【戦後80年】福岡大空襲で母を失った男性 怒りをたぎらせ米兵の処刑の執行役に「また同じような状況になったら」カメラの前で語った思い

戦後80年となることし、「いま伝えたい、私の戦争」と題して、いまを戦前にさせないための“メッセージ”を届けます。福岡大空襲をきっかけに、捕虜となっていたアメリカ兵4人を処刑する「執行役」に志願した男性がいます。男性は当時の情景と思いを生前、カメラの前で語っていました。

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■冬至克也さん(71)

「この中に保管しています。これは父と母に関するアルバムです。」

福岡市の冬至克也さん(71)。父が残したアルバムや日記を大切に保管しています。

克也さんの父・冬至堅太郎さんは1938年、東京商科大学、現在の一橋大学を卒業した後、陸軍に入りました。

焼き尽くされた福博の街

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福岡市に司令部を置く西部軍に所属していた1945年6月19日。午後11時すぎから福岡市の中心部にアメリカ軍のB29爆撃機が次々に襲来し、無数の焼夷弾(しょういだん)が落とされました。一夜で街は焼き尽くされ、死者は902人、行方不明者は244人に上ったとされています。

空襲警報が鳴ると、堅太郎さんは司令部に向かう一方、堅太郎さんの父・又三郎さんと母・ウタさんは。

空襲で母を失い…

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■堅太郎さんの息子・克也さん(71)

「2人で逃げたけれども、途中でバラバラになってしまって。翌日、父(堅太郎さん)が捜しに行って、(堅太郎さんの)父親はいたけれども、母親がいないと。ずっと捜していたら、今の博多小学校で遺体を発見した。」

遺体で見つかったウタさん。煙による窒息死だったといいます。

堅太郎さんが悲しみに暮れながら司令部に戻ると、捕虜となっていたアメリカ兵の処刑が行われようとしていました。「我こそは」そんな思いが込み上げ、堅太郎さんは処刑の執行役に志願しました。

処刑の執行役に志願

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■堅太郎さんの息子・克也さん(71)

「(堅太郎さんは)母親を空襲で失って、処刑をするのであれば『処刑を執行するのに値する人間だ』と思って志願した。」

堅太郎さんは上官に命じられるがまま、4人のアメリカ兵の首に向かって刀を振り下ろしました。

敗戦後の1946年8月、巣鴨プリズンに収監された堅太郎さんは、戦勝国からBC級戦犯として扱われ、死刑判決を言い渡されました。

巣鴨プリズンでつづった日記

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堅太郎さんが巣鴨プリズンでつづったおよそ3000ページの日記。戦犯とされることへのやるせない胸の内や、諦めに似た感情を刻み込んでいました。

■堅太郎さんの日記より

「戦争犯罪人は戦争の勇士に比べて、遙かに深刻な『死』の苦痛を味わわされるのだ」

判決の2年後、死刑が終身刑に減刑されました。朝鮮戦争の勃発など、日米を取り巻く環境が変化したからです。

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その後、釈放された堅太郎さんは、自宅の庭に4体の地蔵を置き、自ら手をかけたアメリカ兵たちを慰霊しました。収監中の日記には、処刑を行ったことを妻の安余さんに告白した日を振り返る一節があります。

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■堅太郎さんの日記より

「妻は『その飛行士たちには奥さんや子どもがあったでしょう』と言った。僕は言葉がなかった。しかし『これが戦争というものだ』と思った」

生前にカメラの前で語ったこと

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福岡大空襲から80年となった、ことし6月19日の翌日。福岡市城南区の油山観音で、処刑された捕虜などを慰霊する法要が行われました。堅太郎さんの息子の克也さんや在日アメリカ軍の関係者も参列しました。

ともに平和への祈りを捧げた4体の地蔵は、堅太郎さんが生前、自宅に置いていたものです。

■克也さん

「戦争なしに、この関係を作ることはできなかったのか。我が国でも、あの戦争が何だったのか、なぜ起こったのか、なぜ終わらなかったのかということを国として検証すべきではないかと思います。」

我を忘れ、アメリカ兵に刀を振り下ろした堅太郎さん。亡くなる2年前、あの日の情景を自らの口で語る映像がFBSに残っていました。

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■克也さんの父・冬至堅太郎さん

「兵舎を壊した廃材がありましたから。それで母の棺桶(かんおけ)を作っている最中に、ちょうど処刑事件にぶつかったんです。その時になって急にムラムラと、何て言いますか、『敵(かたき)を討ちたい』という気持ちになりまして。」

堅太郎さんが自らの行いに向き合い、後世に残した教訓は。

■堅太郎さん

「私が怖いのはね、また戦争になり、戦争に駆り出されて、同じような状況になったら、またやりかねないということです。人間の弱さです。環境によって精神状態がいろいろ変わる。よほどそれに耐えて、自分自身を守れるように、自分を強くしないとならない。」

※FBS福岡放送めんたいワイド2025年6月27日午後5時すぎ放送

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FBSでは福岡大空襲をテーマにドキュメンタリー番組を制作しました。私たちの街で80年前に起きた出来事を、被害と加害の両面からたどります。目撃者f「焼け焦げた街で」は、6月29日(日)深夜26時20分放送です。