焼け跡の廃墟で生をつないでいた野良猫 餌場を追いやられ、孤独な日々を乗り越えてきた 今は仲間に慕われる“優しいボス”に

突然、姿を現すようになったチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
2024年1月21日、長い放浪生活の末に1匹の猫が保護されました。Instagramユーザー・えみちゃんさん(@kotaginhime)が迎え入れたのは、推定8歳の男の子「チャトラン」くんです。地域猫活動の中で出会ったチャトランくんは、やがて家族、そして仲間たちを導く大切な存在となっていきました。
地域猫活動の中で出会った新入り猫

ご飯を食べに来るようになったチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
町内に野良猫が多く、苦情が増えてきたことをきっかけに、飼い主さんは自治会に掛け合い、2023年3月より地域猫活動に取り組む承諾を得ました。
「私が役員として『地域猫見守り係』を担当させていただくことになり、回覧板を回したり掲示板を使わせていただいたりしながら、町内の方への経過報告としてお便りを出していました。また、町内にいる猫や餌やりさんについても、すべて把握できるよう努めてきました」
同年12月、餌やりさんから新入りのオス猫の存在が知らされます。去勢済みであったことから、町内で見守り、来た際にはご飯を出すという形がとられました。
「顔に傷を作ってやってきたチャトランは、もともと町内の子ではありませんでした。どこかから餌場を追いやられて来た子だと思いました」

飼い主さんが用意したハウスで寝るようになったチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
当初は人の姿を見ると逃げていたチャトランくんでしたが、次第に飼い主さんの帰りを待つようになります。
「カメラで確認できるようにしていたため、チャトランが待っていると思うと、私も急いで帰るようになりました。夜は、寝床として作ったハウスで寝てくれるようになりました」
廃墟での再会、そして保護へ

廃墟に身を潜めていたチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
しかし、複数の地域猫が訪れる環境の中で、チャトランくんは他の猫に追いやられ、姿を見せなくなってしまいます。飼い主さんが探し続けた末に見つけたのは、民家の火事跡の廃墟でした。
「屋根は一部しか残っておらず、『こんな場所にいたのか』と衝撃を受けました」

顔に傷を作り、泣きながら食べるチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
その日から、飼い主さんはチャトランくんにご飯を届けに通うようになりました。
「食べることに夢中になっている時に捕まえようかとも思いましたが、床が抜けそうな場所で怪我をさせたくなかったため、思いとどまりました。食事を終えたチャトランは、火事場の奥へと向かって行きました。『僕はここで暮らすから大丈夫だ』と言っているかのようで、とても辛く感じられました」

火事後の廃墟にいたチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
保護を決意した飼い主さんは、町内の餌やりさんに協力を依頼し、チャトランくんが空腹の状態で自宅を訪れたタイミングで玄関の扉を閉め、無事に保護することができました。
夜鳴きと闘いながら築いた信頼関係

飼い主さんに保護されたチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
保護当初、チャトランくんに攻撃性は見られませんでしたが、3日間ほとんど眠らず鳴き続けました。
「4日目にしてようやく寝ている姿を見ることができましたが、夜鳴きは1か月ほど続きました」

保護後、しばらく落ち着かない状態が続いたチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
動物病院での検査では、推定8歳であることに加え、猫エイズ陽性であることが判明します。さらに、マンソン裂頭条虫という寄生虫にも感染しており、治療のため下痢と嘔吐で3日間苦しみました。
「もしあのまま外にいたら、常に下痢と嘔吐に苦しんでいたと思います」

毛布に包まれて飼い主さんに抱っこされるチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
飼い主さんは、チャトランくんが安心して過ごせるよう、毎晩一緒に眠り、家の環境に慣れる時間を大切にしました。
「この子は何を言いたいのか、何を訴えているのか、どうしてほしいのかをたくさん考えました。ひとりぼっちで餌場を追われ続けてきた子ですので、そばにいる時間をたくさん作りました」
仲間たちに慕われる“ボス”へ

毛づくろいをしあうチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
隔離期間を終えた後、チャトランくんは2階の猫部屋で暮らすことになります。最終的にどのように生活するかは、チャトラン自身に委ねられました。
「チャトランは自分の足で2階の猫部屋まで来て、『部屋に入れて』と言っているかのように行動しました。それ以降、2階の猫たちと一緒に生活するようになりました」
現在、チャトランくんは最年長の存在として、仲間たちを優しく見守っています。
「どの子にも優しいチャトランは、みんなに慕われながら暮らしています」
穏やかな猫生への願い

飼い主さんに寄りかかってくつろぐチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)
現在、チャトランくんは推定10歳になり、寝ている時間が増えてきましたが、穏やかな日々を過ごしています。
「これからの猫生は、穏やかに暮らしてほしいと願っています」
2階の猫部屋には、ふた部屋を行き来できるようにベランダが設けられており、外の景色を眺めながら過ごす姿も見られます。
また、猫エイズキャリアであることについても、獣医師から適切な説明を受けました。
「キャリアの子でも、みんなと同じように生活できます。トイレやご飯の共有も問題ありませんと説明していただきました。現在では威嚇するどころか、全員がチャトランに甘えに行きます。順番にグルーミングしてあげるチャトランと、グルーミングしてもらうために待つみんなの姿に、日々癒されています」
長い放浪生活を経て、ようやく見つけた“ずっとのおうち”。チャトランくんは、これからも仲間たちとともに、穏やかで幸せな日々を紡いでいきます。

ある日、姿を現すようになったチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)

保護後、しばらく夜鳴きが続いたチャトランくん(画像提供:えみちゃんさん)

飼い主さんは毎日チャトランくんと一緒に眠って安心してもらえるよう心を砕きました(画像提供:えみちゃんさん)
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)
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