【桜至郎の競馬こばなし 縦〝桜〟無尽】シリーズ『〝名馬の背中〟を知る』 第3回・ナカヤマフェスタの堀内岳志調教厩務員(現調教師)「走ったらすごかった。バネとスピードがありました」

2010年宝塚記念を制したナカヤマフェスタ

いよいよ今週10月5日、凱旋門賞(パリロンシャン、GⅠ、芝2400メートル)が行われます。日本からはアロヒアリイ、クロワデュノール、ビザンチンドリームの3頭が出走予定。3頭ともフランスで前哨戦を勝っての参戦で、今年こそ日本馬の悲願達成に向けてかなり期待が持てそうです。

シリーズ『〝名馬の背中〟を知る』の第3回として、2010年の凱旋門賞で日本馬最高着順となる2着に入ったナカヤマフェスタを担当していた堀内岳志調教師(当時、二ノ宮敬宇厩舎で調教厩務員)に話を聞いてきました。

「(背中の感触としては)バネとスピードがありました。入厩したときは少し体が小さくひょろっとしていて、あまりいい印象はなかったのですが、走ったらすごかった。心肺能力が高くて、強い負荷をかけてもあまり息が乱れない。そこは一番の長所だったと思います」

言葉を弾ませて当時の印象を教えてくれました。フェスタはデビュー2連勝で東京スポーツ杯2歳Sを制し、一躍クラシック候補に。ただ、クラシックではさまざまな事象が影響してはがゆい競馬が続きました。年が明けた10年4月末、前年の中日新聞杯(13着)以来、4カ月半ぶりの実戦となったメトロポリタンSで復帰V。勢いそのままにグランプリ・宝塚記念に挑戦し、当時、国内最強クラスだったブエナビスタを楽に差し切ってGⅠ初制覇を飾りました。その後は厩舎の大先輩で、1999年凱旋門賞2着のエルコンドルパサーの思いを継ぐようにしてフランスへ。

堀内岳志調教師

「体がだんだん良くなってきていて、4歳になってからもう一段階しっかりしてきて、それに伴って能力も伸びてきたんです。凱旋門賞はフェスタの現役生活の中で一番いい状態。100点に近いものでした」

現地の前哨戦・フォワ賞(2着)を叩いて調子を上げていったというフェスタですが、現地の評価は伏兵程度の扱いでした。それでも、レースではいつものように中団で折り合うと、フォルスストレートで進出。直線は一旦先頭に立つようなシーンもありましたが、内から抜け出してきた英ダービー馬のワークフォースに惜しくもアタマ差及びませんでした。

「悔しかったですね…」。端的な言葉のなかに、堀内師の思いが詰まっているように感じました。

毎年のように日本馬が挑戦するようになった凱旋門賞。これまで延べ35頭が挑戦し最高着順はエルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴルの2着。そこで、堀内師に「凱旋門賞で勝てるのはどんな馬だと思うか」を尋ねてみました。

「スピード、スタミナ、根性(のある馬)。フェスタも泥んこ(不良)馬場のダービーで追い込んできたように馬場適性も(大事)ですね。そこに加えて能力と運だったり。ワークフォースなんて追加登録してきてポッと勝たれたので、『あの馬がいなければフェスタが…』なんて思ったりもしました。あとはこの時期のロンシャンはいつも雨が降るので、天気も(鍵)ですね。スピードだけじゃ対応できないと思っているので、日本の軽い芝を勝つだけではなく、加えてスタミナやパワーもないと、と思っています」

宝塚記念制覇翌日のナカヤマフェスタと堀内岳志調教厩務員(当時)

時代を彩る何頭もの日本の名馬が敗れてきた凱旋門賞。勝つには堀内師が挙げたようなさまざまな条件が向くことも必要かと思いますが、やはり毎年期待してしまいます。まずは今年の3頭が無事にレースを終えることを、心から願っています。

実はナカヤマフェスタの現役時代の紆余(うよ)曲折についても、堀内師にたっぷり話してもらいました。いずれ後編としてお届けしたいと思いますので、お待ちください。(東京サンケイスポーツ・吉田桜至郎)