「大臣2人とれそう」 と大笑いの維新だが… 自民・高市総裁は「連立は次の選挙まで」の思惑か

■批判的な意見はあるがルーツは同じ, ■「絶対条件」を自民は受け入れへ, ■「事前に府連に示してほしかった」, ■次の衆院選は維新と戦う?

 自民党と日本維新の会が、連立政権を見据えた政策協議をスタートさせた。大筋で合意する模様で、10月16日に開かれた維新の両院議員総会は、すでに政権入りが決まったように高揚していたという。

 出席していた維新の衆院議員A氏がこう話す。

「大半の議員が連立に歓迎だった。党内では、大臣を出して、閣内協力で進める方向だという話と聞いている」

 A氏の顔は自然とほころび、

「自分も政務官くらいには、成れるかな」

 と笑いが止まらない様子だった。

 維新の藤田文武共同代表はテレビ東京のインタビューで、自民党の高市早苗総裁から、連立政権が発足した際には、維新に大臣ポストを2つ以上用意する意向を示されたと明かしている。

「副首都構想のことを考えると総務大臣が一番ほしいところ」

 A氏はこう言い、大臣候補の最右翼として、馬場伸幸前代表の名前があがっていると話す。

■批判的な意見はあるがルーツは同じ

 もっとも、維新内部には、

「本当に自民党とうまくやれるのか。閣外協力などで、一歩引くべきでは」

 という意見もあるという。

 かつて維新代表の吉村洋文大阪府知事は、選挙の街頭演説などで、「自民党の裏金政治はほんとおかしい。腹立ってしょうがない」と憤り、

「維新が与党入りしたら、消滅してしまう」

 と語っていたこともある。

 維新は選挙で自民党と対立し、自民党政権を厳しく批判してきた。とはいえ、もとをただせば自民党とは近い関係にあるのも事実だ。

 維新の創設者である橋下徹氏が2008年に大阪府知事に当選したときは、自民党大阪府連が推薦した。橋下氏と一緒に維新の創設者となった松井一郎氏は自民党の元大阪府議。維新のスタートは、橋下氏を支持する府議ら自民党の地方議員が10年に創設した「大阪維新の会」で、今も維新のベテラン議員には自民党から転出した人が多いのだ。

■批判的な意見はあるがルーツは同じ, ■「絶対条件」を自民は受け入れへ, ■「事前に府連に示してほしかった」, ■次の衆院選は維新と戦う?

■「絶対条件」を自民は受け入れへ

 維新は自民党との政策協議に、12項目の要望事項を提出している。吉村氏は10月16日の午後からテレビ各局のニュース番組を“はしご”して、こんな説明をしていた。

「非常に幅広い分野を協議しており、最終的にすべてが合致するわけではありません。我々が納得できる協議となるかどうか」

 とくに吉村氏が「絶対条件」と強調したのが、「副首都構想」と「社会保障改革」だ。

 維新の大阪選出の衆院議員B氏はこの2条件について、自民は受け入れる見込みだと話す。

「来年の通常国会で『副首都構想』が実現できればOKという時間軸でやっている。社会保障改革はその次で、2つ以外は自民党と意見を戦わせながらでしょう。副首都の場所について、吉村代表は大阪が最適とも言っている。維新が住民投票で2度も敗れた『大阪都構想』が実現するわけです」

 ただ、吉村氏は16日夜から17日朝のテレビ番組に出演した際は、急に、12項目の最後の「政治改革」のひとつとして挙げられている「国会議員の議員定数削減」を強調しはじめた。

「議員定数削減は臨時国会で結論を得るべき。これを自民党がのまなければ連立入りはない」

 議員定数削減は野党が求めても自民党が受け入れてこなかった高めの要求だけに、ここにこだわれば両党の協議が進まない可能性もある。

 これについてB氏は、吉村氏が自民党を揺さぶっていると見ている。

「副首都構想ばかり言うと、大阪だけの維新ということになりかねないので、突然出してきたのではないか。吉村代表も、そこまでこだわっていないと思う。けど自民党もびっくりでしょう。吉村代表が東京のキー局をジャックするほど出まくって、議員定数削減をいきなり言い出したんですから」

■批判的な意見はあるがルーツは同じ, ■「絶対条件」を自民は受け入れへ, ■「事前に府連に示してほしかった」, ■次の衆院選は維新と戦う?

■「事前に府連に示してほしかった」

 一方の自民党。維新との連立協議が進めば、大阪府連は存続の危機にもなりかねない。

「我々はどうなるんだ」

 と語気を荒げるのは、昨年の衆院選で維新候補に敗れた自民党大阪府連のC氏。

「政策協議には、選挙のことは盛り込まれていない。ただ、自公連立時代は、公明党が小選挙区で議員を出しているところに、自民党は候補者を擁立しなかった。昨年の衆院選で大阪府内の小選挙区は維新が全勝したから、自公連立を踏襲すれば、自民党は大阪で小選挙区に候補を出せないことになる。首班指名、政権維持のために高市氏が野党を勧誘するのはわかります。ただ、維新に声をかけるなら、事前に大阪府連に方針くらいは示してほしかった」

 元衆院議員のいる小選挙区では、高市氏が直接、

「自民党の小選挙区は守ります」

 と連絡を入れているという。「小選挙区を守る」とはどういうことか。

■次の衆院選は維新と戦う?

 高市氏を支援している自民党衆院議員のD氏はこんな話をする。

「連立は次の衆院選までで、選挙は維新とガチンコ勝負だと聞きますね」

 つまり、維新との連立は、次の衆院選前までの時限的なものだというのだ。D氏は、高市氏が本音では維新と連立を組みたくなかったと推察する。

「23年の奈良県知事選で、高市氏は総務省時代の秘書官を擁立して、維新の候補にボロ負けしました。今も高市氏の維新への怨念はすさまじい。それに維新は自民党の裏金問題で徹底的に攻撃してきた。裏金問題は『解決済み』と高市氏は考えていますから、どこかで衝突すると思います」

 かつて自民党の政務調査会の調査役をつとめた政治評論家の田村重信氏はこう話す。

「高市氏は維新と組む決断をしたので、自民党は維新が強い大阪の選挙区はあきらめたも同然とみられかねません。ただ政権維持のためには何でもありだから、仕方ないでしょう。維新も政権に入れば、閣内不一致といわれるので、自民党批判はいったん封印するのでは。私は自社さ政権を経験しました。全く意見が違う社会党より、維新のほうがはるかに楽ですよ」

(AERA編集部・今西憲之)