阪神の日本シリーズ進出に黄信号 CSの相手がDeNAなら…甲子園での対戦成績は拮抗、9月の勝率は7割超

 セ・リーグの順位が確定し、2位・DeNAと3位・巨人がCSファーストステージで激突する。ここでDeNAが勝ち上がってCSファイナルステージに進むと、圧倒的な強さでリーグを制覇した阪神の日本シリーズ進出が危ういという見方がある。

 阪神を取材する民放テレビ関係者がつぶやく。

「阪神にとっては、巨人よりDeNAのほうが厄介ですね。この時期のDeNAは強い。昨年はレギュラーシーズン3位から、CS、日本シリーズを勝ち抜いて日本一に上り詰めた成功体験があります。今年の短期決戦も勢いがつくと止めるのは簡単ではないでしょう。阪神は1、2戦の先発が予想される才木浩人、村上頌樹の両エースで連敗する状況は避けたいですね」

■9月のDeNAは勝率リーグトップ

 2位以下に10ゲーム以上の大差をつけて独走した阪神が、短期決戦でも有利な立場であることは間違いない。ただ、DeNAはシーズン終盤に入って目を見張る強さを発揮している。9月は16勝6敗1分で、勝率.727はリーグトップ。筒香嘉智が8月以降に14本塁打と量産体制に入り、6年ぶりのシーズン20本塁打に到達した。上位を打つ蝦名達夫、桑原将志もバットが振れており、チャンスメークの役割で貢献度が高い。

 頼もしい強打者たちが戦列復帰の可能性があることも、明るい材料だ。左手親指付け根のじん帯修復手術を受けた牧秀悟が、CSファーストステージに向けて調整している。8月1日に登録抹消されて以来実戦から離れているので、コンディションが万全とは言えないが、相手バッテリーからすると牧が打席に立つだけで威圧感がある。9月上旬に右膝後十字靭帯を部分損傷した宮崎敏郎もCSでの復帰を目指し、屋外でフリー打撃を再開している。

 阪神にとって不気味なデータがある。今季はDeNAとの対戦成績で14勝8敗3分と勝ち越しているが、8月以降は4勝4敗1分と均衡している。CSを戦う甲子園球場での対戦成績は5勝4敗と拮抗しており、9月以降は2勝3敗と分が悪い。昨年、リーグ2位となって、3位のDeNAと甲子園で戦ったCSファーストステージでは2連敗を喫している。

■得点数はDeNA戦が最も少ない

「阪神はセ・リーグの球団別対戦で、DeNA戦が25試合で計67点と最も得点が少ない。特に東克樹、ジャクソン、ケイの先発3本柱を攻略できていません。彼らはファーストステージで登板する可能性が高いですが、巨人に2連勝した場合は3本柱の1人を阪神戦に回せる。バウアーは本来の状態に程遠いので登板するか分かりませんが、平良拳太郎、石田裕太郎、ドラフト1位右腕の竹田祐と好投手が控えているので、ロースコアゲームの展開になる可能性があります。救援陣の質を考えると阪神が上ですが、我慢比べの試合展開を覚悟したほうがいいでしょう」(スポーツ紙デスク)

 ただし、東は9月26日に登板した巨人戦で、6回途中に自ら異変を訴えて緊急降板。翌27日に登録抹消された。CSで投げられるかどうかは不透明だ。

■三浦監督との最後の戦い

 DeNAにはどうしても勝ちたい理由もある。三浦大輔監督が今季限りで退任することが発表され、この短期決戦が最後の戦いになる。DeNAを取材するライターがこう話す。

「三浦監督のベンチワークに関してSNS上で批判的な声が少なからずありましたが、選手たちから慕われていたことは間違いないです。感情的になって批判したり、結果論で選手を責めたりしない。ショックが残る敗戦やお粗末な負け方をしても取材拒否することは一度もなく、自分の言葉で発信してくれたので番記者たちも感謝していました。現役時代から人格者として知られていましたが、監督としての立ち振る舞いも立派だったと思います。リーグ優勝は達成できませんでしたが、選手たちは2年連続日本一で三浦監督と喜びを分かち合いたい気持ちは強いでしょう」

 監督の退任は、選手たちの心境に大きな変化をもたらす。ソフトバンクは14年にリーグ最終戦で優勝を決めたが、CS直前に、当時の秋山幸二監督が家族の病気の介護をする事情で退任を発表した。優勝監督の退任は大きな反響を呼んだが、ソフトバンクはCSファイナルステージで日本ハムを4勝3敗で振り切ると、日本シリーズでは阪神を4勝1敗で制し、3年ぶりの日本一を飾った。

 当時のソフトバンクの主力選手が振り返る。

「秋山さんを絶対に日本一の監督にさせるという思いで戦っていましたね。他の選手も同じ気持ちだったでしょう。勝負事なのでどう転ぶか分かりませんが、絶対に負けないという根拠のない自信がチーム全体にあったように感じます。1勝のアドバンテージ分を含めて3勝2敗で迎えたCSファイナルステージの第5戦で4点のリードを守れず逆転負けを喫したのですが、逆王手を掛けられても重苦しい空気にならず、下を向いている選手はいなかった。DeNAも三浦監督が退任を発表したことで、選手たちは腹をくくって臨むんじゃないですかね。ペナントレースと短期決戦は別物ですし、阪神からすればDeNAは戦いにくい相手だと思います」

 ペナントレースと短期決戦は別物――この言葉には説得力がある。昨年の日本シリーズはシーズン91勝とパ・リーグを独走したソフトバンクの圧倒的優位とみる声が多かったが、DeNAが2連敗の後に4連勝と下馬評をひっくり返した。ソフトバンクの選手たちは「勢いに乗ったDeNAは強かった」と口をそろえていた。

 CSファーストステージは、10月11日から始まる。果たしてどんなドラマが繰り広げられるか。

(ライター・今川秀悟)