【60代女性の本音】突然の年齢認定に戸惑い…「おばあちゃん」って呼ぶのはヤメテの巻【植草桂子の気分だけでも大人修行】

【60代女性の本音】突然の年齢認定に戸惑い…「おばあちゃん」って呼ぶのはヤメテの巻【植草桂子の気分だけでも大人修行】
これまでのシニア層とはセンスも価値観も大きく異なるいまの60代。“新しい大人世代”としてどうありたいか、日々修行中のイラストレーター植草桂子さんのエッセイ。
今回は「おばあちゃんって呼ぶのはヤメテ」のお話です。

家の前の公園で遊ぶ子ども達の楽しげな声。学校から帰ってきてすぐに遊びにきたらしい。午後3時かぁ。さてと、犬の散歩に行こうかな。
支度をして玄関を出ると、遊んでいた子ども達がすぐに犬を見つけて「ワンちゃーん!」と駆け寄ってきた。いまどき珍しい年の違う仲良し3人組。いちばん年上の女の子は小学3年生、もうひとりの女の子は小学1年生、いちばん年下の男の子は幼稚園児だと言う。
犬の名前を聞いてきたり、おっかなびっくり触ろうとしたり(フフッ、可愛いやつらだ)。動物に触れるよい機会だと思って、私は犬の撫で方や抱っこの仕方を子ども達に教えようとした。
「ワンちゃんはね、上から急に撫でようとすると打たれるのかと思って、びっくりして嚙んじゃうコもいるから、最初は顎の下あたりをゆっくり撫でてあげて」と言ったところで、いちばん年下の子が「おばあちゃんはだいじょうぶなの?」と聞いてきた。
(ん? おばあちゃん? あっ! えっ? おばあちゃんって私のことか!?)
この呼び名を脳が理解するまで1秒も満たない間だったが、戸惑った私を瞬時に見抜き、いちばん年上の女の子が「飼い主さんは大丈夫なの!」とフォローを入れてきた。偉いぞ!小3。しかし、こんな子どもに気遣ってもらうなんて、イタいわ、私。
確かに園児の祖母なら私より若いはずだ。そりゃあ、仕方ないか。でも実際、孫のいない私にとって面と向かって「おばあちゃん」と呼ばれたのは初めてだったので、ちょっとショックだった。だって、幼稚園児が他人の高齢女性に発する“おばあちゃん”って言葉は、呼び名というより見た目の状態を認識した表現だもの。残酷だわぁ。英語のYouやフランス語のMadameという呼称は、なんてやさしいんだろうとつくづく思った。
おばちゃんはまだいい。でも“おばちゃん”と“おばあちゃん”の呼び名の溝はかなり深いように思う。お願い、その溝をうやむやにするやさしい呼び名を誰か作ってくれないだろうか。
イラスト・文/植草桂子
※素敵なあの人2026年6月号「植草桂子の気分だけでも大人修行 vol.32」より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
この記事を書いた人 植草桂子さん

主に暮らしまわりのイラストエッセイを女性向けに展開。近茶流で日本料理を10年習った経験から、最近では茶懐石や食のイベントも手がけている。ライフワークとして介助犬育成のボランティアとしても活動。
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