「大阪万博」の「工事代金未払い問題」はいまだ解決せず…!下請け業者が嘆く「大手ゼネコンはパビリオン建設から逃げ出した」
このままでは資金ショートする
「銀行に融資を断られ、今は消費者金融を回ってどうにかカネを工面しています。商売道具である工具も売りました。借金まみれの業者というレッテルを貼られ、声をかけてくれる会社もほとんどありません。このままだとうちは1ヵ月以内に資金ショートします」
アンゴラ館の工事を請け負った下請け業者のA氏は、現状をそう嘆いた。
10月13日、6ヵ月にわたり開催された「大阪・関西万博」が幕を閉じた。閉幕直前の9月中旬からは連日20万人超の来場者が殺到、総来場者数は2500万人を突破した。

未払いが発生したアンゴラ館
この状況に吉村洋文大阪府知事は、自身のXで〈開幕前は万博が赤字になったらどう責任をとるんだとメディアに詰められた。でも、やって良かった。多くの人にご来場頂きました。ありがとう〉と、大成功をアピールした。
しかしー。その裏で、万博によって窮地に立たされている人たちがいる。海外パビリオンの工事を担当した下請け業者たちだ。
超突貫工事を請け負った
9月1日、万博を主催する日本国際博覧会協会は海外パビリオンの工事関係者から工事代金の「未払い相談」が多数寄せられていると発表。その数、実に11ヵ国……未払いが発生している下請け業者は30社にも及ぶとされる。
冒頭のA氏が担当したアンゴラ館もその一つだ。同館の工事は外資の元請けを通じて日本の建設会社へと発注が下り、4次請けの「一六八建設」からA氏を含む複数の地元業者に振り分けられた。

パビリオンの建設は遅れに遅れていた(Photo by gettyimages)
A氏が振り返る。
「一六八からアンゴラ館の工事の話を聞いたのは'24年末頃でした。国家事業ですし、名誉ある仕事だと思いました。ただ、内容を聞いてみると、今年2月着工でオープンが4月13日。3月末には完成させなければいけないという超がつく突貫工事だった。
着工時期は決算前のためどこの業者も忙しく、現実的に人を集めるのが難しい。試しに知り合いの職人さんに確認してみても、『万博はようやらん』という返事ばかりでした」
毎日作り直しを命じられる
一度は断ったA氏だが、「人が足りない」と懇願され、引き受けることに。実際に現場入りしたのは2月中旬だったが、そこに広がっていたのは想像を絶する光景だった。
「待てど暮らせど基礎工事の業者が来ない。確認すると、元請けが職人の手配をやっていないことが判明しました。結局、一部の基礎工事業者は一六八が手配し、その他は我々下請けが知り合いに掛け合い、頭を下げて現場に入ってもらった」

多数の人が詰めかけた万博(Photo by gettyimages)
だがそれは、悪夢の序章に過ぎなかった。A氏が続ける。
「図面通りに作っても、元請けサイドが現場を見て、『やっぱり数十センチずらしてほしい』と作り直しを求めてくる。それがほぼ毎日です。
再発注は費用もかさみますが、元請けの外国人担当者は『ダイジョウブ』と繰り返すだけ。そして追加工事が終わると、『やっぱり……』とまた意見が変わり、いつまで経っても終わらない。ホンマに地獄でした」
結局、アンゴラ館はオープンの4月13日には間に合わず、正式に開館したのは万博スタートから2ヵ月以上経った6月26日のことだった。
大手ゼネコンが逃げ出した理由
「工事費の支払日は5月中旬でしたが、一部しか振り込みはありません。未払いは約4000万円に上ります」(A氏)
一六八についてはその後、国や府に申請せずに万博工事を行っていたことが発覚。大阪府警は建設業法違反の疑いで、今年9月26日に社長らを書類送検した。未払いの理由について同社の社長は、「経理担当者が約1億2000万円を横領したため」としている。

Photo by gettyimages
万博で未払いが多発している背景について、ある万博関係者はこう証言する。
「資材の高騰や人手不足などで海外パビリオンの建設は遅れに遅れ、工期の短さを理由に大手ゼネコンが工事を引き受けてくれなかったのです。元請け側は業者を必死に探し、結果、万博には不釣り合いな怪しい業者が入り込んでしまった。アンゴラ館はまさにそのケースです」
後編記事『大阪万博「セルビア館」で訴訟合戦…!「下請け」「仲介業者」「外資元請け」それぞれ激怒「工事費未払いの責任は誰にあるのか」』へ続く。
「週刊現代」2025年10月27日号より