父親になったら「命の危険がある趣味はいったん休め」の論争に「残された家族」の切実な思い…「必ず生きて帰って」

8歳の時、父は「趣味」の事故で死んだ…(Maki_Japan/stock.adobe.com)※画像はAIで生成されたイメージです
妻のお腹に「新たな命」が宿ったら、父親になる男性は「命の危険」があるような「趣味」はいったん休むべき、という投稿がX(旧Twitter)上で大きな話題になった。
「オフロードバイク、マリンスポーツは降りました」「禁煙した」といった多くの賛同の声が寄せられた一方で、「”交通事故”とかで死ぬ確率の方が高いだろ」「親になった男は家族の犠牲になるのか?」といった反発の声も多くあがった。
そんな中、「趣味」の事故で父を失ったタイラー(@buncho_honey)さんが「残された家族」としての思いをXにポスト。
投稿は930万以上表示され、8万以上のいいねがついた。
「趣味」は人生を豊かにする…でも、死ぬなよ
「私の父は、私が8歳、妹6歳、弟1歳の時にスキューバダイビングの事故で死んだんだけど、今でも『趣味を優先した結果、私らを残して悲しませそれなりの苦労をさせたクソ親父』と思ってる。生きてたらどんなに心強かっただろうか。いろんなこと一緒にしたかった。きっと楽しかっただろうな。趣味はいいけど死ぬなよ」
<タイラーさんのXの投稿より>
タイラーさんは続けて、「もう40年ぐらい前のことで、私も大人過ぎる歳になり強くたくましく育ちまして」と、投稿。
「ただ今でも、『生きてたら』って家族で話すんですよ。父の名誉のため補足すると、私の8歳までは楽しいことをたくさん一緒にした記憶が多く、その思い出を47歳になる今でも繰り返し擦りまくって回想してるので、趣味だけに生きて子どもをないがしろにした人ではないです(たぶん)」

「父は、私と一緒にダイビングするつもりだったんだと思います」と投稿していたタイラーさん
愛すべきクソ親父、あなたも生きていたかったよね
「母は彼氏も作らず、70歳になった今でも写真を飾り父一筋を貫き、私ら子どもたちは『クソ親父』と言いながらも、昨日まで生きてた人のように話題に出ます。事故は不運だっただけだとはわかってます」
「ただ、生きててほしかったなと思うのです。父も生きたかっただろうなと思うのです。父との最後の思い出は、ダイビングショップに連れて行かれ採寸され、私のダイビングスーツを作ったことで。一緒にダイビングするつもりだったんだと思います。母は激昂してましたが」
「父が亡くなった後、私は不眠症になり、妹は頭が禿げ、弟は父親の顔も知らずに育ったので、父親が急にいなくなるダメージは子どもにとって大き過ぎることだと思ってます。私の投稿を不快に思った方もいるかと思います。ごめんなさい。車も飛行機もバイクも釣りもマリンスポーツも登山も、なんでも危ないと言えば人生の彩りがなくなるのは確か。だから正解はわからない」
「母は、『何度言っても、隠れてでも海に行く人だったからね。運命だろうね。馬鹿な男よ笑』と言います。私たち家族にとっては愛すべき馬鹿なクソ親父です。そして私たちも愛されてました。世の父母。どうか長生きしてください。石橋を叩いて安全第一に気をつけて」
<タイラーさんのXの投稿より>

「何度言っても海に行く人だったからね」と、タイラーさんのお母さんはおっしゃっていたそう
人生を楽しんでいた父。「今でも会いたいです」
自身の経験を投稿した理由について、「我が家の不幸話でも、趣味をやめろとか人生を捨てろって話でもなく、単純に、何がなんでも生きて帰ってきてほしかった。ただその思いだけです」と、タイラーさん。
「8歳の私は現実をうまく理解できず、毎日父が帰ってくる夢を見ては飛び起きて父を探して、本当に死んでしまったんだと現実を知り落胆する日が続いて悲しかったですし、ただただ帰ってきてほしかった……。
親であろうが、好きなことをして人生を楽しく生きることは素敵なことだと思います。それこそ人生だと思います。うちの父も人生を楽しんでたと思います。少ない記憶の中の父は、私たち家族をとても大事にしてました。父が大好きでした。もっといろんなことを一緒にしたかった。もっと一緒にいたかった。今でもずっと父に会いたいです。うまく言えませんが……趣味を楽しんでも、必ず帰って!必ず!って思います」(タイラーさん)
タイラーさんの投稿に対して、たくさんの共感の声や経験談の他、残されてしまった家族側の悲痛な胸の内も多く寄せられた。

タイラーさんのX(旧Twitter)のポスト
趣味で「命を落とす」ケースは多い
【タイラーさんの投稿に寄せられた、共感の声や残された家族の思いの数々】
「釣りも結構、死んでる。小ボートとかテトラとかですぐに死ぬ」
「うちも単独で山で死にました。趣味に打ち込むとか山を愛するとか男としてカッコよかったとか、そんなのこちとら知ったこっちゃないです」
「子どもにとっちゃ一生の傷よな。自分よりも優先されたって思いがあるんじゃないかな。残念だ」
「だんじりで亡くなった男性の葬式で、祭りの太鼓で送り出される中、奥さんと小さい子が泣いてるの見てめちゃつらかった」
「うちの父もトライアスロンの練習中にバイクにはねられました。当時、私1歳半、兄5歳。母の苦労は相当だったと思います。父のイメージは『趣味を優先した残念な父親』でしかないです」
「子どもが産まれても何一つ変わらず趣味や嗜好を貫くことを、『自分を貫いてカッコいい』みたいに表現する人(メディアも)をたくさん見てきた。ほら見ろ、世の中には父や母を亡くして哀しみ、途方に暮れる子どもらであふれてんだぞ」
頼むから「長生き」してくれよ
「子どもの頃、家にヒレやボンベがあって、これ何?と聞いたら、昔父がアクアラングやってたからだと。子どもができて母がやめてって頼んで以来やってないと」
「うちの夫は記憶なくなるくらい飲んではとんでもないところで寝る人で、家族を何だと思っているのか、といつも思う」
「私の両親は子どもが生まれてからは、バイクの趣味(両親ともに大型免許持ち)はあきらめてた。それどころか、子どもが夜熱を出したら夜間病院に連れていく可能性があるからって、お酒もやめたよ。当たり前とは思わないけど、家族の愛ってそういうもんじゃね?」
「うちの父はバイク好きで、若い頃はヤマハのかっこいいのに乗ってたらしいけど、兄と私が生まれてからは乗るのをやめたらしく、たまに週末に車庫にいる愛車くんをピカピカに磨いてた。座らせてもらったりしたけど、走ってるのを見たことはない。とても良い父だと思ってる」
「うちの親父は65歳の今でこそパラグライダーもスキューバーも登山もするけど、俺が生まれる前までダイビングやパラをやってたの、高校生になるまで知らんかった。俺が成人するまで我慢してくれてたんやなー。頼むから長生きしてくれよって思う」
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ リュウ)