40代、持ちすぎない人の「余白のある家をつくる5つのルール」。10年、20年飽きずに使い続けられるか考える
「ものの数にばかりに目を向けるのではなく、自分にとって心地よく管理できる適正量を見極めることを大切にしています」。そう語るのは、夫婦2人で築35年の賃貸マンションで、ものを厳選してすっきり暮らす、深尾双葉さん(41歳)。「ものが少ないと、家の空気は驚くほど澄んでいきます。掃除も片づけも楽になり、視界も心も広がっていく」と話す深尾さんが実践する、もちすぎず、心地よく暮らすための5つのルールをご紹介します。

自分にとっての適正量になったリビングは、よい空気が流れています
【写真】カトラリーは引き出しに収まるだけに
1:欲しいと思ったときはすぐ購入しない

お香立ては、数か月間悩んで手に入れました
かつての私は、欲しいと感じた瞬間に、迷うことなく購入ボタンを押してしまうことがよ
くありました。とくに夜のオンラインショッピングは危険で、これもよい、あれも必要かもしれないと、直感だけで次々と買い物をしていました。
けれど、勢いに任せた買い物はあとになって、本当に必要だったのだろうかと問い返すこともしばしば。ものは増えるのに心の満足度は思うほど高くありませんでした。
そこで今は、欲しいと思った瞬間の衝動にすぐ従うのではなく、緊急性の高いものを除いて、いったん数日ほど寝かせ、落ち着いた状態で再び向き合うことにしています。時間をおくと、不思議と興味が薄れてしまうものがあったり、逆に、数日経っても心に残り続けるものがあったりします。その違いが、本当に必要なものを見極める助けになります。
必要性の高さ、代わりになるものの存在、価格とのバランス。時間を挟むことで、こうした判断がゆっくりと進められ、自分にとって価値あるものだけが手元に残るようになりました。衝動を静かに受け流し、一度距離をおくという小さな習慣が、暮らしを驚くほど軽やかにしてくれています。
2:もつ理由よりもたない理由を一度、考えてみる

カトラリーはつい買い過ぎてしまうものでしたが、今はこの量で落ち着いています
なにかを手に入れようとするとき、人はつい、もつ理由を探してしまいます。私もかつては、便利そう、あれば安心、今だけ安いと、自分を納得させる言葉をいくつでも並べて、買い物を正当化していました。
振り返ってみると、もつ理由というのは際限なく生み出せてしまうものだと気がつきます。欲しい気持ちに少しでも寄り添おうとするから、理由はいくらでも見つかるのです。
そこで、もつ理由を探すのではなく、あえてもたない理由を考えてみることを習慣にしてみました。もたない理由に目を向けてみると、すでに似たものがある、スペースを圧迫しそう、使う場面が意外と限られている、お手入れが増えてしまうなど、これまで見えていなかった現実が、急にくっきりと浮かび上がってきます。その瞬間、買う必要があると思い込んでいた気持ちが和らぎ、冷静な判断が戻ってきます。
一度立ち止まり、もたない理由を静かに数えてみる。ただそれだけで、家にものを迎え入れる機会は驚くほど少なくなり、結果として暮らしの軽さや心の余白が守られていきます。私にとってこの逆の発想は、シンプルな暮らしに近づくための大切な知恵のひとつになりました。
3:厳選したほんの少しの“とっておき”と暮らす

料理に、お茶に、お酒に、何通りにも使える片口
家の中をすべて見直してからというもの、私のもの選びは以前にも増してずっとシビアになりました。ほんの少しのいいなという直感だけでは、ものを迎え入れなくなりました。日常に置くものは、単なるかわいいや一瞬のときめきだけではなく、これから長い時間を共にできる存在であるかどうかを基準に考えるようになりました。
たとえば、食器ひとつを選ぶときでも、10年後も同じ気持ちで触れられるだろうか、20年経っても、飽きずに使い続けられるだろうか、経年で色や質感が変わっていく姿を、愛おしく感じられるだろうか、そんな問いを1つ1つ心のなかで確かめています。
ものの数は少なくても、とっておきが家にあるという安心感は大きく、暮らしの風景が美しくまとまっていくのを感じます。ほんの少しの選び抜いたものと暮らすという選択が、結果的に、心にも空間にも余白をもたらしてくれるのだと思います。
4:買う前に家のもので代用できないかを考えてみる

サーバーは計量カップ、コーヒーミルはキャンプ用品を兼用しています
暮らしのなかには、専用の道具と呼ばれるものがたくさんあります。けれど、そうした道具ほど出番は少なく、年に数回しか使わないのに、棚の奥で大きくスペースを占領してしまいます。
そこで私は、なにかを新たに買う前に、まずは家にあるもので代用できないかと考えるようになりました。すぐに購入するのではなく、ひとまず工夫してやってみることにしました。
たとえば、専用のキッチンツールが欲しくなったときも、まずは手持ちの道具で代わりに試してみる。収納用品が欲しくなっても、家にある箱や布を使ってみる。そうして1、2週間ほど生活してみると、意外とこれで十分だったと感じることが少なくありません。本当に新しい道具が必要なのかどうかは、暮らしのなかで使ってみてはじめてわかるものなのだと、何度も気づかされました。
ものを増やす前に工夫を重ねることは、空間を育てるような感覚に近いのかもしれません。
新しいものを迎え入れる前に、まずは家の中でできることを探してみる。それだけで、暮らしは驚くほど整い、ものに支配されない自由さが生まれていきます。
5:収納場所や収納道具を増やしすぎないようにする

台所の収納棚は小さな物に変えてから、管理がとても楽になりました
ものが増えてしまう理由の1つに、しまう場所があるという安心感があります。かつてのわが家も、今よりずっと多くの家具が家じゅうを占領していました。
収納がたくさんあると、一見すると片付けが上手くいっているように思えてしまうのですが、実際には、あいているから入れてしまうという悪循環が生まれ、ものの量は増えるばかりでした。しまえるという安心は、ときにもちすぎを正当化してしまうのだと気がついたのは、家の見直しをしたときのことです。
勇気を出して、台所に置いていた大きな棚を2つ手放し、小ぶりの棚を1つだけ迎え入れることにしました。正直なところ、これで本当に収まるのだろうかと不安もありました。でも同時に、収納が減ることで、今あるものと真剣に向き合わざるを得なくなります。
結果として、小さめの棚1つで十分に収まり、暮らしは驚くほど軽くなりました。収納を増やすことは簡単ですが、減らすことは空間だけでなく心にも余白を生み出してくれます。ものの量を適正に保つためには、収納を無限に増やさないという小さな心がけが、大きな効果をもたらしてくれるのだと思います。