佐々木朗希「守護神」誕生《フォーム動作解析で″覚醒の理由″が分かった!》

今季序盤はマウンドで弱気な表情が多かったが、ポストシーズンでは自信がみなぎっている

球速もコントロールも劇的に改善

「ストライクが取れる準備ができていたので良かったかなと思います」

10月7日(日本時間)に行われたナ・リーグ地区シリーズのフィリーズ戦後、2試合連続セーブをあげたドジャースの佐々木朗希(23)は自信を持って語った。

ポストシーズンの佐々木は、レギュラーシーズンと別人のような活躍をしている。右肩の故障で5月に離脱するまでの佐々木は8試合に登板し防御率4.72。直球の平均速度は155km/hに満たず、ストライク率は58.6%どまり。しかしポストシーズンでは、3試合いずれもリリーフ登板で無失点。直球はメジャーに移籍して最速となる163.2km/hを記録し、ストライク率も78%超と劇的に改善しているのだ(成績は10月8日現在)。

覚醒(かくせい)の理由はなんなのか?

動作解析の専門家で、筑波大学・体育専門学群の川村卓教授が指摘する。

「身体の動きが格段に良くなりました。投手は腰→肩→腕の順番で身体を動かさないと、下半身の力がうまくボールに伝わりません。ポストシーズンの佐々木は、その順序でしっかり投げられています」

川村氏の解説を聞きながら具体的に変化を見てみよう。

①《今季序盤》左足の位置が下段と比べ低い。コントロールを意識した大人しいフォーム

《今季ポストシーズン》左足を顔の位置まで高々と上げている。反動で右足で地面を強く踏み込む

「①の始動で着目してほしいのは左足の高さです。下段では顔の位置まで上がっています。左足を高く上げる反動により、右足で地面を踏むのが佐々木の独特なリズムです。一方、上段では左足の位置が低い。メジャー移籍当初コントロールの悪さが指摘されていたので、自然と始動が抑え気味になっていたのでしょう」

② 《今季序盤》右足が浮いているため、せっかく腰を捻転して得た力を溜められていない

《今季ポストシーズン》右足で十分に地面を踏んでいる。腰をひねることによる力が溜められる

②では、いずれも身体をひねっているが効果には大きな差があるという。

「右足を見てください。下段ではしっかり地面を踏んでいますが、上段では内側がやや浮いている。足元が不安定なため、腰の捻転(ねんてん)による力を溜(た)められていません。③でも右足の影響がハッキリと出ています。下段では右ヒザを使って地面をしっかり押し、その力を利用して打者に向かっている。上段は、足元が安定していないので十分に押し込めていないんです」

③ 《今季序盤》右足で地面をしっかり踏み込んでいないため、上半身の動きに勢いがない

《今季ポストシーズン》地面を踏み込んだ右足により、上半身の動きに勢いと躍動感が生まれる

④ 《今季序盤》身体の開きが早いため胸の番号「11」が、打者方向へ向いてしまっている

《今季ポストシーズン》腰→肩と動き身体が開いていないため「11」が打者方向に向いていない

④のポイントは胸の番号「11」だ。

「下段では、腰→肩と順序良く動いているので『11』が正面に見えます。上段は腰や肩が同時に動き、身体の開きが早いため『11』が打者方向へ向いている。スムーズな動きでないため、下半身の力が上半身にうまく伝わっていません」

⑤ 《今季序盤》ヒザが折れて、左足で十分に地面を踏み込めていない

《今季ポストシーズン》 左足で踏み込み下半身の力をボールに伝えられている

⑥ 《今季序盤》フィニッシュは棒立ちに近い状態で躍動感を感じない

《今季ポストシーズン》踏み込んだ左足の反動で身体が上へ浮くような躍動感

⑤から⑥のフィニッシュでも、佐々木の成長がうかがえる。

「下段の⑤では、左足でしっかり地面を踏み込んでいます。その反動で⑥には、上へ浮き上がるような躍動感がある。上段の⑤はヒザが折れ踏み込みが甘いため、⑥では躍動感があまりありません。現在の佐々木の勢いのあるフォームは、短いイニングを投げるのにピッタリです。安心して守護神を任せられます」

力強いフォームを身に付けて覚醒した佐々木の活躍は、まだまだ続きそうだ。

『FRIDAY』2025年10月24・31日合併号より