東京で「一番混む地下鉄」は?鉄道混雑ランキング

ワースト1位はあの新交通システム, 利用者が前年度より増えたのは?, 輸送力が減ったのはどこ?, 「地下鉄の混雑路線」どう変わったか, 「混雑悪化」のペースは鈍化

朝ラッシュ時の輸送人員がコロナ禍前より増えた地下鉄日比谷線を走る電車。東京メトロの13000系(右)と東武鉄道の70000系(撮影:尾形文繁)

数年前、通勤電車がガラガラだった時期があったとは信じられないほど「満員電車の日常」が戻った大都市圏。その実態を反映するのが、鉄道の混雑率のデータだ。

【ランキングを見る】国土交通省が7月29日発表した2024年度の都市鉄道の混雑率調査結果。その公表データを基に独自集計してみると意外な事実が見えてきた。まずは「ワーストランキング」から

国土交通省は7月29日、2024年度の都市鉄道の混雑率調査結果を公表した。コロナ禍で首都圏など大都市圏の通勤客が激減した時期は、相対的に利用者数の変化が少なかった地方都市の路線が上位となる「異変」があった。今回の公表データを基に集計すると、10位以内に入った13区間(1位~9位タイ)は1路線を除きすべて首都圏の路線で、都市部の通勤利用の「回復」が進んだことが明らかだ。

ワースト1位はあの新交通システム

混雑率は、ラッシュピーク時の1時間に最も混雑する区間を通る列車の輸送力(車両編成数×本数)と輸送人員(乗客数)に基づいて算出される。国交省が今回公表したのは、JR、私鉄、地下鉄など全国の鉄道各線のうち236区間だ(同じ路線で複数区間を計測している場合もあるため、路線数は異なる)。

【独自集計のランキングを見る】混雑率ワースト1位は5年連続のあの路線、2位には首都圏以外の路線がランクイン。輸送人員が増えた区間や輸送力が減った区間、コロナ前と比較した東京の地下鉄や首都圏私鉄のランキングも

混雑率が100%以上、つまり列車の定員を上回っているのは236区間のうち147区間で、2023年度と比べて4区間増えた。

データを集計すると、ワースト1位は東京都営の新交通システム、日暮里・舎人ライナーの赤土小学校前→西日暮里間で177%。同線の1位は5年連続で、2023年度と比較して6ポイント悪化した。ゴムタイヤ式の小型車両5両編成で輸送力が小さく、すでに増発も限界に達しているため混雑緩和が難しい路線だ。

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5年連続で混雑率全国ワースト1位となった日暮里・舎人ライナー(記者撮影)

2位もワースト上位の常連となっている西日本鉄道貝塚線の名島→貝塚間で164%。首都圏の路線以外では唯一10位以内にランクインした。

同線は福岡の郊外電車で、車両が2両編成のため輸送力が小さい。混雑について関係者は、「沿線の再開発が進み住宅が増えたことや、貝塚線の駅までバスなどでアクセスできる福岡アイランドシティ(博多湾の人工島)にタワーマンションが建つなどの人口増加」を要因に挙げる。

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福岡郊外を走る西鉄貝塚線(記者撮影)

利用者が前年度より増えたのは?

3位はJR埼京線の板橋→池袋間と東京メトロ日比谷線の三ノ輪→入谷間が同率の163%。5位はJR中央線快速の中野→新宿間で161%だった。

以下、6位はJR京浜東北線の川口→赤羽間で156%、7位は都営地下鉄大江戸線の中井→東中野間で155%、8位はJR東海道本線の川崎→品川間で154%。

9位はJR京浜東北線の大井町→品川間、JR総武線快速の新小岩→錦糸町間、JR南武線の武蔵中原→武蔵小杉間、湘南モノレールの富士見町→大船間、JR武蔵野線の東浦和→南浦和間が153%で並んだ。

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2024年度鉄道混雑率ランキング ワースト10

【ランキングをもっと見る】9位以下はどんな路線が?混雑率100%以上の147区間を全部見る

混雑率が150%を上回ったのは、全236区間中の17区間。国交省の目安によると、150%は「肩が触れ合わない程度。 ドア付近の人が多くなる」という状態だ。

混雑率が上昇する要因の1つは、当然ながら利用者数の増加だ。2023年度と比較してラッシュ時1時間当たりの輸送人員が1000人以上増えた区間は236区間中29区間あり、最多は東京メトロ銀座線の赤坂見附→溜池山王間で7771人の増加だ。ただ、同線については「2023年度に列車混雑計測システムを導入し、2024年度に精度向上」したといい、その影響もありそうだ。

次いで増えたのは京王線の下高井戸→明大前間が5664人、京成本線の大神宮下→京成船橋間が3440人。いずれも電車数本分に相当する人数が増えたことになる。

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2024年度鉄道混雑 輸送人員増加トップ10

【図表】輸送人員が1000人以上増えた区間を全部見る

輸送力が減ったのはどこ?

もう1つの要因は、列車の本数や車両数が減ったことによる輸送力の減少だ。2023年度比で最も減ったのは名古屋市営地下鉄鶴舞線。電車の本数が2本削減されて輸送力は約1700人分減った。調査区間が2024年度は川名→御器所間、2023年度は塩釜口→八事間と異なるため単純比較はできないが、輸送人員も約800人減っている。

次いで減ったのは山手線外回りで、1本の削減で輸送力が約1600人分減った。一方、こちらは上野→御徒町間の輸送人員が約400人とわずかながら増えており、混雑率も125%から134%に悪化している。

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2024年鉄道混雑率 輸送力が減った5区間

【図表】輸送力が500人分以上減った区間は全部で11区間。どんな路線?

コロナ禍前の2019年度と比較すると、上位10位以内に入る首都圏のJR線はほぼ同じ顔ぶれで、もともと利用者数の多かった路線の通勤需要が戻ってきたといえる。だが、都内の地下鉄路線は様相が異なる。以前は混雑率ワーストの常連だった東京メトロ東西線をはじめ、都内の地下鉄路線の混雑ランキングは大きく変化した。

2019年度、東京メトロと都営地下鉄を合わせた都内の地下鉄で最も混雑が激しかったのは東京メトロ東西線の木場→門前仲町間で199%。次いで2位は東京メトロ千代田線の町屋→西日暮里間、3位は東京メトロ半蔵門線の渋谷→表参道間だった。

「地下鉄の混雑路線」どう変わったか

一方、2024年度の1位は東京メトロ日比谷線・三ノ輪→入谷間の163%。2019年度には11位だった路線・区間だ。次いで2位は都営地下鉄大江戸線の中井→東中野間、3位は東京メトロ南北線の駒込→本駒込間だった。

2019年度に1位だった東西線の木場→門前仲町間は4位、2位だった千代田線は6位。3位だった半蔵門線は都内の地下鉄13路線15区間(東西線と丸ノ内線は調査対象が2区間あるため)中15位で、最も混雑率が低い路線・区間となった。

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都内地下鉄混雑ランキング 2024年度と2019年度の比較

日比谷線や南北線は2019年度と比べてラッシュ時1時間当たりの輸送人員が2000人以上増えており、これが混雑率の上昇につながった。一方で、半蔵門線の輸送人員は約2万3000人も減少。相互直通運転する東急田園都市線もラッシュ時の輸送人員が約2万人減っており、その影響が大きそうだ。東西線の木場→門前仲町間も約1万5000人、千代田線も約1万3000人減少した。

東京メトロはこれまで東西線の輸送力増強やオフピーク通勤の呼びかけなどを行ってきたが、今年7月からは日比谷線のオフピーク利用を呼びかけるキャンペーンを開始した。かつての東西線のような200%近い混雑からは遠いとはいえ、新たな「混む地下鉄」の代名詞は日比谷線になりそうだ。

首都圏の大手私鉄も、コロナ禍前と比べると混雑率上位路線の顔ぶれは変わっている。大手私鉄各社と、今年合併によって「京成松戸線」となった新京成電鉄、混雑率上位常連だったつくばエクスプレスの計26区間を比較すると、その変化は明らかだ。

以前は田園都市線をはじめとする東急電鉄の各線が上位を占めていたが、2024年度の1位は小田急線。輸送人員は首都圏の大手私鉄各線の中で唯一7万人を超えており、利用者数そのものが圧倒的に多い。一方で混雑率は146%に抑えられており、2018年に完成した複々線化の効果は大きいといえそうだ。

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2024年度鉄道混雑率 首都圏私鉄ワースト10

【図】首都圏の混雑ランキング私鉄編・全26区間を見る

混雑率146%で小田急線と並ぶのはつくばエクスプレス。同線の青井→北千住間の輸送人員は3万353人で、2019年度の3万1324人とほぼ同水準まで利用が戻っている。同線は増発によって2019年度よりも輸送力が増えたため、以前と比べて混雑率は改善されているが、さらなる輸送力増強に向けて車両編成を現在の6両から8両に増やすためのホーム延伸工事などを進めている。

「混雑悪化」のペースは鈍化

再び当たり前となってきた通勤電車の混雑。ただ、3大都市圏主要路線の平均混雑率は、東京圏が2023年度比で3ポイント増の139%、名古屋圏が3ポイント増の126%、大阪圏が1ポイント増の116%と小幅の増加にとどまった。混雑悪化のペースは鈍化している。

2022年度から2023年度にかけては東京圏が13ポイント増など大幅に上昇していたことを踏まえると、通勤需要の回復はほぼ落ち着いたといえそうだ。今後の混雑対策についての議論は、現在のラッシュの状況をベースに輸送力の増強やオフピーク通勤など各種の対策をどう充実させていくかが焦点になるだろう。

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2024年度鉄道混雑率ランキング 1位~34位

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2024年度鉄道混雑率ランキング 41位~70位

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2024年度鉄道混雑率ランキング 76~112位

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2024年度鉄道混雑率ランキング 115位~145位