわれた。

 そのデミオが世界統一名称のMAZDA2になったのは2019年の4代目デミオのマイナーチェンジから。

 もともと実用性の高さで人気を集めていたデミオだが、コンパクトで軽量な車体はスポーツ走行にも向いていて、それゆえに歴代モデルのすべてにMT仕様がラインナップされていた。

 もちろん現行の3代目にもMT車が用意され、しかもスポーツ走行に適した6速だというのが見逃せない。

 現行型MAZDA2には4WDモデルも存在しているが、6速MTが設定されるのはFFのみ。

 6速MTモデルには15 SPORT IIと15 SPORT+の2タイプが用意され、価格も15 SPORT IIが219万2300円と比較的手が届きやすい。

 MAZDA2は決して“尖った”モデルではないが、実用的でありながらMT運転も楽しめるお得なクルマといえる。

スポーツ走行を満喫したい

●スズキ スイフト

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現行型スズキ スイフト。登場は2023年でエンジンを刷新。電動モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドモデルに5速MT車がラインナップされている

 スズキが販売するコンパクトハッチバックのスイフトは、2004年デビューの初代モデルからスポーツ志向の強いモデルとして知られている。

 現行の4代目は2023年に登場したが、基本的な路線は先代から継承し、軽快な走りを信条にしている。

 そんなスイフトには、当然のごとくMTモデルが用意されている。

 ただし現行型でMT仕様がラインナップされるのはマイルドハイブリッドモデルのみであり、ガソリンエンジンモデルにはCVTを組み合わせている。

 スイフトのMTは5速仕様で、マイルドハイブリッドのFFモデル・MXグレードに設定される。

 バッテリーを搭載するマイルドハイブリッドながら920kgという軽量仕上げの車体をMTで操るのは間違いなくスポーツドライビングであり、本格スポーツカーに近い操作感をコンパクトハッチで味わえるのがポイントだ。

 スイフトシリーズには、よりスポーティなスイフトスポーツもラインナップされていたが、こちらにはさらにレーシーな6速MT仕様があった。

 残念ながらスイフトスポーツの生産は2025年に終了しているが、程度の良い個体も中古車市場には多いので、新車でなくても問題ないという人ならスイフトスポーツのMT仕様を探してみるのもアリだ。

 AT車に慣れてしまうと面倒にも感じられるMT車の運転も、実際に運転してみると意外に体が覚えているもの。

 ベテランドライバーであっても運転する喜びを再体験できるMT車は、まだまだ市場で存在感を放っている。