【菊花賞 細江純子の直前!GⅠパドック講座】エネルジコは馬体重&元気のある歩きかを要チェック! 本命は⑫ゲルチュタール

細江純子さん

ホースコラボレーター・細江純子さんによる『直前!GⅠパドック講座』第3弾はクラシック3冠最終戦・菊花賞(26日、京都、芝3000メートル)。未経験の長丁場を前に有力各馬はパドックでどんな表情を見せるのか-。馬体重はもちろん、姿勢、歩様などそれぞれの重要なチェックポイントをあげた。

⑨エネルジコ 馬体重と歩き方を要チェック!

前走・新潟記念は青葉賞以来4カ月ぶりでプラス12キロ。若干の太さと緩い感じはありましたが、それ以上に成長分と思えるものでしたし、何より毛づやに艶やかさがあり、良い状態に見受けられました。

エネルジコ=栗東トレーニングセンター(撮影・安部光翁)

ただ、最後に内を選んだルメール騎手の騎乗ぶりからも正直、あの着順が精いっぱいだったようにも…。となると疲れもあったと思いますし、この中間は栗東に入厩して調整しており、そのあたりがどう影響しているかがポイント。

例えば馬体重。馬はアウェーに弱い生き物であることに加え、まだキャリア4戦の3歳馬。カイバ食いが落ちるなどの影響が出てもおかしくないので、極端に減っていると心配に…。馬体重のチェックと、前走よりネジが締まって元気のある歩きをしているかが鍵だと思います。

エリキング=栗東トレセン(撮影・根本成)

⑮エリキング 在厩調整で前走の状態をキープできているか

春の2戦は、骨折による5カ月の休み明けでの関東圏での輸送競馬と、状況的にキツイところがあったように思います。特に皐月賞においては全体的にまだ体を使えておらず、パドックでの歩く速度もゆっくりでした。

さて迎えた秋ですが、状態が一変。これまでよりもメリハリのあるボディーが形作られるとともに、神戸新聞杯では前がしっかりと起きた状態でパドックを周回できており、頭の位置が高くなっています。

この状態を中4週の在厩調整でキープできているか? そこがポイントな気がします。厩舎的には休み明け時に一番良績がありますが、長休明け2戦目で再度の輸送競馬だった日本ダービーでの上がり3ハロン最速での5着はポテンシャルが高い証し。前走時と同じように、前軸が起きての前進気勢のある歩きならグッドだと思います。

ゲルチュタール=栗東トレセン(撮影・根本成)

⑫ゲルチュタール 重たさよりも軽さ優先ならOK!

デビュー戦では508キロでしたが、その後の2戦が12キロ、14キロの馬体増。あの当時は非常にコロンとした体形に加え、大型馬特有の緩さも目立ち、芯がまだまだ入っていない様子でした。

それが夏あたりからネジが締まり、スラッとした体に変貌。特に前走においては、今までで一番スッキリと見せ、パドックでの常歩(なみあし)の速度も速くなり、体全体を使っての動きから軽快さが伝わってきました。

さて中7週となる今回、前走に続いて引き締まったボディーでスッスッ、スッスッと意欲的に前へと歩けているかどうか? 重たさよりも軽やかさが感じられるかどうか? そのあたりがポイントな気がします。

⑥ミラージュナイト 大事なスタートはテンション次第

長くいい脚を使えるだけに京都外回り向きに感じるとともに、頭の高い走法とバゴ産駒という点からも当日の雨は確実にプラスに働きそうな1頭。

パドックでのポイントはテンション。スタートで後手を引いてしまうのは、ソワソワとして四肢がそろわない時。長距離戦だからこそスタートは大事で、ぜひテンションのチェックを。

④ヤマニンブークリエ 馬体の伸びやかさがあるか

長距離戦は騎手の腕がより大事と言われますが、だからこそ連続騎乗のベテラン横山典弘騎手&内めの枠に入ったという点で魅了されます。しかも前2戦で今回につながる内容を見せており、道中もリラックスして走れています。それに伴い、筋肉の質にも柔らかみを感じます。

よって今回のパドックでは、前回同様、気持ちの余裕と伸びやかさのある馬体かどうか? 以前は詰まっていたところもありましたが、それが近走で解消されており、そこも好成績の要因に思えます。胴体・全体の感じに窮屈さがなく、首を使って前進気勢が感じられればいいと思います。

本命は持久力タイプの⑫ゲルチュタール

雨模様の日曜日。馬場状況が気になるところですが、雨がプラスとなりそうな点と、近走のレース内容、折り合い面の不安が少ない点などを総合して、本命はゲルチュタールにします。

特に前走は自分で競馬を作っての古馬相手の勝利で、今回につながる一戦に感じました。また、この馬は瞬発力よりも持久力タイプで、馬場が渋る点はマイナスにはならないと思えます。

相手の中心は枠と鞍上からヤマニンブークリエと、外めの枠は気になりますが、ポテンシャルの高さからエリキングにします。

■細江 純子(ほそえ・じゅんこ) 1975(昭和50)年3月12日生まれ。愛知県出身。武豊騎手に憧れ、96年にJRA初の女性騎手としてデビュー。2000年に日本人女性騎手として初の海外勝利(シンガポール)。01年の引退後はホースコラボレーターとしてさまざまなメディアで活躍し、フジテレビ『みんなのKEIBA』、関西テレビ『競馬BEAT』に出演中。Xのフォロワー数は現在22万超。

ホソジュン・パドックアーカイブ~2005年・ディープインパクト

あれからはや20年。〝飛ぶ馬〟ディープインパクトの無敗3冠に注目が集まり、競馬中継も関西テレビとフジテレビが合同で生放送をするという異例ぶり。あの頃も私はゲート前リポートを担当。当時は取材に力を入れており、週中のトレセンだけでなく、当日の騎手の話も交えてリポートしていました。

とはいえ、さすがに歴史的偉業を前にする武豊騎手に話しかけることには気が引ける状況下。検量室の前で立っていると、調整ルームから向かってきた武豊騎手が「あれ? 純子、きょうは化粧濃くない?」とニコッと笑みを浮かべながら検量室内へと入っていきました。あの声掛けは、全ての状況と私の心中を察しての武豊騎手の優しさとユーモア。私はそのやり取りと、「大仕事を前にされても、いつも通りの武豊騎手です」とリポートしたのです。

長距離戦で大事なのは道中のコンタクト。まさに馬も人も3000メートルの長旅を前に、いかに平常心でいられるか? 菊花賞はそこも問われる一戦です。それゆえパドックでは馬のみならず、騎手の顔つきや雰囲気も大事なポイントのようにも…。ぜひ人馬、両方のチェックを。