70歳代の貯蓄額、平均は2416万円…でも「ふつう」はいくら?年金や生活費のリアルな実態を解説
二人以上世帯の平均貯蓄額や中央値、年金の平均月額、1カ月の生活費から老後の家計収支の赤字額まで

70歳代の貯蓄額、平均は2416万円……でも「ふつう」はいくら?年金や生活費のリアルな実態を解説
帝国データバンクが5月29日に発表した最新調査(2026年6月)によると、中東情勢の悪化などを背景に飲食料品の値上げラッシュが再燃しており、年間の値上げ品目数は5年連続で1万品目を突破する見通しとなっています。
このように長引く深刻な物価高は、日々の食費を直撃するだけでなく、私たちが将来に向けて準備してきた「老後資金」の価値を実質的に目減りさせるという形で、家計に重い負担を与え続けています。
なかでも、限られた年金収入やこれまでの蓄えを原資として生活していくシニア世代にとって、想定を超えるペースで進むインフレは、これからのライフプランを揺るがしかねない切実な問題です。
特に70歳代を迎えると、老後の生活設計についてより現実的に考える方が多いかもしれません。
「周りの同世代はどれくらい貯蓄があるのだろう」「今の年金額でこの先も暮らしていけるのか」といった疑問や不安を感じることもあるでしょう。
この記事では、70歳代・二人以上世帯の平均的な貯蓄額や年金の受給額、そして日々の生活費といったリアルなデータを基に、現代シニアの家計事情を詳しく解説します。
平均値だけでなく、より実態に近いとされる中央値も確認しながら、ご自身の状況と照らし合わせて、今後のライフプランを考えるきっかけにしてみてください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
70歳代・二人暮らしの貯蓄額、平均と中央値の実態
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとに、「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額」について見ていきましょう。
この調査には、金融資産を保有していない世帯も含まれています。
※金融資産保有額は、預貯金の他に株式、投資信託、生命保険などを含みます。ただし、日常的に使う普通預金の残高は対象外です。

70歳代の貯蓄額(二人以上世帯)
「70歳代・二人以上世帯」における金融資産の平均保有額は2416万円でした。
もっとも、この平均値は一部の富裕層によって大きく引き上げられている可能性があります。
より実態に近いとされる中央値は1178万円となっており、こちらの方が実感に近い数字かもしれません。
世帯ごとの詳しい貯蓄額の分布は以下の通りです。
・金融資産非保有:10.9%
・100万円未満:4.5%
・100~200万円未満:5.1%
・200~300万円未満:3.7%
・300~400万円未満:3.9%
・400~500万円未満:2.9%
・500~700万円未満:6.4%
・700~1000万円未満:6.7%
・1000~1500万円未満:11.1%
・1500~2000万円未満:6.7%
・2000~3000万円未満:12.3%
・3000万円以上:25.2%
・無回答:0.6%
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、貯蓄が全くない「貯蓄0円」の世帯が10.9%を占める一方で、3000万円以上の資産を持つ世帯が25.2%に上ります。
このデータから、70歳代の二人以上世帯では、資産状況に大きな開きがあることがうかがえます。
また、貯蓄額が300万円未満の世帯も合計で13.3%存在します。
その一方で、1000万円以上の資産を持つ世帯も多く、老後の経済状況は一様ではないことがわかります。
老後の貯蓄額は、現役時代の収入や退職金の有無、健康状態など、さまざまな要因に影響されます。
公的年金の受給額も、働き方や加入期間によって個人差が生じます。
もし貯蓄が心もとない場合、年金収入だけで生活を維持するのは容易ではないかもしれません。
安心して老後を過ごすためには、それぞれの世帯の状況に合わせた生活設計が不可欠です。
健康なうちは短時間でも働く、あるいは不動産や投資からの収入を得るなど、早めに対策を講じることが将来の安心につながるでしょう。
厚生年金の受給額は月平均いくら?男女差と分布を解説
次に、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金の平均受給月額について確認します。

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
厚生年金の被保険者は第1号から第4号までありますが、ここでは主に民間企業に勤務していた方が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の月額を紹介します。
※この記事で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には、国民年金(老齢基礎年金)の金額も含まれています。
厚生年金の平均受給月額
・〈全体〉平均年金月額:15万289円
・〈男性〉平均年金月額:16万9967円
・〈女性〉平均年金月額:11万1413円
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金全体の平均月額は15万289円です。
男女別に見ると、男性が約17万円であるのに対し、女性は約11万円と、5万円以上の差が見られます。
受給額の階級別に見る人数の分布
・~1万円:4万3399人
・1万円以上~2万円未満:1万4137人
・2万円以上~3万円未満:3万5397人
・3万円以上~4万円未満:6万8210人
・4万円以上~5万円未満:7万6692人
・5万円以上~6万円未満:10万8447人
・6万円以上~7万円未満:31万5106人
・7万円以上~8万円未満:57万8950人
・8万円以上~9万円未満:80万2179人
・9万円以上~10万円未満:101万1457人
・10万円以上~11万円未満:111万2828人
・11万円以上~12万円未満:107万1485人
・12万円以上~13万円未満:97万9155人
・13万円以上~14万円未満:92万3506人
・14万円以上~15万円未満:92万9264人
・15万円以上~16万円未満:96万5035人
・16万円以上~17万円未満:100万1322人
・17万円以上~18万円未満:103万1951人
・18万円以上~19万円未満:102万6888人
・19万円以上~20万円未満:96万2615人
・20万円以上~21万円未満:85万3591人
・21万円以上~22万円未満:70万4633人
・22万円以上~23万円未満:52万3958人
・23万円以上~24万円未満:35万4人
・24万円以上~25万円未満:23万211人
・25万円以上~26万円未満:15万796人
・26万円以上~27万円未満:9万4667人
・27万円以上~28万円未満:5万5083人
・28万円以上~29万円未満:3万289人
・29万円以上~30万円未満:1万5158人
・30万円以上~:1万9283人
月額階級別の受給権者数を見ると、最も人数が多いボリュームゾーンは「10万円以上~11万円未満」の層で、111万2828人となっています。
国民年金の受給額は月平均いくら?受給者数のボリュームゾーンは?
次に、厚生年金の加入期間がない方などが受け取る国民年金(老齢基礎年金)の月額について見ていきましょう。

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
国民年金の平均受給月額
・〈全体〉平均年金月額:5万9310円
・〈男性〉平均年金月額:6万1595円
・〈女性〉平均年金月額:5万7582円
受給額の階級別に見る人数の分布
・1万円未満:5万1828人
・1万円以上~2万円未満:21万3583人
・2万円以上~3万円未満:68万4559人
・3万円以上~4万円未満:206万1539人
・4万円以上~5万円未満:388万83人
・5万円以上~6万円未満:641万228人
・6万円以上~7万円未満:1715万5059人
・7万円以上~:299万7738人
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の受給額で最も人数が多いボリュームゾーンは「6万円以上7万円未満」で、受給権者全体の約半数を占めています。
一方で、月額5万円未満の層を合計すると全体の約21%に達します。
また、月額7万円以上を受け取っている人は約300万人で、全体の約9%です。
このように、国民年金の受給額は満額に近い層が中心ではあるものの、保険料の納付状況や加入期間に応じて、その金額は幅広く分布していることがわかります。
65歳以上の無職夫婦世帯における老後の生活費
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」を参考に、「65歳以上の夫婦のみで構成される無職世帯」の標準的な家計収支を見ていきます。

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
収入の内訳:月額25万4395円
■うち社会保障給付(主に年金):22万8614円
支出の内訳:月額29万6829円
■うち消費支出:26万3979円
・食料:7万8964円
・住居:1万7739円
・光熱・水道:2万3540円
・家具・家事用品:1万1237円
・被服及び履物:5354円
・保健医療:1万7941円
・交通・通信:3万1325円
・教育:0円
・教養娯楽:2万6538円
・その他の消費支出:5万1341円
■うち非消費支出:3万2850円
・直接税:1万2547円
・社会保険料:2万296円
家計収支の状況:毎月の赤字額は?
・ひと月の赤字:4万2434円
・エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.9%
・平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):119.2%
このモデル世帯の毎月の収入は25万4395円で、その大半を公的年金などの社会保障給付が占めています。
それに対して、支出の合計は毎月29万6829円です。
内訳を見ると、食費や光熱費といった生活に直接かかる消費支出が26万3979円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万2850円となっています。
結果として、毎月の家計は4万2434円の赤字となり、この不足分は貯蓄などから補填する必要があります。
年間に換算すると、約51万円を取り崩している計算になります。
シニア世代は現役時代のように安定した収入を得る機会が限られるため、このような慢性的な赤字は、長期的に見ると貯蓄を大きく減らす要因になりかねません。
現在の貯蓄額を把握した上で家計収支を見直したり、健康状態に応じて短時間の仕事を検討したりするなど、できる範囲で対策を立てることが、老後の暮らしを安定させる鍵となるでしょう。
公的年金のみで生活する高齢者世帯の割合は?
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯の収入の実態について見ていきましょう。
※高齢者世帯:65歳以上の人のみで構成されるか、またはこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯を指します。
まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めています。
次いで、仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%と続きます。
ただし、これはあくまで全体の平均値です。
「公的年金・恩給を受給している世帯」に限定して見ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%にものぼることがわかっています。
総所得に占める公的年金・恩給の割合別の世帯数

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
このように、シニア世代全体で見れば就労による収入なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その半数近くが公的年金収入のみに頼って生活している実態が浮き彫りになります。
まとめ
この記事では、70歳代の二人以上世帯における貯蓄額、年金の平均受給額、そして日々の生活費について、公的なデータを基に解説しました。
貯蓄額の中央値が1178万円である一方、貯蓄ゼロの世帯も約1割存在するなど、経済状況には大きなばらつきがあることがわかります。
また、年金収入だけでは毎月赤字になる世帯も少なくなく、その不足分を貯蓄で補っているのが現状です。
紹介したデータはあくまで平均的な姿であり、ご自身の状況とは異なるかもしれません。
大切なのは、これらの数値を一つの目安として、ご自身の家計を客観的に見つめ直すことです。
まずは家計簿などで収支を把握し、無駄な出費がないか確認してみてはいかがでしょうか。
健康を維持しながら、無理のない範囲で楽しみを見つけることも、豊かな老後を送るうえで重要な要素です。
参考資料
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
・帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年6月
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